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リアリティがない朝日新聞や毎日新聞、それでも存在意義があるこれだけの理由

集団的自衛権の行使容認に向けた議論が、繰り広げられている。政府は、集団的自衛権の行使を容認しなければ、実行できないと考えられる事例など15の具体的な事例を示し、国民の理解を得ようとしている。

さて、集団的自衛権に対するメディアの反応はどうだろうか。「読売新聞」「産経新聞」は賛成、一方、「朝日新聞」「毎日新聞」、そして「東京新聞」は反対だ。はっきりと分かれている。

僕は、「中立」報道というものは不可能だと思っている。だから、新聞各社が立場を鮮明にして、自由に意見を戦わせているいまの状況は、健全であると見ている。

そんななか、月刊誌『WiLL』が、目を引く論文を掲載した。「日本を悪魔化する朝日新聞」。書いたのは「産経新聞」の古森義久さんである。古森さんは、「朝日新聞」の報道は、「外部の要因はすべて無視、脅威や危険はみな自分たち日本側にあるとするのだ」という。すなわち「日本は悪魔だ」という理念のもとに、主張を展開していると指摘しているのだ。

たしかに「朝日新聞」の報道は、一貫している。たとえば、「集団的自衛権を行使できるようになる」ことを、「戦争をする」と報じる。「首相の靖国神社参拝」については、「軍国主義賛美」だから「反対だ」と論じている。

それでも各社が立場を鮮明にして、報道することは健全なことだ、というのが僕の考えだ。とはいえ、「朝日新聞」「毎日新聞」「東京新聞」のこうした報道姿勢が、日に日にリアリティを失っていることもまた事実である。

「集団的自衛権の行使は国際法で認められています。どうして日本だけが勝手に『禁止』だと自国を縛り、行使できる国に変えようとする政治家を悪者扱いするんでしょう。こんなに国民が国を信用していない国は、他にないんじゃないでしょうか」

戦争を知らない世代の僕の番組スタッフが、こう言っていた。彼の意見はよくわかる。そして、彼のような人が、いまの「朝日新聞」「毎日新聞」「東京新聞」にリアリティをまったく感じなくなっているのだろう。

だが、「けれど」と思うことがある。僕たち戦争を知っている世代は、国家が平気でウソをつくのを目の当たりにしてきた。戦争に負けた瞬間、コロっと態度を変える大人たちを見てきたのだ。そのような経験をしてきた僕たちにとって、「国を信用」するのは非常に難しいことだ。

ほとんどが戦争を知らない世代になってしまった。僕ら戦争を知っている世代は少数派になった。だからこそ僕たちは、意地でもその記憶を忘れてはならないし、声を大にして言い続けなければならない、と思っている。

いま、世界情勢は大きく変わり、アメリカは「世界の警察」であることを放棄しようとしている。だから日本は、集団的自衛権の行使を考えなければならなくなった。もちろん、そういう事情は理解している。だが、国としてのあり方が変わるという重大な決定において、やはり安倍首相は総選挙で、国民の意思を問うべきなのだ。

安倍首相が戦争をしたがっている、とは僕ももちろん思わない。けれども、「戦争ができる国」に日本がなる、ということは事実だ。将来、日本のリーダーになった人物が、戦争をしないとは、保証できない。

「朝日新聞」「毎日新聞」「東京新聞」にリアリティがなくなっていることは、僕も認める。そうであっても、「朝日新聞」には「存在意義」があることも認めるのだ。たとえリアリティはなくても、「国家が『悪魔』だと、とことん疑うメディア」が、ひとつくらいあってもらわなければならない。戦争を知っている世代として、いまの若い人に伝えたいと思う。

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