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STAP細胞研究におけるエアーマウス疑惑に関する答弁書が返ってきました

参議院議員川田龍平君提出
STAP細胞研究におけるエアーマウス疑惑に関する質問に対する答弁書

イギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載された独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)発生・再生科学総合研究センター(以下「CDB」という。)の研究員らが著者となっているSTAP細胞に関する二本の論文に対し科学的不正の疑義が生じ、国民的並びに世界的関心を呼んでいるところである。既に理研の「研究論文の疑義に関する調査委員会」(以下「調査委員会」という。)は小保方晴子CDBセンター長戦略プログラム細胞リプログラミング研究ユニット・研究ユニットリーダー一人による研究不正を認定し、一本の論文に関し撤回を勧告したところではあるが、小保方氏は故意による不正は認めておらず、また調査委員会が調査対象としなかった疑義がほかにも存在することもあり、今なお同研究の不正の全容が解明されたとは言い難い状況にある。

しかし、同研究は、政府が理研に対して拠出した運営費交付金によって行われた科学研究であり、今なおSTAP細胞が存在するか否かの検証実験のために多額の国費が使われている。そもそも、検証実験を行うべき科学的根拠があるのかどうかを含め、政府は徹底的な事実関係の再調査を行うべきと考える。

そこで、関連する事項について、以下質問するので、理研に事実を確認の上、質問項目毎に丁寧に、政府としての現時点での明確な答弁を求めたい。

一 理研の調査委員会による「研究論文の疑義に関する調査報告書」(以下「報告書」という。)において、不正が認定されたFigure 2dと2eにおいて画像の取り違えがあった点に関し、これらの写真が撮影されたテラトーマ作製実験を行ったとされる時期に、そもそもマウスの購入がなかった疑惑(エアーマウス疑惑)が報道されている(五月十九日毎日新聞一面「STAP論文マウス購入記録なし」)。論文において、当該実験で使用されたと記載されているのは四週齢のNOD/SCIDマウスであるが、実験を行ったとする小保方氏が当時所属していたゲノム・リプログラミング研究チームにおいて、このNOD/SCIDマウスの購入実績はあるか。また、小保方氏が責任者もしくは実験従事者として関わる動物実験計画書のうち、このマウスの利用を記載したものは存在するか。

一について
独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)によると、御指摘の「小保方氏が当時所属していたゲノム・リプログラミング研究チーム」において、「NOD/SCIDマウスの購入実績」及び「小保方氏が責任者もしくは実験従事者として関わる動物実験計画書のうち、このマウスの利用を記載したもの」は存在しないとのことである。


二 理研の調査委員会の「不服申立てに関する審査の結果の報告」によると、小保方氏は不服申立ての理由補充書において二〇一二年一月二十四日にマウスからテラトーマを取り出したと主張しているとのことである。先般、私が文部科学省に資料請求したところ、提出されたゲノム・リプログラミング研究チームの購入物品一覧では、この実施日までに購入された免疫不全マウスは二〇一一年一二月二十七日に検収された六週齢のBALB/c-nu/nuマウスのみである。この購入の認可予算名の項目欄には「文部科学省」と記録されているが、該当する科学研究費補助金の研究課題名と代表者を示されたい。また、その研究課題に対して交付された科学研究費補助金は、ストレスによる体細胞の初期化の研究であるSTAP細胞研究とは別課題のはずであり、STAP細胞研究には使用できないものと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 論文においてテラトーマ作製実験に用いられたとされているマウスは四週齢のNOD/SCIDであるが、ゲノム・リプログラミング研究チームにおいて購入実績のあるマウスは六週齢のBALB/c -nu/nuである。週齢及び種類が異なっている理由を明らかにされたい。

四 若山照彦ゲノム・リプログラミング研究チーム・チームリーダー(当時)が責任者であり小保方氏が実験従事者となっているSTAP細胞研究の動物実験計画書には、マウスに対する幹細胞投与についての記載があり、「細胞を移植されるレシピエント」としてBALB/c -nu/nuが記されている。しかし、当該実験計画の終了後の報告書には、作成した幹細胞を移植しテラトーマ作製を行う段階について報告の記載がない。実験を行ったにもかかわらず、報告がない理由について、政府の見解を示されたい。

六 文部科学省としては、本当に理研においてテラトーマ作製実験が行われたと認識しているのか。

二から四まで及び六について
御指摘の「購入物品一覧」に記載されたマウスの購入に係る予算については、理研によると、研究課題名は「卵子による核の初期化機構の解明およびその促進方法の開発」、研究代表者は「若山照彦」とのことである。その他のお尋ねについては、理研において事実関係を確認しているところであると承知している。

五 小保方氏が理研に対して提出したと報道されている実験ノートの記載によれば、二〇一一年十二月二十七日に入荷したマウスに、即日移植実験を行ったこととなっている。理研のCDBでは、マウス入荷後の馴化期間を原則何日と定めているのか示されたい。また、馴化期間をおかない実験の科学的妥当性及び動物福祉上の問題について、政府の見解を明らかにされたい。

五について
理研によると、理研が定めた「動物実験実施規程」においては、「所属長、飼育管理者は、実験動物の飼育等管理にあたり、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(環境省告示第八十八号)の趣旨に配慮する。」とされているとのことである。また、御指摘の「動物福祉上の問題」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「馴化期間をおかない実験の科学的妥当性」については、個別の実験に応じて判断されるべきものと考えられ、一概にお答えすることは困難である。

七 前記一に示した報告書の八頁(二―一)では、Figure 1bと2gの画像の類似性と論文上の配置について検討しているが、「若山氏より、この二つの画像はいずれもSTAP細胞から作製したキメラマウス胎児のひとつを、異なる角度から同氏が撮影したものである、それぞれの画像の帰属を整理した上で、他のキメラ胎児画像とともに電子ファイルで小保方氏に手渡したとの説明があった。」とする中で、若山氏がSTAP細胞からキメラマウスを作製したとする主張については疑うことなく、また、調査をしていないものと承知している。このことは、理研が、若山氏はSTAP細胞の作製に成功しており、これを用いてキメラマウスを作製したとする事実を正しいものであると認めていることを示すのか。

七について
理研によると、理研が設置した研究論文の疑義に関する調査委員会(以下「調査委員会」という。)は、調査対象論文において疑義を指摘された点に関して、理研が定める「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」に規定する研究不正が認められるか否かという観点から調査を実施したものであり、その結果をもって、御指摘の「事実」が正しいか否かを判断したものではないとのことである。

八 論文中のFigure 4に示される画像については、調査の対象とされていない。このFigure 4に対する解説部分(論文六百四十四頁「Chimaera formation and germline transmission in mice」の小見出しによるパラグラフ)、特に「Furthermore, offspring derived from STAP cells were born to the chimaeric mice (Fig. 4e and Extended Data Fig. 7c), demonstrating their germline transmission, which is a strict criterion for pluripotency as well as genetic and epigenetic normality」という一文は、STAP細胞の多能性獲得の証拠となる実験結果が得られたことを述べている。

この部分は若山氏の寄与率の高い実験であると推察されるが、若山氏は小保方氏から渡されていたSTAP細胞の遺伝子を既に解析し、小保方氏が述べたマウスの系統と異なる遺伝子が検出されたため、いち早く論文の撤回を呼び掛けた人物と承知している。理研は、右記の実験結果に関する記述については疑義のないものと認めたため調査対象としなかったのか。

八について
理研によると、調査委員会は、調査対象論文において疑義を指摘された点に関して調査を実施したものであり、「実験結果に関する記述については疑義のないものと認めたため調査対象としなかった」ものではないとのことである。

九 五月二十二日の毎日新聞二十七面の報道では、「小保方氏採用も特例通常審査の一部省略」と題して、以前に記者会見で「論文の書き直しに加わっただけ」と述べた笹井芳樹CDB副センター長が、小保方氏の研究実態の確認もしないまま、採用時から例外的に一部審査を省略して、グループディレクター会議でSTAP細胞研究を論文発表まで秘密とすることを決め、検証・教育の機会も持たないまま予算獲得への効果を期待しつつ論文化を進め、広報担当者との協議をせずに記者会見用の資料を配布したとのことである。

この報道が事実であるとすれば、理研は組織ぐるみでSTAP細胞の論文化と広報を推進したと考えられ、これをリードした笹井氏は、他にも検証未了の研究結果の論文化を行っている可能性があると疑われる。そこで、文部科学省、総務省、財務省及び会計検査院は、理研の人事・研究・広報体制に対する調査を、予算執行の適切性の観点から徹底的に行うべきではないか。また、文部科学省は笹井氏が過去に発表した論文の妥当性に対する調査を行うべきではないか。

九について
御指摘の報道については承知しているが、その報道内容の事実関係について確認されておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十 理研と政府は、小保方氏一人に研究不正の責任を押しつけてこの問題に幕を引き、「特定国立研究開発法人(仮称)」への指定を、六月又は七月にも閣議決定するのではないかとの情報があるが、事実か。事実である場合には、そのようなことを強引に行って、理研が世界的に認められる存在になると思っているのか、政府の見解を明らかにされたい。

十について
御指摘の「情報」については承知していないが、いずれにせよ、「特定国立研究開発法人(仮称)」の指定を六月又は七月に閣議決定すると決めたとの事実はない。


十一 厚生労働省は、高血圧治療薬ディオバンの臨床研究におけるデータ改ざん問題を受け、まず「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」を設置して、当事者の内部調査だけに任せずに、国としても真相究明に努めた上で、さらに再発防止のための「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を設置して現在鋭意検討中である。他方、同様に日本のライフサイエンスの信頼を大きく揺るがすSTAP細胞研究について、文部科学省はこれまで、真相究明は理研の内部調査に委ね、その結果を何ら疑うことなく、さらには再発防止策さえ、理研が設置した外部有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」に任せる始末である。文部科学省は厚生労働省に倣い、まずはSTAP細胞論文に関する不正疑惑の真相究明に関する専門家の検討会を設置し、理研に対して必要な再調査を求めるべきではないか。

十一について
「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」(平成十八年八月八日科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会決定。以下「ガイドライン」という。)では、研究活動における不正行為の告発等があった場合は、原則として、当該研究者が所属する研究機関が当該事案の調査を行うこととされている。お尋ねについては、文部科学省としては、理研においてガイドライン等を踏まえ適切に対応されているものと認識しており、「専門家の検討会を設置し、理研に対して必要な再調査を求める」ことは考えていない。

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