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オバマ政権の自国兵士の救出にクレーム 脱走兵への処遇

 米国オバマ政権は、アフガニスタンでタリバン勢力に5年にわたって拘束されていた米兵(28歳)を解放させるため、米国が拘束していたタリバン幹部5名と交換しました。
 米国内で、その人質交換の是非が熱くなっているようですが、非常に興味深いものがあります。
 要はオバマ政権へのクレームなのですが、報じられているものの中から見てますと(北海道新聞2014年6月6日)
①グアンタナモ基地のテロ容疑者を解放する際、事前に議会に通知がなかった
②幹部5人がカタール当局の監視下に置かれるとするが危険な存在であり再び米兵が危険にさらされる
③今回、解放された米兵に脱走疑惑がある、この米兵の捜索のため他の複数の米兵が犠牲になった可能性がある

 米国政府の立場は、「国には不明兵士を取り戻す義務がある。どんな人物かは関係ない」というものです。

 これをみて思うのは、米国の伝統的な論理と軍隊の論理が際立つというものです。
 そもそも①②でいえば、グアンタナモ基地などオバマ政権は閉鎖を公約していたのに頓挫しています。テロ容疑をかければ裁判抜きで永久に身柄を拘束しており、極めて非人道的なものです。このグアンタナモ基地の存在そのものが問題ですが、テロの恐怖に脅える米国保守層は自らの安全のためと信じて疑わないのです。自分たちに反抗する者を力によって抑え付けることが可能だし、しなければならないという発想にとりつかれてしまっているのですが、これが悪循環を生み出していることを未だに理解できない人たちでもあります。
 安倍自民党政権は、この米国保守層の発想と全く同じ。世界に自衛隊を展開させ、力で日本の財界の利益を守ろうとしているのです。
軍拡競争? 尖閣を口実にした構造改革のための軍事優先路線

 ③がとても興味深いものです。
 このクレームはつきつめて考えると、脱走兵だったら救出はするなと言わんばかりのものです。
 疑惑として報道されているだけですから真相はわかりませんが、脱走中にタリバンに拘束されたのではないかというものです。
 今回の件は、この米兵は5年前に拘束され、この間、この米兵の解放は事実上、不可能だったと思われます。そのためにタリバン幹部5名との交換ということであり、拘束された米兵の解放を実現したというものですが、この③の批判は、この米兵はタリバン幹部5名と引き替えにする価値はないという主張になるということです。
 「脱走兵であれば価値はない!
 行き着くところはそこです。脱走ということを前提にすると、当然のことながらタリバンに拘束される前に米軍が身柄を「拘束」すれば、この脱走兵は裁判にかけられ処罰を受けることになります。
 本来、脱走兵であるならば国内法に基づいての処分が必要になることはあっても、身柄解放を否定するということにはならないはずです。その意味ではオバマ政権の見解はしごく真っ当なものです。
 ここで思い出すのは、2004年に起きたイラクで人質にされた日本人3人の事件です。
 日本中でバッシングをしたあの忌まわしい過去が思い出されます。自国民の救出を最大限努力するのが当然であるにも関わらず、非国民、国賊扱いをした異様な雰囲気は、おそろしいファシズムそのものでした。

 次に、敵地での脱走は、軍隊にとっては死活問題になります。しかし、兵士としては死の恐怖の状態に常時置かれてしまうのです。いつ襲撃を受けるかわからない、爆弾が爆発するかわからない、戦闘の中で死亡するかもしれない、その恐怖ははかりしれないものがあります。
 そのような中で逃げ出したいという心理になるのは人情というものです。
 さて、ここで思い出すのは、あの石破茂自民党幹事長の有名な言葉です。
死刑という国民動員への脅迫 石破茂自民党幹事長
 「その国にある最高刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。

 石破氏の発言は、敵前逃亡だけでなく、出動命令違反に対しても死刑にしろというものです。
 そうしなければ現実に死の可能性がある戦場には赴かない、あるいは敵前が続出しかねい、それを防ぐための手段は同じようなものが必要になる、死というもの見合うものとしては死刑でもって対処するしかなくなるわけです。
リンク先を見る

 現実の出動命令違反、敵前逃亡を防ぐためには「死刑!」
 自衛隊は、これまで誰も死亡していなければ殺したこともない軍隊です。
(組織の体質として隊員を自殺に追い込んだ事例はありますが)
 それが集団的自衛権の行使の解禁により戦闘地域に派兵され、戦闘命令も出ることになれば、そこには必然的に自衛隊員の死が現実のものになります。
 このような軍隊が志願制であっても死刑になるということです。
 志願とはあくまで自分の意思であって強制ではないのに、命令違反が死刑になるんですよ。誰がこんなところに行きたいと思いますか。
 そこで待っているのが徴兵制です。
石破茂自民党幹事長 待っているのは徴兵制と死刑!

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