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公明党は安倍首相の暴走を抑えるために「鼻緒」を切ってみたらどうか

昨日に続いて、集団的自衛権の行使容認に関する与党協議についてです。この協議の開始に当たって、政府は与党に15の事例を示しました。
その具体的な内容は、以下のようになっています。これぐらい「釣り糸」を沢山たらせば、一つくらい当たりがあるだろうという姑息な作戦を思わせます。
武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン)への対処
① 離島等における不法行為への対処
② 公海上で訓練などを実施中の自衛隊が遭遇した不法行為への対処
③ 弾道ミサイル発射警戒等の米艦防護
(参考)領海内で潜没航行する外国の軍用潜水艦への対処
国連PKOを含む国際協力への対処
④ 戦闘地域での多国籍軍への後方支援
⑤ 国連PKO要員らへの駆けつけ警護
⑥ 国連PKOで任務を遂行するための武器使用
⑦ 領域国の同意に基づく邦人救出
「武力の行使」に当たり得る活動
⑧ 邦人を乗せた米輸送艦の防護
⑨ 周辺有事で武力攻撃を受けている米艦の防護
⑩ 周辺有事の際の強制的な停戦検査
⑪ 米国に向け日本上空を横切る弾道ミサイルの迎撃
⑫ 周辺有事での弾道ミサイル発射警戒中の米艦防護
⑬ 米国本土が核兵器など弾道ミサイル攻撃を受けた際、日本近海で作戦を行う米艦の防護
⑭ 国際的な機雷掃海活動への参加
⑮ 武力攻撃発生時の民間船舶の国際共同護衛活動
 このうち、3番目の領域(「武力の行使」に当たり得る活動)は集団的自衛権行使の容認を必要とするものですが、2番目の領域(国際協力)も微妙です。この領域は海外への自衛隊派兵を前提にしているからです。

 一昨日の与党協議の対象となった「④戦闘地域での多国籍軍への後方支援」は「戦闘地域」での幅広い支援活動を解禁するもので、たとえ兵站活動であっても攻撃されれば戦闘に巻き込まれ、自衛隊の武力行使や「他国の武力行使との一体化」に転嫁する可能性は十分にあります。

 安倍首相にとっては、このような形での多国籍軍参加こそが悲願であり、集団的自衛権行使容認の主たる目標であることは昨日書いた通りです。それ以外の事例は、北朝鮮によるアメリカへの核ミサイル発射や朝鮮半島有事などを前提としており、ほとんど現実性のない荒唐無稽なものばかりです。

 ただし、公海上での米艦ないしは米輸送艦の防護も、安倍首相にとってはもう一つの優先事項であるように思われます。これは15事例のうち5事例と、3分の1を占めているからです。

 戦争になりそうな危機が高まったら、日本の領海外で活動するアメリカの艦船を自衛隊が防護できるようにすることも、集団的自衛権の行使容認を求める安倍首相の目標でしょう。しかし、艦船を防護するための高度な能力を持つイージス艦をアメリカ海軍は84隻も保有しているのに、日本の海上自衛隊は6隻しか持っていません。

 これだけ強力な艦船防護戦力を有する米艦を海上自衛隊が守ろうというのですから、まるで小学生が横綱に「ボク、守ってあげるよ」と言っているようなものではありませんか。横綱は「ありがとうね」と言ってにっこり微笑むかもしれませんが、「でも、邪魔をしないでね」というのが本音でしょう。

これからも自民党と公明党の与党協議はペースを上げて行われるようです。しかし、期限とされているガイドライン作成は日本側がアメリカに要望して年末までとされたのであり、それに間に合わせなければならないという根拠はありません。

安倍首相は、シンガポールやG7など海外で「力による現状変更」を厳しく批判しています。しかし、憲法9条の解釈について「力による現状変更」を目指しているのは、安倍首相本人ではありませんか。

憲法の根幹を変えてしまうような解釈変更を、数の力によって押し切るようなことは断じて許されません。与党協議の一方の当事者である公明党の役割は極めて重要になっています。

公明党は「下駄の雪」のようなもので、踏まれれば踏まれるほど固くくっつき、そのうち溶けてなくなるのではないか、などと言われてきました。このような評言に対して、山口代表は「下駄の鼻緒だ。切れたら歩けない」と反論しています。

本当に「下駄の鼻緒」の役割を演じているのか、切れたら自民党は歩けなくなるのか。安倍首相の暴走を抑えるために、いっそのこと公明党は「鼻緒」を切ってみたらどうでしょうか。

 なお、明日から北海道に行き、6月7日(土)午後1時30分から、札幌駅北口のLプラザで開かれる九条の会ネットワーク北海道第3回交流集会で「安倍首相のめざす『強い日本』とは何か―改憲戦略の目標と特徴を解明する」という講演を行います。興味と関心のる方は、ご出席ください。

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