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プライベートブランドの表示と製造所固有記号

先日、セブン-イレブン店舗において、イオンのPBと表示の【比較】を行っている画像がネットで話題になっていましたが、これに対し、イオンはセブンイレブン・ジャパンに対して抗議を行いました。

イオン/セブン-イレブン店舗での不適切な表示に抗議(強調は筆者)

イオンは5月28日、トップバリュに関してセブン-イレブン店舗での不適切な表示があったと公表した。

5月初旬、セブン-イレブンの店舗内で掲示されたと思われる販促物表示の写真がネット上に掲載された。

販促物表示には、「イ○ンのT○PVALUは原産国、生産者(国)がどういう訳かラベルに表示してありません。それに対してセブンプレミアムは生産者が明記してあります。しかもほとんどの商品が大手メーカー製です。安心してお買い求め下さい。」とあり、醤油やマヨネーズなど5点の例示商品が掲載されていた。

これを受けて調査した結果、当該販促物が実際にあるセブン-イレブンの店舗内に掲示されていた事実が判明したため、5月19日にセブンイレブン・ジャパンに対して、書面で抗議した。

これに対し、セブンイレブン・ジャパンより5月21日付で回答があり、「当該販促物表示はフランチャイズ店オーナーが独自に掲示したもので、5月12日に撤去した」、さらに、「販促物表示は不適切であり、当指導不足も迷惑をかけた原因として、イオンにお詫びするとともに、今後同様の不適切な行為がセブン-イレブン店舗で行われることがないよう指導を強化していく」と書面で回答があった。

2014年05月30日 流通ニュース


暫く前から、イオンのPBであるTOPVALUには原産国表示がなされていない。というネット上の噂は私も目にしていました。そこで、今回は現行の表示制度を確認しながら、不適切とされた販促物表示について検証してみます。


まずは、現行の食品表示制度を確認してみましょう。下図は現行の食品表示制度をあらわしています。

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現行の加工食品表示 第2回食品表示一元化検討会 【資料1】より 



この中で、【生産者】や【生産国】に関係する表示は、【製造業者等の名称及び所在地】と【原産国名 (輸入品)】、および【原料原産地名】です。順に説明を行います。

まず、【製造業者等の名称及び所在地】ですが、これは表示内容に責任を有する者の名称と住所が記載されます。この欄は【製造者】の他に、【販売者】や【輸入者】などと表示されている場合もあります。おおまかには、自社で製造している場合は【製造者】、他社に製造委託して販売を行っている場合は【販売者】、海外から輸入販売を行っている場合は【輸入者】の項目名で表示がなされていると思っていいでしょう。今回、問題になっているプライベートブランド品、いわゆるPBの場合、この【製造業者等の名称及び所在地】の記載方法について2つの考え方があります。1つは製造を委託された事業者の名称等を表示する方法、もう一つは、販売を行う流通事業者の名称等を表示する方法です。今回の場合、セブンプレミアムは前者、TOPVALUは後者の方法で表示がなされています。

次に、【原産国名 (輸入品)】についてです。輸入食品については、その食品が製造された国を【原産国名】として表示します。ですから、【原産国名】の表示がない食品については、その食品は国内で製造されたということになります。また、輸入品であれば、先の製造者等の表示は【輸入者】となります。

最後に、【原料原産地名】ですが、これは国内で製造された食品の原材料の産地を表示するものです。【原産国名】と間違われやすいですが、別物です。


ここで、問題の表示をみると『原産国、生産者(国)がどういう訳かラベルに表示してありません。それに対してセブンプレミアムは生産者が明記してあります。』とあります。この中で【原産国】が輸入品の【原産国名】を指すのか、国産品の【原料原産地名】を指すのかよくわかりません。仮に【原産国名】の事だとすると、輸入品を販売していながら、【原産国名】を表示せず、しかも【輸入者】の表示も行っていないことになります。また、【原料原産地名】の場合は例示されているマヨネーズなどは原料原産地表示の対象ではありません。いずれにせよ、イオンがこれらの表示について違反しつつ行政に表示違反を指摘されることもなく、自社PBの販売を行っているということはないと考えます。ただ、セブンイレブンとイオンとで製造社等の表示に対する考え方が異なるのは事実なので、おそらく、問題の表示は『イオンのPBはイオンが販売者として表示されているが、セブンプレミアムは生産者を明記している』という部分が、伝言ゲームのように検証されないまま伝わるうちに【原産国】の部分が付加されたのではないかと想像します。



もう一つ、製造所固有記号について

【製造業者等の名称及び所在地】の表示ですが、製造者の表示であっても、必ずしも製造した工場の所在地が表示されているとは限りません。多くの場合は【製造所固有記号】とともに、本社住所を記載していることが多いと思います。製造所固有記号がどういうものかについては、消費者委員会・食品表示部会の資料がわかりやすいでしょう。

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製造所固有記号について 第5回 加工食品の表示に関する調査会 【資料2】より

さて、この製造所固有記号は消費者にとって製造者がわからなくなる制度であるという批判がなされることがあります。しかし、本来の製造所固有記号は行政のための表示です。こちらは、同じく消費者委員会の第5回 加工食品の表示に関する調査会の資料から、製造所の所在地等の表示を義務付けている理由を引用してみます。

  • 食品衛生法において製造所の所在地及び製造者の氏名等の表示を義務付けているのは、食中毒等の飲食に起因する衛生上の危害が生じた場合に、都道府県知事等が、その原因となっている食品等の製造所の所在地及び製造者の氏名を把握し、当該危害の拡大防止を図るためのものである。

→副次的な効果として、商品を購入する消費者も、製造所の所在地情報を得ることができる。

  • 製造所等の表示に代えて表示される製造所固有の記号は、データベース化され、保健所等の行政機関のみが検索可能なシステムとなっている。

→消費者が具体的な製造所を知りたい場合、販売者等に問い合わせる必要がある。


あくまで具体的な工場名ではなく、【表示内容に責任を有する者の名称と住所】が重要ということです。異論があるかもしれませんが、現行の考え方はこうなっているということです。


最後に、実際のPBの表示例を確認してみましょう。最初の2つはセブンプレミアムの表示、最後はイオンの商品が入手できなかったため、同じ販売者表示を行っていた良品計画の表示です。見るとわかるのですが、実はセブンプレミアムにおいても、製造所固有記号は表示されてますし、販売者表示がなされている場合もあります。

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現在、食品表示法の表示基準を検討している段階にあり、将来的には制度の変更もあり得ます。しかし、現行の制度のなかでは件の販促物表示の指摘は的外れであり、イオンの抗議は正当なものだと考えます。

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