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- 2014年06月04日 07:19
“グーグル的”ではないネットメディアが求められている~「メディアの苦悩」編著者・長澤秀行氏インタビュー前編~
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ニュースアプリの登場や、ハフィントンポスト、東洋経済オンラインの躍進により、“次世代のメディア”に対する期待感が高まりつつある。一方で、既存のマスメディアもデジタル化の波に対応すべく試行錯誤を重ねている。マスメディア、ネットメディアは現在、どのような状況にあるのだろうか。また、こうした状況の中から生まれてくる“次世代のメディア”とはどのようなものなのだろうか。電通で30年以上、広告ビジネスに携わり、先日「メディアの苦悩――28人の証言
」を光文社新書から上梓したばかりの長澤秀行氏に話を聞いた。
長澤秀行氏(以下、長澤):私は、30年以上電通でメディアの広告を扱う業務に携わってきました。いわゆるクライアント担当の営業ではなく、メディア側の広告営業をメインに新聞を15年、その後の18年はネット媒体を担当してきました。ネットについては、本当に初期の時代、それこそヤフーの立ち上がり以前から関わってきました。
新聞などのマスメディアの時代からネットメディア黎明期、ガラケーの時代、そして現在のようなスマートフォンの時代という流れに身を置いてきた私が感じたのは、マスメディアの段階的な凋落です。広告のパワーが落ちているという側面もあるのでしょうが、メディアそのもののパワーが落ちているなという実感があります。代理店の中では、部数や視聴率に表れない、“広告の反響”もある程度データ化されています。こうしたデータを見ても、コンテンツに対してのアクションが徐々に弱ってきていると感じています。
―そうしたマスメディアの凋落の要因にはネットメディアの台頭があると思いますが。
長澤:ネットが誕生した際に、新聞や雑誌もデジタル化への対応をしてはいるんです。asahi.comやYOMIURI ONLINEや毎日JamJamなど各紙はヤフーより前にニュースサイトを立ち上げています。ですが、紙の販売と紙の広告収入という既存秩序を破壊しようとするものは、あくまで副次的に扱うというスタンスでした。なので、当初のネットニュースは、情報を紙より先に出さない、出したとしても速報のタイトルだけといったようにユーザーにとって利便性の高いものにはなりませんでした。
このように、マスメディアがデジタルをサブ的に扱ってきた結果、現在のネットメディアの世界ではヤフーがポータルメディアとして圧倒的ナンバー1の地位を占めています。ヤフーは、自らは取材しないものの各通信社、新聞社等から配信されたニュースをセレクトしてリアルタイムに、タイトルをつけて提供していくというモデルを確立しました。
ヤフーというポータルサイトは、ニュースメディアではあるものの、ジャーナリズム的志向はなく、「ニュースもひとつの情報ソース」とみなして、天気予報や乗り換え路線や映画情報等、生活情報を非常に幅広く、汎用性が高いサービスとして提供しています。なので、とりあえずヤフーに行けば、「なにかわかる課題解決エンジン」ということで、情報パワー不足の新聞社やテレビ局のマスサイトにユーザーがいかなくなってしまった。
朝日新聞や日経新聞以外の大手新聞社等はヤフーに記事を提供することで、配信料やアドネットワークでの広告収入の一部をヤフー経由で受けとっています。このやり方が最適であると考えているとしたら、新聞社、テレビ局にとってデジタルはその程度のものでしかないということなのですが、背景には新聞社の構造問題があると思います。
例えば、本の中に登場しますが、新聞協会の会長でもある読売新聞の白石社長は、非常にネットの現状を悔しがっていたように思います。ただ、どうしても新聞の場合は販売が強い。つまり、デジタル上での課金を促進することは、現状の販売店制度の利益とは相反するわけです。朝日新聞もデジタル課金を行っていますが、それほど大々的ではないですし、この問題を突破しているのは、大手では日経新聞だけじゃないでしょうか。
マスメディアは段階的に凋落しつつある
―長澤さんは、長年電通に勤務され、広告代理店の立場からメディアに携わってきました。最近のメディア全体の動向について、どのように感じていますか?長澤秀行氏(以下、長澤):私は、30年以上電通でメディアの広告を扱う業務に携わってきました。いわゆるクライアント担当の営業ではなく、メディア側の広告営業をメインに新聞を15年、その後の18年はネット媒体を担当してきました。ネットについては、本当に初期の時代、それこそヤフーの立ち上がり以前から関わってきました。
新聞などのマスメディアの時代からネットメディア黎明期、ガラケーの時代、そして現在のようなスマートフォンの時代という流れに身を置いてきた私が感じたのは、マスメディアの段階的な凋落です。広告のパワーが落ちているという側面もあるのでしょうが、メディアそのもののパワーが落ちているなという実感があります。代理店の中では、部数や視聴率に表れない、“広告の反響”もある程度データ化されています。こうしたデータを見ても、コンテンツに対してのアクションが徐々に弱ってきていると感じています。
―そうしたマスメディアの凋落の要因にはネットメディアの台頭があると思いますが。
長澤:ネットが誕生した際に、新聞や雑誌もデジタル化への対応をしてはいるんです。asahi.comやYOMIURI ONLINEや毎日JamJamなど各紙はヤフーより前にニュースサイトを立ち上げています。ですが、紙の販売と紙の広告収入という既存秩序を破壊しようとするものは、あくまで副次的に扱うというスタンスでした。なので、当初のネットニュースは、情報を紙より先に出さない、出したとしても速報のタイトルだけといったようにユーザーにとって利便性の高いものにはなりませんでした。
このように、マスメディアがデジタルをサブ的に扱ってきた結果、現在のネットメディアの世界ではヤフーがポータルメディアとして圧倒的ナンバー1の地位を占めています。ヤフーは、自らは取材しないものの各通信社、新聞社等から配信されたニュースをセレクトしてリアルタイムに、タイトルをつけて提供していくというモデルを確立しました。
ヤフーというポータルサイトは、ニュースメディアではあるものの、ジャーナリズム的志向はなく、「ニュースもひとつの情報ソース」とみなして、天気予報や乗り換え路線や映画情報等、生活情報を非常に幅広く、汎用性が高いサービスとして提供しています。なので、とりあえずヤフーに行けば、「なにかわかる課題解決エンジン」ということで、情報パワー不足の新聞社やテレビ局のマスサイトにユーザーがいかなくなってしまった。
朝日新聞や日経新聞以外の大手新聞社等はヤフーに記事を提供することで、配信料やアドネットワークでの広告収入の一部をヤフー経由で受けとっています。このやり方が最適であると考えているとしたら、新聞社、テレビ局にとってデジタルはその程度のものでしかないということなのですが、背景には新聞社の構造問題があると思います。
例えば、本の中に登場しますが、新聞協会の会長でもある読売新聞の白石社長は、非常にネットの現状を悔しがっていたように思います。ただ、どうしても新聞の場合は販売が強い。つまり、デジタル上での課金を促進することは、現状の販売店制度の利益とは相反するわけです。朝日新聞もデジタル課金を行っていますが、それほど大々的ではないですし、この問題を突破しているのは、大手では日経新聞だけじゃないでしょうか。




