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日本政府にとって小沢と沖縄は邪魔者でしかない - 岡留安則

 大阪地検特捜部における特捜部の主任検事、前副部長、前特捜部長の3人を逮捕する前代未聞の事件が発生した。村木厚子元厚生労働局長逮捕事件で証拠改竄があったことが判明したためである。検察のシナリオにそって証拠をデッチあげたのだから、特捜部のこれまでの権力を傘に着た傲慢な捜査手法がようやく表沙汰になったといえる。『噂の真相』では、長期にわたり、大手メディアが絶対書けない特捜部のタブーにチャレンジしてきた。そのおかげで、こちらも特捜部から名誉毀損で公訴されるという意趣返しを受けたが、検察側にもそれなりのダメージを与えてきたはずだ。しかし、捜査権と公訴権を持つ日本最強の権力機関からは、表向きは何事もなかったようにやりすごされてきた。司法記者クラブに所属している大手メディアが検察のスキャンダルをしっかりガードしてきたからだ。そうした『噂の真相』の経験から言えば「何をいまさら」という感じであるが、この際、特捜部の綱紀粛正のために、検察組織の根本的な病理を徹底解明し、特捜部組織の解体、取調べの全面可視化など検察の大改革を推し進めるべきである。 

 その検察組織がミエミエの政治判断をやることを国民に教えてくれたのが、尖閣諸島における中国漁船の海上保安庁巡視船への体当たり事件だ。漁船を拿捕し、船長らを逮捕したものの、最後は船長の満期拘留も起訴も待たずに突然釈放した。明らかに中国側から繰り出された対日圧力の数々に抗しきれず、政治・外交的配慮で事件を幕引きしたのだ。実際は官邸や外務省が那覇地検に圧力をかけたものだが、那覇地検の検事正は、自ら政治判断したことを苦し紛れに釈明し、官邸の意に従ったのである。

 これは、検察が自ら事件に対峙する時、政治判断で動くこともありうることを証明したも同然だ。特捜部が手がけた数々の国策捜査もしかり。小沢一郎という日米両政府にとって危険な政治家を潰すために1年以上にわたり、政治資金法規制法違反という微罪で徹底的に捜査したことにも当てはまるはずだ。検察による司法記者クラブへの情報リークを通じて小沢=ワルという見事なまでのイメージ操作にも成功したのだ。その結果が第五検察審査会による二度目の「起訴すべし」という議決につながったといえる。しかし、この検察審査会は建前上、検察捜査に対して市民感覚でチェックをかけるというものだが、その審査員も内容も秘密主義につつまれており、運用しだいではファシズムの温床になる諸刃の刃ともいえるシステムである。

 検察審査会に「起訴すべし」とされたその小沢氏が、沖縄選出の喜納昌吉前参議院議員に対して、次の県知事選候補は「伊波洋一しかいない」と発言したという。民主党本部は「伊波洋一の支持はありえない」という方針を掲げており、一貫して普天間基地の県外・国外移設を主張してきた沖縄民主党県連との間には大きなネジレがある。民主党本部はいまだに、仲井真知事支持と民主党独自候補擁立の間で揺れている。沖縄県民の立場に立てば、小沢氏の方がまさしく正論である。だからこそ、小沢氏は日米両政府から蛇蝎のごとく嫌われ、反小沢で凝り固まっている菅―仙谷政権やそれに追随するメディアから総スカンを食うのである。沖縄から見れば、対等かつ緊密な日米関係、辺野古基地建設反対、日米地位協定改定など難問が山積する基地問題を解決するには、これまでの官僚丸投げから政治主導の政治を力説する小沢氏の方がはるかにマシな政治家である。しかし、極論すれば、既得権益にがんじがらめにされた日本政府存続のためには小沢も沖縄も邪魔者という結論になる。これほどまでの国内差別、切り捨て策のどこが民主主義国家なのか。

 その沖縄では相変わらず、米軍の傲慢な要求が突きつけられている。それもだんだんエスカレートしているのだ。嘉手納基地の滑走路を補修する間、F15戦闘機を普天間基地や那覇空港でも使用するという宣告である。普天間基地は市街地の密集した場所にあり、軍用ヘリや輸送機はともかく、F15戦闘機は危険極まりない。普天間の嘉手納基地統合案が出た時、安保マフィアともいうべき御用評論家たちは、普天間の海兵隊と嘉手納の空軍が相容れるはずがないという縄張り意識で説明していたが、それは関係なかったということなのだ。海兵隊のグアム移転計画も予定より大幅に遅れることになった。米側の軍事戦略や国防予算削減も関係しているといわれる。その削減分を日本の思いやり予算で補えというのが米国の本音だろう。当初、辺野古新基地に配備される予定だったオスプレイも普天間基地に駐留させる可能性もあるのだという。北澤防衛大臣に至っては米国・ゲーツ国防長官とともに武器輸出三原則の見直しも画策している。ふざけた話ではないか。

 米国のご機嫌を損ねないためなら、歴代の政権も官邸も、そして防衛省や外務省も手段を選ばない謀略作戦に出てくるのは、過去の歴史が証明するところである。もう一度、尖閣諸島で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が体当たりするという作戦も否定できないのではないか。あるいは金正日の後継に決まった金正恩大将のために、ミサイルの一発も日本向けにブッ放すかもしれない。それが、米国の沖縄駐留の正当化につながる裏技だからだ。

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