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見えてきたのか日銀の物価目標、コアCPIは1.5%に

 5月30日に発表された4月の全国消費者物価指数は、コア指数が前年同月比プラス3.2%となった。上昇は11か月連続となり、3.2%という上昇幅は1991年2月以来、23年2か月ぶりの大きさとなる。

 参考までに1991年2月末の日本の長期金利は6.4%近辺にあり、日経平均は26000円台、ドル円は132円台となっていた。現在はそれぞれ、0.6%近辺、14000円台、101円台にいる。

 4月の消費増税による影響について日銀はCPIを1.7%押し上げるとしている。つまり3.2%からその押し上げ分を除くと、プラス1.5%となる。3月のコアCPIがプラス1.3%となっていたことから、ここから0.2%程度上昇したことになる。ちなみに5月について日銀は消費増税がCPIを2.0%押し上げるとしている。5月の東京都区部のコアCPIは2.8%の上昇となった。

 4月のコアCPIの3月に比べての0.2%分の上昇については、消費増税分の価格転嫁が予想以上に進んだとの見方もあろうが、増税を機にこれまで価格の引き上げを手控えていたところが価格の上乗せを行ってきた可能性もある。便乗値上げというよりも、価格を上昇が可能となる環境になってきたとの認識であったのかもしれない。つまり日銀の言うところの期待の効果が出てきている可能性がある。ただし、その環境を構築したのが、日銀の異次元緩和によるところであるのかという点については疑問は残る。

 4月の消費増税による影響としては、今日発表された4月の鉱工業生産指数もチェックしておく必要がある。経済産業省が発表した4月の鉱工業生産指数速報は前月比2.5%低下となった。消費増税の影響があるため、当然低下すると見られてはいたが、事前予想は前月比2.0%低下とされ、予想もさらに下回る結果となった。生産の低下に影響していたのは輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、化学工業(除.医薬品)等であった。つまり普通乗用車の生産の減少などが予想以上に影響していたものと思われる。経済産業省は総じてみれば、生産は横ばい傾向にあるとしている。

 また、4月の実質消費支出は前年比4.6%となり、2011年3月の東日本大震災の影響を除くとリーマン・ショック以来の減少幅となった。

 消費増税による景気等への影響は、このようなハードデータにより徐々にはっきりしてくると思われるが、鉱工業生産については思った以上に落ち込んでおり、これが早期に回復できるかどうかがポイントとなりそうである。さらに物価への影響についても消費増税のタイミングでの価格の引き上げが予想以上に行われていたようであり、日銀の物価目標に向けて、あと0.5%の位置に迫ってきた。

 今回のCPIを見る限り、日銀の2%という物価目標向けて、市場の予想以上に順調に向かっているとの見方もできる。消費増税による景気の落ち込みも危惧されており、4月の鉱工業生産もその可能性を意識させるものとはなったが、生産の先行きについては5月が前月比1.7%上昇、6月が同2.0%の低下となり、一方的に落ち込むような状況になっていない。日銀も消費増税の影響は一時的とみているが、その見方を覆すほどのデータではない。

 ECBは6月にも追加緩和を決定する可能性が強まっているが、日銀については7月の追加緩和観測はかなり後退している。少なくとも景気の大きな下振れが起きるようなことがない限り、今後は物価上昇が多少抑えられるとしても、1%台半ばあたりでの推移が続く限りは、追加緩和を行う可能性はないと思われる。むしろ可能性は低いとみられていた2%近辺への物価上昇が生じた際の日銀の対応のほうが今後は気になる。

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