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医師から密売人へ、注射器を横流し

覚せい剤密売人にとって、覚せい剤とともに顧客に提供する、重要な商売道具のひとつが注射器ですが、密売人の手元から大量に押収された注射器が、実は、医師が横流しした物だったことが明らかになりました。

覚せい剤密売人を検挙した兵庫県警が、その手元から押収した注射器の入手先を捜査し、容器に記載された顧客番号を追って容疑者を検挙したということです。
<ニュースから>*****
●注射器横流し容疑で医師逮捕 覚せい剤使用者に渡る
医療用注射器を無許可で大量に販売したとして、兵庫県警生活経済課は29日、薬事法違反(無許可販売)の疑いで、兵庫県姫路市山野井町、医師I容疑者(63)を逮捕した。

県警によると、I容疑者は2009年11月から昨年10月まで医療機器販売業者から約6万4千本を購入。その大半を転売し、覚せい剤の密売をしていたO被告(49)=覚せい剤取締法違反罪などで公判中=を通じて覚せい剤使用者に渡ったとみられる。

I容疑者は姫路市内で「I内科循環器科」を経営、理事長を務めている。
47NEW【共同通信】2014/05/29 19:34
*****
薬物摂取に使われる注射器のほとんどは、糖尿病患者がインスリンを自己投与(注射)するために使われるもので、インスリン皮下投与用針付注射筒と呼ばれるタイプのものです。全国でおよそ100万人の患者が血糖値のコントロールのために使っているといわれ、市場に流通している量が圧倒的に多いために、乱用者たちもこれを使うようになったのでしょう。

上記の件でも、ニュースに添付された写真をみると、警察が押収した注射器は、このタイプのもののようです。

このタイプの注射器は、薬事法が定める「高度管理医療機器」に指定されて厳密な管理が義務付けられており、許可がないと販売等を行うことができません。逮捕された医師は、許可を得ていないのに、「高度管理医療機器」に当たる注射器を売り渡したとして、薬事法違反に問われたわけです。

本来は、厳格に管理されているはずの注射器が、医師の手で横流しされ、密売人の商売道具に使われていたとは、なんとも情けない事態です。

ところで、覚せい剤乱用者や密売人が逮捕されると、その手元から、覚せい剤とともに、このタイプの注射器が頻繁に押収されていますが、これらが、どんなルートで密売人や乱用者の手元にたどり着いているのかが気になります。

密売人たちの仕入れルートをたどっていくと、怪しげなブローカーが浮かび上がることがあります。彼らは、インスリンを処方されている患者から買い取ったり、外国から不正な形で輸入したり、あの手、この手で注射器を調達しているといいますが、なかには正規の医薬品ルートから横流しされたものも混じっているかもしれません。ときどき、「誰にでもインスリン用注射器を売ってくれる」という薬局の名が、乱用者の間にクチコミで広まっていると聞くこともあります。

薬物事件の周辺では、注射器、不正入手した携帯電話や預金口座など、様々な不正やグレーゾーンの品物が押収されていることがよくあります。こうした物にも丹念な捜査の手を伸ばしていくことで、薬物事件の外堀を埋めることも可能でしょう。

薬物事件が減少しているいま、周辺へ捜査の目を向けることも、大切になっていると思います。

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