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原子力規制委員会の公平中立性

2日前の水曜日、原子力問題特別委員会で質疑をさせて頂きました。

先週から今週にかけて原発についての重要なニュースが次々と報じられています。
5月20日の吉田調書、翌21日の福井地裁判決、そして3日前の同意人事案。
私は限られた時間の中で、この3つについて其々質問をしてみました。

まずは、大飯原発3、4号機の運転を差止める福井地裁判決について。
関電が既に控訴していますが、上訴中に大飯原発が原子力規制委員会(規制委)の安全審査に合格し再稼働したとしても、この判決が確定した場合は運転することができなくなります。そのようなことになれば、関電は余計な費用をかけたことになりますし、規制委の労力は無駄になってしまいますし、同委が世界最高水準と謳っている安全基準の信頼性が揺らいでしまいます。よって、大飯原発については、最高裁の判決がでるまで審査をストップすべきではないかと提案しました。
田中委員長は「そういったことにまで今この時点で考える必要はない」との考えでした。

次に、吉田調書に関しての質問。
吉田調書では、9割もの人員が福島原発事故の際に、吉田所長の命令に反していったん第2原発まで退避していたと報告されています。私はそれについて攻めるつもりはありません。「生存権」を考えても仕方のないことだと思います。しかし、いざとなったら多くの作業員は同様の行動をとるということを念頭にいれなくてはいけません。つまり、最悪の場合は大半の人員が欠ける可能性があるということも織り込んで安全審査をしなくてはならないのです。
そのため、原発に通ずる「支援経路」の確保も審査の中に入れる必要があります。

私は以前、田中委員長に大飯原発の「避難経路(道路)」について質問したことがあります。
規制委で原発周辺に生活する住民の避難についても審査をしてもらいたいからです(殆どの先進国が規制委にその権限を与えています)。原発に通ずる道は「一本道」が多く、雪害や地震の崖崩れで道が塞がれ、逃げられなくなってしまうケースが考えられるのです。

その時は「それは自治体で考える事(災害対策基本法に基づいて)」と答弁されてしまいました。
今回は「支援経路」についての審査はしているかと田中委員長に尋ねたところ、「支援体制ができているかの審査はしている」との答えでした。

前述の通り、「避難経路」と「支援経路」は一本で一緒のものだと思うのですが…。しかし、それ以上の答弁は得られませんでした。より意味のある安全審査を確立して頂くために、この件については引き続き議論していきたいと思います。

最後に、9月に任期が切れる原子力規制員会の2名の後任についての同意人事のことを尋ねました。

2名の候補者のうち、田中知氏については、直近3年間だと日立GEニュークリアー・エナジーから60万円の寄付を受けています。これは、現在の委員を選ぶときに内閣官房が作ったガイドラインの「就任前直近3年間に、同一の原子力事業者等から、個人として、一定額(50万円)以上の報酬等を受領していた者」という欠格要件に該当します。
また、田中氏は、2011年度には東電記念財団から50万円、2005年から2010年までには日立GEから180万円、電源開発から100万円、そして日立製作所からは120万円も受け取っています。このように継続的に原発関連業者から寄付を受けている方を、中立公正性が要求される規制委の委員に任命するのは如何なものかと思います。

規制委の委員の人事案については、環境省の管轄ということで、環境副大臣に、そもそもガイドラインはどうなったのか、事業者や関連団体から寄付を受取ることは問題ではなくなったのかという質問をしました。
答弁は、「ガイドラインは、前政権によって作成され活用されたもの。今回の人選では、このガイドラインを適用するのではなく、あくまで法に定められた要件に従って選定した。但し、その際にはガイドラインの趣旨も念頭に置いた。」という非常にあやふやなものでした。
法に定められた要件には詳細がないため、原子力規制委員会が設置されるときにはガイドラインに基づいてやるという話になっていたはずです。民主党のつくったものは使わないと言うのであれば、現政権で環境省がしっかりとガイドラインを策定すべきだと提言しましたが、「必要ない」と答弁されてしまいました。これは驚くべき発言だと思います。
今まで規制委の中で電力会社に厳しい注文を付けてきた島崎委員長代理の代わりに候補となっている田中知さんは明らかに原子力村の住民で、筋金入りの原発推進派だと言えます。そういう人を規制委に入れる為に、ガイドラインを消し去ろうとしているのです。

最近の与党のなりふり構わぬ原発推進には驚きを隠せません。
田中委員長と規制委には中立公正な立場を貫いてもらいたいのですが、最近の強い圧力で、それが揺らいできています。
推進のバイアスが掛かった流れを何とか変えるために、ぜひ皆さんにも監視の目を光らせて頂きたいと思います。

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