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一般法人の問題点

先日、クローズアップ現代で、公益法人改革が取り上げられていました(ココ )。少し下火になっているテーマですけども、とても良い視点でした。

 かつて存在した公益法人の中におかしなものがあった、特に存在そのものが分からなくなってしまい、財産が散逸してしまったものも紹介されていました。ただ、私が一番注目をしたのは「一般法人」の件についてでした。

 かつての一部の(旧)公益法人に対する様々な批判があったことから、2008年以降、(新)公益法人への移行が進んできました。その過程で、再度公益性を厳しく審査して(新)公益法人になるものと、もはや公益法人であることを止めて「一般法人」という新たな法人形態に移行するものとが選別されていきました。

 2007年時点で国と地方自治体で24000くらいの(旧)公益法人がありましたが、この移行プロセスを経て、現在の(新)公益法人は9000強になっています。残りの15000の(旧)公益法人は一般法人等の他の法人形態に移って行きました。これ自体は良いプロセスだと思います。

 (新)公益法人は、所管官庁が内閣府(内閣総理大臣)になり、中央省庁に残ったのは「(法令に基づく)監督」権限だけです。これまでは、法令に必ずしも基づかなくてもあれこれと口が出せる「指導」の権限がありましたけど、そういうのは無くなりました。逆に一般法人は、もう完全に国とは何の関係もない普通の法人でして、新規に簡単に設立することが出来ます。この一般法人、何でもありでして融通無碍というのがその実態です。

 私は、この一般法人の問題点をかねてから指摘してきました(例えば、ココ )。クローズアップ現代でも取り上げられていましたが、大きく分けて以下のようなものです。

① 役所との関係がとても強いのに、一般法人になったため、政府側から全く手を着けられない状態になっているものがある。

② 税逃れのツールになる。

 ①ですが、政府から指導・監督を一切受けない、完全民間団体である(との推定が働く)一般法人ですが、今でも中央官庁や都道府県庁から補助金等が結構たくさん流れている団体がかなりあります。多いものになると100億円単位になります。かつて、(旧)公益法人時代に政府と関係がズブズブであった団体が、そのズブズブの状態を維持しながら一般法人に移行していったと見ていいでしょう。たしかに一般法人になると、諸税の負担が上がるのでデメリットがありますけど、そのデメリットを敢えて享受しても、行政改革や国民の厳しい目から逃れる方を選んだと私は見ています。

 これまでですと、(旧)公益法人には厳しいディスクロージャーが掛かっていましたし、色々な意味で厳しい視線にさらされてきました。しかし、一般法人になってしまうと、大したディスクロージャーは掛からない、あれこれ言われても「純然たる民間団体ですから」で全部逃げることが出来る、しかし、やっぱり中央官庁から天下りも補助金も流れてきている、これで国民が納得するとはとても思えません。私は現職時代、「カネ、ヒトで接点がある一般法人には、その接点のところを通じて厳しい目を注ぐべし。」と言い続けましたが、そもそも内閣府は「うちの担当ではありません。」というのが回答でして、では「何処が担当なのですか。」と聞くと、たしか「一般法人の仕組み自体は法務省担当です。」というすっとぼけた答えが返ってきたのを覚えています。

 ②ですが、融通無碍な一般法人は節税に使えるということが明らかになってきています(私は最初からそう思っていましたが)。クローズアップ現代でも、節税セミナーで相続税対策としての一般法人活用を推奨していました。つまり、一般法人に財産を移して、法人の代表者交代という手続きを通じれば、相続税を払わずに資金を親から子に移すことが出来ます(その資金は一般法人の財産ということにはなりますが)。なお、かつては政治団体でも似たようなことが行われていて、現首相も御尊父からこの手法で資金を移管したと報道されていたこともあります。

 これも内閣府に聞いた時は、「そんなこと起こりますかねえ。」が回答でした。しかし、節税セミナーで取り上げるくらい、これを活用した完全合法な節税が行われているのです。財務省が積極的に乗り出して、こういう穴を塞ぐべきだと思います。

 最後に一言、上記のような話は普通の一般法人には関係のない話です。取り上げなくてはならないのは、極めて限られた一般法人だけです。ただ、制度に穴があることは紛れもない事実です。勿論、(新)公益法人についても、その大半はお役所とは関係なく、純粋に公益事業をやっている団体です(しかも、移行の際、内閣府の厳しいスクリーニングを経ている。)。一時期、「公益法人」というとそれだけで怪しげな目を向けられていましたが、過去も今も、基本的に問題となるのは「極めて特殊なケース」のみです。

 だからこそ、ごく一部の一般法人のあり方がおかしいことが残念でなりません。そして、こんなことは、私のような1期目の国会議員でも気付くような事でした。あまり目立たない話ですけども、このまま放っておくと、またおかしなことをやっている法人が雨後のタケノコのように出て来ます。要注意です。

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