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外交・安保の実務者 「安倍法制懇は非現実的」

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「国民安保法制懇」の設立記者会見。元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は「(立憲主義への)危機感に加えて怒りすら覚える」。=28日午後、参院会館 写真:筆者=

 「安保法制懇」が、国民の声を聞かない安倍首相の私的諮問機関であるなら、我々は国民の立場に立った安全保障論議をしよう。法律家、元外交官、元国連職員らがきょう、「国民安保法制懇」を発足させた。

 メンバーは元内閣法制局長官の阪田雅裕氏、元外務省国際情報局長の孫崎享氏、紛争解決請負人の伊勢崎賢治氏ら12人。外交や安全保障の実務を知る人たちがいるのが特徴だ。

 安倍首相の唱える「集団的安全保障の容認」がいかに現実離れしているか。元実務者たちが斬りまくった―

 元国連職員の伊勢崎賢治氏は、安保法制懇が事例として挙げる「駆けつけ警護」がいかにナンセンスかを指摘した―
 
 「安倍首相の説明で自衛隊が国連のPKO要員として入った時に、現地で働いている日本のNGOワーカーや国連職員を助けられないじゃないか。9条が足かせになって集団的自衛権が行使できないで困るという。これは非常に不謹慎だ」

 「多国籍軍に同道した経験があるが、国連は国籍を差別しない。国連ピースキーパー全体として、現地で働いている軍民官を一丸となって、正当防衛という形で区別せずに彼らを警護する。国連の安全保障の議論上、問題にすることは非常に不謹慎だ。こういう議論をなさらないで頂きたいと首相官邸に申し上げたい」

 「駆けつけ警護と言う言葉、現場の我々の中でそんな言葉はありません。駆けつけて当たり前だ。ピースキーパーであろうと、国籍が違う部隊であろうと、ひとつの部隊が窮地に陥っている時に助けないという事態はありえない。駆けつけ警護は当たり前の正当防衛だ」。

 伊勢崎氏はアフガニスタンで紛争当事者の間に入り武装解除に漕ぎ着けた。内戦が続いていたシエラネオネ、東チモールなどでも紛争解決にあたった。武力衝突の現場では、安倍首相が唱えるような集団的自衛権の行使はあり得ない―伊勢崎氏はこう説いているようだった。

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解釈改憲反対は安倍独裁への反対でもある。=首相官邸前 写真:筆者= 

 元外交官の孫崎享氏は邦人保護の観点から「安倍法制懇」の不自然さを指摘した―

 「自分自身、邦人の危機があったイランやイラクなどで仕事をして来たが、邦人を米軍の飛行機や艦隊が来て助けてくれる等のシナリオはどの大使館も持っていないと思う」

 「イラン‐イラク戦争時のテヘランで助けに来たのは米軍ではない。日本のコミュニティが手配してトルコ航空が出してきた。邦人保護という問題が集団的自衛権の問題として出てくるのは、すりかえであろうかと思う」。

 孫崎氏は邦人がテヘランからトルコ航空機で脱出した翌年の1986年にイラク大使館参事官を、99年にはイラン大使を務めた。邦人救助の現場を知る孫崎氏は、米軍の日本人救助はあり得ない、ということを知り抜いているようだった。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏は「安倍総理が指示する方向に結論があって(安保法制懇は)それに理由づけをしただけ。実にひどい」と眉をしかめる。

 自衛隊が紛争地域に派遣されれば、日本は否応なく紛争に巻き込まれる。現実離れした陳腐な理屈が、悲惨な現実をもたらす。

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