- 2014年05月28日 07:00
「ホームレス」は減少しているのか――岐路に立たされるホームレス支援の今後 ‐ 大西連 / 自立生活サポートセンター・もやい
4/4いま必要な支援とは
「ホームレス自立支援法」が成立して12年が経つ。社会状況の変化にともない「ホームレス状態」の人たちが既存の定義の枠組みをこえて多様化し、拡がりをみせ、従来型の制度のメニューでは対応しきれなくなっている。
しかし、一方で、これまでの定義の「ホームレス」に関しては3分の1以下に減少した。これをどう評価するかは難しいが、既存の制度の成果は一定程度あったと言っていいだろう。しかし、少し逆説的な言い方をすれば、既存の制度で支えられない状況の人、こぼれてしまう人が路上に残っている、と言うこともできる。
そして、その人たちは、先述したⅠ群の人たちのように、見えづらい困難さ、病気や障がい(精神障がいや知的障がい、アディクションなど)を抱え、より困難な状況におかれている場合が多い。
そんな彼ら・彼女らを、従来型の就労ありきの制度で支えていくことはできるのだろうか。
いや、それは難しいだろう。
いま必要なのは、一人ひとりの状況に応じた医療福祉的サポート、個室のシェルターの設置やアパートへの円滑な入居支援等の転宅支援、そして継続的に地域で生活を維持していくことができるような支援を、柔軟にかつ迅速におこなっていけるような制度を作っていくことだ。
よくこういう提案をすると「お金がかかる」「人手が足りない」といった当事者のニーズを無視した意見や、「怠けている」「本人の頑張りが足りない」などと言った自己責任論に回収されてしまうのだが、そろそろ具体的にどう問題を解決していくか、という視点にたって、真剣に考えなければならない状況になっているのではないだろうか。
ホームレス支援の今後
「ホームレス自立支援法」は恒久法ではなく時限立法(期限つきの法律)であり、もし延長されなければ2017年には切れてしまう可能性がある。そして、2017年といえば、昨年成立した「生活困窮者自立支援法」の施行期日でもある。
もちろん、2017年までに「ホームレス」をとりまく諸課題が解決されていればわからないが、もし解決されていなかったとして、仮に「ホームレス自立支援法」はなくなり、実際の支援のメニューの一部が「生活困窮者自立支援法」に組み込まれることがあるとすると、それはいかがなものだろうかと思う。
既存の「ホームレス自立支援法」も「生活困窮者自立支援法」も「就労自立」を前提にしたものである。であるならば、「ホームレス自立支援法」で支えられなかった人は、同じ前提で動く「生活困窮者自立支援法」でも支えられないのは明らかだ。
これまでやってきたことで支えられないのであれば、やれていなかったことや、新しいことにチャレンジして変えていくしかない。
そういった意味でも、貧困の実態、「ホームレス」の実態について、調査分析を進め、時代にあわせて、実情にあわせたものに、そして何よりも一人ひとりの「ホームレス状態」の当事者の声に耳を傾け、どういった制度を作っていくのか、認識や知見をアップデートしていくことが求められる。
「ホームレス概数調査」によれば、「ホームレス」は減少している。しかし、それは、「ホームレス問題」のフェーズが移行したことを端的にあらわしている。いま路上に残っている人たちをどう支えていったらいいのか。そして、多様化し、見えづらい「ホームレス状態」の人たちをどう支えていけるのか。
2017年に、私たちは「ホームレス問題」を切り捨てるのか、それとも、新しい「ホームレス支援」のフェーズに勇気をもって踏み込んでいくのか。いま、私たちは岐路に立たされているのかもしれない。
参照:
日本のホームレスの現状と課題/もやい・大西連氏インタビュー http://synodos.jp/welfare/3559
2020年東京オリンピック――「ホームレス排除」のない社会を目指して/大西連 http://synodos.jp/society/6263
画像を見る大西連(おおにし・れん)
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
1987年東京生まれ。新宿での炊き出し・夜回りなどのホームレス支援活動から始まり、現在はNPO法人自立生活サポートセンター・もやい、東京プロジェクト(世界の医療団)などに参加。生活困窮された方への相談支援に携わっています。また、生活保護や社会保障削減などの問題について、現場からの声を発信したり、政策提言しています。



