- 2014年05月28日 07:00
「ホームレス」は減少しているのか――岐路に立たされるホームレス支援の今後 ‐ 大西連 / 自立生活サポートセンター・もやい
3/4「ふとんで年越しプロジェクト」から見えたこと
2013年~2014年の年末年始に、都内のホームレス支援団体、生活困窮者支援団体の有志で「ふとんで年越しプロジェクト(以下「ふとんP」)」を結成し、年末年始の「閉庁期間」(役所がお休みの期間)のホームレス状態の人、生活困窮者への相談支援や、シェルター提供等の活動をおこなった。
ふとんで年越しプロジェクト:http://futon-prj.strikingly.com/
プロジェクト報告会の様子:http://bigissue-online.jp/archives/1000676801.html
詳細は上記を参照してもらいたいが、例えば、シェルター利用者の平均年齢は46.2歳と比較的若く、いわゆる野宿者の平均年齢が59.3歳(平成24年度ホームレスの実態に関する全国調査)であることを考えると、住まいを失った生活困窮者の実情が国の定義の「ホームレス」だけでは不十分であることを如実にあらわしている。
また、相談者の概況としては、
・長期路上層(Ⅰ群)
・路上と支援を行き来している層(Ⅱ群)
・不安定就労&不安定住居層(Ⅲ群)
の3つに大きく分けることができた。
Ⅰ群の「長期路上層」は、病気や障害があって支援につながりづらい人や、行政機関への不信感を強く持っている人など、支援につながることが難しい人たちが含まれる。
Ⅱ群の「路上と支援を行き来している層」に関しては、これも病気や障がいなどにより、支援につながってもうまくいかない、また、個室のシェルターや適切に金銭管理等の支援をおこなえないなど、行政機関の用意できる支援では不十分であることによって「自分で失踪してしまう」と思われてしまう人たち等が当てはまる。
Ⅲ群の「不安定就労&不安定住居層」の人たちは、比較的若い人たちで、就労は可能でも同じく見えづらい病気(難病だったり発達障害だったり)を持っていたり、また、ネットカフェや脱法ハウスなど、不安定な住居で生活しながら、不安定な就労を転々としている人たちである。
このように、「ホームレス状態」にある人のおかれている状況や背景は、現場レベルの聞き取りのなかでは、多様化・複雑化している。
例えば、見えにくい困難さを抱えたⅠ群やⅡ群のような人を、既存の就労支援ありきの「ワークファースト」型の制度のメニューでは支えられないことは明らかである。
そもそもが、就労するのが難しい状況の人も含まれるだろうし、それに制度利用するにしても、既存の公的なシェルターや宿泊施設等は複数人部屋だったり環境がよくないところが多く、精神障害や知的障害を抱えた人などは、利用するのが難しい場合も多い。
また、同じく、Ⅲ群の人たちのように、脱法ハウスや寮付派遣などの不安定住居層・住居喪失予備軍の人たち(E群・F群の人たち)は、既存の支援のメニューでは「自立している」とされ、そもそもが、制度にも捕捉されない可能性も高い。
国の「ホームレス」への方針
2013年「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」によれば、今後、ホームレス支援においては、
・固定・定着化が進む高齢層に対する支援
・再路上化への対応
・若年層に対する支援
が必要とされている。
参照:ホームレスの自立の支援等に関する基本方針
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/homeless08/pdf/data.pdf
この上記3分類は、「ふとんP」の相談者を3分類したもの(Ⅰ群~Ⅲ群)と合致している。
しかし、基本方針には、
「就業の機会が確保されることが重要であり、併せて、安定した住まいを確保することが必要である。」
とも書かれている。
先ほど見てきたように、Ⅰ群~Ⅲ群の人は、すぐさま就労というよりは、医療福祉的なサポートや、安定した住まいの提供などの支援が、まず優先されるべき状況であることがほとんどだ。
一方で、既存の制度では、例えば、路上生活者のための自立支援センターなどは、そもそもが、就職活動をおこなうための制度となっている。
そして、2015年からスタートする予定の「生活困窮者自立支援法」による各事業も、基本的には稼働できるか/できないかによる「就労ベース」での制度となっている。
参照:新たな支援制度の実態とは――生活困窮者自立支援法の問題点/大西連
http://synodos.jp/welfare/5308
このように、既存の制度は、「就労自立」が前提なっており、国もその方針を変えていない。それは、「ホームレス自立支援法」も「生活困窮者自立支援法」も同じである。
しかし、「就労自立」を前提とした従来の制度で、Ⅰ群~Ⅲ群の「ホームレス状態」の人を支えることができるのだろうか。



