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2010年5月25日@参議院内・中庭側廊下 - 畠山理仁

フリーランスライター畠山理仁の「永田町記者会見日記」

 5月24日朝、突然、私の携帯電話がなった。出てみると、なんと厚生労働省の記者クラブ、厚生労働記者会の幹事社からだった。

「今週から厚生労働省の閣議後会見もフリーランスの記者の方にオープンになりました。先週のクラブ総会で決まりましたのでお知らせします」(幹事社・テレビ朝日の記者さん)

 自分でもいつ問い合わせたのか忘れてしまったが、以前、厚生労働記者会に「大臣の会見に出席したい」とお願いしていたことが幹事間でずっと引き継がれていたらしい。
 私はさっそく、長妻厚労相の会見に参加するべく準備を始めた。しかし、翌日の記者会見の場所は「参議院の院内」。国会記者証を持たないフリーランスの記者は自由に出入りできない場所だ。せっかくオープン化されたのにガックリきたが、私はなんとか各方面の協力を得て国会内に入り、長妻大臣に2問質問した。

畠山「今週から閣議後会見へのフリーランス記者の参加も認められるようになりました。政権交代から8ヶ月。岡田大臣をはじめ、多くの大臣が会見をオープンにする中、(記者クラブに所属しない)雑誌出身(長妻大臣は元・日経ビジネス記者)の長妻大臣がオープンにするまでにここまで時間がかかってしまった理由をお聞かせください」

長妻大臣「まあ、あのー、定例記者会見というのが記者クラブ主催ということでありますので、これはまあ記者クラブの方のご尽力、ご配慮があったんだというふうに思います。
 それまでも、そういうフリーの方、クラブに所属していない方の参加というのもされていたと聞いておりますので。今後ともですね、我々厚生労働省が主催するいろいろなイベントについては皆様方にもご案内を申し上げておりますので。多くの方が参加できるような、まあ、厚生労働省主催についてですね、さらに広報を周知、広報室とも話しあって周知を努力するということで。まあこれからも、まあ、その努力はして参ります」

 残念ながら、この長妻大臣の認識は事実と異なる。実際、私はこれまで記者クラブ主催の記者会見への参加を求めても断られてきた。だから今回、わざわざ幹事社から連絡があったわけで、この日が初めて「公にオープン」になった会見なのだ。
 他の記者の質問が続く中、私は次の質問の機会を待った。

畠山「今回のオープン化は、大臣のほうから働きかけて実現したのか、それとも記者会側が自主的にといいますか、率先してオープンにしたのか。そのあたり、大臣のご認識としてはどちらになりますでしょうか?」

大臣「…(しばし沈黙)。ま、これは…(沈黙)。ま、そういうふうな形がありがたいという思いは持っておりましたけれども、まあ、具体的に直接、ま、強く要請したということではないわけで…。これはもう(記者会側の)自主的なご判断でなされているだと思いますよ」

畠山「記者会側が、ということですね」

大臣「はい」

 長妻大臣は、“自らオープン化を要請していたわけではない”という事実を認めた。先月末の厚生労働省・省内事業仕分け後のぶら下がり会見で、大臣は私の質問に対して「検討していきたい」と答えていた。それなのに、実際には何も進んでいなかったのだ。「会見のオープン化」を約束してきた民主党政権の閣僚なのに、国民の一人としてはガッカリだ。

 もちろん記者会見がオープンになったのは喜ばしい。国民にとってもマイナスにはならない。それを拒否しなかったという消極的な意味では長妻大臣も悪くない。確かに大臣がいうように厚生労働省主催の各種行事はフリー記者にもオープンになっている。
 それでもなお、私は思う。一言、「閣議後記者会見をオープンにする」と言うのはそんなに難しいことなのか。もし記者会側がオープンにしないと言ったら、「大臣主催で会見を開く」と言えばいいだけの話ではなかったのか。実際、亀井静香金融相、枝野幸男行政刷新相、小沢鋭仁環境相は、記者クラブ側がオープン化を了解しなかったため、大臣主催で別の会見を開いている。だが、長妻大臣は記者クラブ側に「オープンにして欲しい」という要請すら行なっていなかった…。

 ちなみに今回、初めて「公式に」オープンになった記者会見に、フリーランスの記者として参加したのは残念ながら私一人だった。それは場所が「国会内」だったからだろう。
 国会日程など、なかなか難しいところもあると思う。だが、亀井静香大臣や原口一博大臣は、なるべくフリーの記者も参加できるよう、省内の会見室にわざわざ戻って記者会見を開く努力をしている。ぜひ長妻大臣にも頑張っていただきたい。

 最後に、自らオープン化に踏み切った厚生労働記者会には「報道を担う者としての良心」を感じることができた。「かなり時間がかかりましたね」というイヤミ付きですが(笑)。
 さて、まだオープン化をしようとしない大臣や記者クラブの皆様、どうします?

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