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シェアリングは持続可能か迷惑行為か?Airbnbとニューヨーク係争の行方

新しい時代の消費モデルとされる、シェアリングエコノミー(共有型経済)。

モノやサービスを共有することで各々が所有するより資源を有効利用できるため、持続可能な社会の姿といわれています。さらに、個人間で取引することで、人との交流や信頼の輪が生まれる、個人が手軽に収益を得られる、起業家精神が育つなど、さまざまなメリットがあるとされています。

なかでも、留守中や使っていない部屋を旅行者に貸し出す「ホームシェアリング」は、ホテルよりも安く、暮らすように旅ができると、世界中で評判に。ホテル代も家賃も高いニューヨークでは、貸す側からも借りる側からも歓迎されています。

ところが、ホームシェアリングは良い側面ばかりではないことが明らかになってきました。

全体のごく一部ではありますが、借りた家での盗難や損壊、売春や薬物利用などの違法行為、騒音などによる近隣住民への迷惑行為を行う利用者が現れるようになりました。

最大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は、上限100万ドルの保険をかけて部屋の提供者(ホスト)を保護していますが、たとえ犯罪が行われなくても、見知らぬ人が頻繁にマンション内に立ち入ることを快く思わない近隣住民は多く、市に苦情が寄せられるようになりました。

また、ホテル税の支払を免れるために、個人を装ってシェアリングを利用する悪徳業者も出現。Airbnbを通して、年に数万から数十万ドル(数百~数千万円)を稼いだホストもいたようです (techcrunch)。

これに対し、低価格ホテル事業者は業務妨害だと抗議。低所得者向けの市営住宅が悪用される可能性を懸念する非営利団体も不満を訴えています。

2010年、ニューヨーク州はこうした不満に対処すべく、居住者が不在中に市内の住居用スペースを30日未満の短期で貸し出すことを禁止する法律を制定しました(30日以上の又貸しについては著書「サスティナブルシティ ニューヨーク」参照)。

ところが、これを知らずにAirbnbを利用して旅行中に部屋を貸した市民が、市と大家から高額の罰金を請求されるトラブルが発生。大きな話題になりました(NYTimes)。

それでも違法行為はなかなか減らず、ついに州とAirbnbとの係争に発展。

今年に入り、州司法長官がAirbnbに対し、登録している全ホストの個人情報を提出するよう申し立てました。対象が広すぎるとして申し立ては一度却下されたものの、個人を特定できない形で情報提供するという条件で、昨日和解が成立。提供された情報を元に、今後一年かけて州側が調査することになりました。

Airbnb側は、ニューヨークの法律は時代に合っていないとし、同社がホテル税を支払う代わりに短期賃貸を認めるよう主張していますが、州側は今のところ応じる気配がありません。

同様の問題は、サンフランシスコなどアメリカ他都市や他国、また「ライドシェアリング(車の相乗り)」など別のサービスでも起こっており、法改正が行われるケースも出てきています。

シェアリングは、個人間の助け合いとビジネスとの間のグレーゾーンであり、既存の法律では対応しきれないことが多いようです。新しい概念やサービスが生まれる際には、既成概念との矛盾や対立がつきものですが、時代の流れにあわせて規制を変えていくしかないのでしょう。

Airbnbは日本にも進出していますが、今のところ特別問題は起こっていないようです。

シェアリングを持続可能な社会の在り方と考えるか、単なる迷惑行為と捉えるかは立場によって異なります。すべての人が満足する規制を作るのは難しいことですが、市民の安全を守りつつ個人が主体となる新しい社会の芽を潰さないよう、各都市で最善の策が採られることを期待したいと思います。

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