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【速報】「明日ママ」。BPO人権委員会が「審議入りせず」門前払い

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この委員長コメントに対しては、ドラマの第1回、第2回の放送を見て、虐待体験などでフラッシュバックを起こしやすい児童養護施設にいる子どもたちへの理解を欠いたものだとする批判が児童福祉関係者から上がった。第1回などの表現に、子どもたちへの「加害性」があるということが指摘されていたのに、ドラマの「その後の展開」では「共感的意見も寄せられるようになっていった」とその後の放送を評価している。

このことは私個人として見る限り、巧妙な論理のすり替えだと感じる。

私の知る限り、第1回の放送を見て「リストカット」にいたった施設の子どもたちや施設出身の若者が複数いたことは事実だ。

あのドラマでの児童養護施設やそこで暮らす子どもたち、実の親や里親候補者たちについての、暴力的な極端な描写が、たとえ少数者とはいえ、特定の子どもたちの心の傷に触れてフラッシュバックを起こし、リストカットなどを引き起こしたことは事実だ。

そのことをBPOとしてどう見るのかが問われるべき最大のポイントだと考える。

それなのに、第1回放送の「加害性」は、第3回以降の放送で解消されるものなのだろうか?

もし、第1回の放送を見て「リストカット」して、命を落とす結果につながった子どもが出た場合、その後の放送が改善されたら、その子どもの命は回復されるのだろうか?

青少年委員会の委員長コメントからは、そうした危機意識は感じられない。

むしろ、委員長コメントでは、スポンサーのCMが流されなかったという事態の方を重くみている印象を与える。

しかし、視聴者からの批判が、提供スポンサーにまで影響を及ぼすということが安易に行われると、番組制作自体が次第に成り立たなくなっていく可能性が生じる。批判は大いに歓迎したいが、それが放送局と視聴者双方の表現の自由を制限する方向に向かわないようにすることが、今回のことが社会に投げかけた教訓といえよう。

出典:BPO青少年委員会 議事概要 第156回のホームページ

「視聴者からの批判」が「提供スポンサーにまで影響を及ぼす」ということは、委員長コメントにあるように「安易に行われ」たと言っているような表現には違和感を抱いた児童福祉関係者は少なくない。なぜなら「子どもの命」にかかわることだからだ。「子どもの命」にかかわる、という問題意識がスポンサーに届くことが「安易」なのだろうか?

一般論として、内容は良い番組なのに特定団体が何か気に入らないとして抗議の声を上げて提供スポンサーに働きかけ、番組内容に影響があった場合、ケースによっては「安易に行われ」という表現は当てはまるかもしれない。だが、今回は「子どもの命」の問題で緊急を要するとして関係者が声を上げた経緯を私自身は取材の過程で知っている。

「安易」という表現で片付けられてしまっては、真剣に考えてきた専門家たちはたまらないだろうと想像する。

こうした状況を受けて、放送人権委員会でも「審議入り」するかどうかが注目されていた5月20日の会議だったが、ここでも委員会としての結論はけっきょく「審議入りせず」だった。

実は放送人権委員会では3月、4月の会合でも審議入りするかどうかの結論を出すつもりで話し合いをしながら、ずるずると結論が先延ばしされていた。

そのあげくの5月20日の結論だった。

「審議入りしない」理由は、手続き的に不十分だった、というものだ。

手続き的に、どこがどう不十分で、こうすれば審議対象にする、というような懇切丁寧な説明をBPO側が行ったという事実は私が取材した限りでは、ない。その結論であれば最初から分かっていたことではないのか。

BPOという放送倫理のお目付役は、関係者に十分な説明もないままに、手続き論で、第1回の番組内容について、放送倫理上、どんな問題があったのか、なかったのか、という中身の判断を示すことを放棄したのだ。時間だけを費やしたあげく。

結果的にBPO がはたして放送倫理上の違反があったのかなかったのかという判断をせずに門前払いしたことについて、慈恵病院は「子どもたちの人権が危機にあると真剣に考えたから申し立てを行った。放送人権委員会でも門前払いだったことで、BPOの存在意義が問われると思う。BPOは視聴者よりも放送局の側への配慮が露骨だ」とコメントしている。

一連の経緯を振り返ると、まず第1回の放送の後で今回の申し立て人である慈恵病院は、全国児童養護施設協議会などの関係者ととにも記者会見などを通じて放送局(日本テレビ)に内容改善などを求めた。

しかし、放送局側は応じなかった。

このため、BPOに申し立てを行った。

申し立てに対して、BPOはなかなか結論を出さず、最終的な結論出したのは放送も終わってかなり経った5月20日のことだった。

放送局もBPOも速やかに対応しなかった。

「このままでは子どもの命が危ない」。

そう考えた専門家たちがテレビ局や放送倫理を統括する機関であるBPOに働きかけても、すぐに動いてもらえなかったから、スポンサーに働きかけた。

それ以外に方法があったのだろうか?

放送局やBPOが迅速に動く体制やそうした姿勢を見せていれば、ここまで問題は広がらなかった。

その点を一切、反省することもなく、その点を反省するコメントも出さずに、「安易」だという表現で説明するような青少年委員長のコメントは、BPOの自らの怠慢や能力不足を棚に上げていると考える。また、これほど後になってから、事実上、中身についても触れながら議論もしているのに、「門前払い」にしてしまう結論の出し方。「放送倫理の番人」のあり方として、これで良いと関係者は感じているのだろうか? 申し立て人に対する、手続きが適正だったと言えるのだろうか。

個々の委員や職員が怠慢で無能だと言っているのではない。

それそれの職責で努力した人たちがいたし、それらの努力の末の結論であることは理解しているつもりだ。

だが、医師や施設関係者らの専門家たちが「これは子どもを守るための緊急事態だ」として声を上げても、迅速に対応できない、待たせたあげくの門前払いなのであれば、それは現在のBPOのシステムそのものに欠陥がある、と言わざるえない。

少なくともBPOは「放送倫理上」「適切だったのか」「不適切だったのか」「加害性をどう考えるのか」を調査し、判断する役割を期待されていたのに、最終的にその期待を裏切ったという汚点を残す結果になった。

このことは極めて残念だと言うほかはない。これでは視聴者はBPOを信頼しなくなる。

少なくとも実質的な審議に入った上で、何らかの判断をすべきだったと考える。

判断が難しい問題からは、BPOは結局、逃げてしまうのではないか、と思う視聴者の疑念はますます強くなるだろう。

それでは、行政による規制ではなく、放送業界が自律的に放送倫理を守る、という今のBPOの体制への信頼が失われてしまう。

今回の放送人権委員会の結論によって、その機会が永遠に永遠に失われてしまったことは本当に残念だ。

※Yahoo!ニュースからの転載

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