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EUの将来がかかる欧州議会選挙

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次の5年、2019年へと向かう欧州連合

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1951年4月、当時のフランス外務大臣ロベール・シューマンの呼びかけで始まった欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の条約が調印された © European Union, 2014

欧州統合の起源は1950年5月、当時のフランス外務大臣ロベール・シューマンが演説の中で言及した、石炭と鉄鋼の共同管理の提唱にさかのぼる。以来欧州各国は、政治的、経済的統合に向かって動いてきた。幾多のさまざまな要素が推進力となり、またしばしば歴史的・地理的状況がその動きに関与してきた。しかし、リスボン条約を経て権限が拡大された欧州議会は、欧州統合の深化に向けていよいよ大きな役割を果たしていくことになる。

今日、グローバル化の中にある世界で、EUは迅速な対応を、そして加盟国が一つの声で発信することを求められている。リスボン条約ではそれらの課題に対応し、その結果、欧州議会に新たな権限を与えた。拡大された権限により、欧州議会はEU市民の日常生活にも、これまで以上に影響を及ぼすことになるだろう。

今回の選挙後に退陣する欧州議会と欧州委員会は、欧州統合以来最も過酷な環境に置かれ、EU自身の崩壊とは言わないまでも、ユーロの破綻さえも危惧される中、財政的、経済的危機を乗り越えてきた。責任の共有、協調、連帯を通じ、わずか5年前には思いもよらなかった「銀行同盟」の基盤を短期間で整備した。しかしやるべきことはまだ残っている。かつての債務危機により、多くのEU市民がいまだにその痛みから抜け出していない。新欧州議会は、EUの競争力強化、雇用創出および金融システム安定化に、引き続き取り組まねばならない。

EUは今後5年間、気候変動、核不拡散、テロ対策など世界規模の問題についても、国際社会においてこれまで以上に活発に行動し、平和、安定、協力の構築を目指すことになる。EUが世界の中でさらに活動的で、実効ある存在となる―― 5月に開催される欧州議会選挙は、その弾みとなるだろう。

2014年欧州議会選挙までの、欧州議会の歩み

1952年
欧州議会の前身である、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の共同総会が開催された。同総会の議員数はわずか78名、議長はポール=アンリ・スパークが務めた。
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© European Union

1979年
普通選挙による欧州議会の直接選挙が初めて行われ、当時の加盟9カ国(ベルギー、デンマーク、ドイツ、アイルランド、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、英国)の国民が投票。フランスのシモーヌ・ヴェイユが議長に選出された。
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初の直接普通選挙後、議長に選出されたヴェイユ氏 © European Union, 2014

1986年
単一欧州議定書により、1962年から非公式に使われていた「欧州議会」という名称が正式名称となる。議会の法的権限が強化され、また特に加盟国の拡大に関する協力手続きと承認手続き(the cooperation and assent procedures)が導入された。

1992年
マーストリヒト条約(欧州連合条約。1992年調印、1993年発効)により、EU理事会との共同決定手続きが導入された。欧州議会は、消費者保護、他国での合法的就労、環境問題など、EU法が適用される広範な分野に関し、EU理事会の共同立法機関となった。

1997年
アムステルダム条約(改正条約)調印。同条約により共同決定手続きの範囲が拡大され、議会がより実効性を持つようになる。欧州議会がストラスブール(フランス)とブリュッセル(ベルギー)の2カ所に議場を持つことが法制化された。

2009年
リスボン条約(改正条約)により、議会の権限が強化された。共同決定手続きが通常立法手続きとなり、さらに範囲が拡大された。また、同条約により欧州委員会委員長の任命を欧州議会選挙の結果と関連付けることが決定し、欧州議会議員数については、議員750名と議長1名の計751名に固定した。
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© European Union

日本の国会議員からのメッセージ

EU MAGで欧州議会選挙を特集するにあたり、日本・EU友好議員連盟会長であり、欧州議会と日本の国会の間の議員交流に長く関わっておられる保利耕輔衆議院議員から寄稿を頂戴した。

日本とEUとのさらなる政治レベルの交流を期待

衆議院議員 保利耕輔

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私がヨーロッパで仕事をしているころ、衆議院議長であった私の父が欧州各国を二度公式訪問する機会があり、私の事務所にも立ち寄ってくれました。父は私に、「ヨーロッパで仕事をしていてどんなことを感じているか」と尋ねました。私は、「ヨーロッパで仕事をしていて、時々日本に出張して感じるのは、いろいろな物事について日本はアメリカの影響を強く受けているということです。経済の面では日本とヨーロッパとの関係は次第に強くなってきていますが、政治の面での日本とヨーロッパとの関係は弱い。だから、日欧の政治レベルの交流を強めるべきでしょう」と、自分が感じていることを父に話しました。

父は「そうかのう」と言ったきりでしたが、その後、欧州議会のコロンボ議長に会った折、日欧の議会間交流について話し合い、日本とECの議員会議が発足したと伝えられました。それから程なくして父は他界し、私が国会に出るようになりました。私は日・EU友好議員連盟に加入し、以来ずっと日本とEUの友好関係維持のため微力を傾注しています。

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2013年2月に衆議院第一議員会館で開催された第34回日本・EU議員会議の様子 (写真提供:衆議院)

1978年に開催された「日本・EC議員会議」を第1回として、現在までに34回の定期会議が開催されています。これは日本の国会が持つ議員会議としては、最も古い歴史を有するものです。当初、貿易問題に集中していた議題も、現在では政治、国際協力、安全保障、環境等の幅広い分野に及んでいます。

私たちは今回の欧州議会選挙で新たに選出される欧州議員との交流を今から心待ちにしています。そして、シュヴァイスグート駐日EU大使とも時々お会いし意見を交換させていただく中で、双方困難を抱えつつも日欧の交流を通して協力関係を発展させていきたいと願っております。

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