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経済同友会の提言 予備試験の廃止と法科大学院制度

前回に引き続き経済同友会の提言についてです。
経済同友会の提言 予備試験の廃止と法科大学院制度

 この提言の中で非常におもしろいのは、基本的人権という単語がところどころに用いられているのですが、それがどのような意味で使われているのかが全く不明な点です。

 抜粋してみましょう。以下の2カ所のみです。

このような社会において、法治国家として基本的人権を守り、また、事前規制の緩和によって生ずるリスクを払拭するためには、事後チェック・救済機能の中心にいる司法・法曹の果たすべき役割の重要性が増す。(1ページ)


何よりも、法曹養成制度改革は法曹のためではなく、日本社会と国民のためでなければならない。そして以下に述べるように、法治国家として基本的人権を守り、かつ、持続的な経済成長を遂げる社会を実現するためには、多様かつ厚みのある法曹の活躍が重要である。(2ページ)


 ここで使われている基本的人権という単語ですが、まさに単語として使われているだけです。
 憲法で規定された基本的人権を意味するとは到底、思えないようなとってつけた使われ方です。
 経済同友会にとって、基本的人権とは憲法22条1項(営業の自由)と29条(財産権の保障)しか存在しないのかもしれません。

 経済的自由に対する規制はすべて基本的人権を侵害するものとして、憲法違反!
 それを取り除くのが司法の役割である!

 これが司法審意見書の趣旨でもあったのですが、そこで予定されている人間像は、すべての人間は対等平等として観念されており、弱肉強食、優勝劣敗という経済原理のみを正当化する発想です。
 例えば、派遣業の解禁などは、労働者が自己の意思で派遣業を選択したのであるから自己責任。
 また経営側が解雇の自由を目論むのも、対等当事者の契約であり、継続的契約であれば一定期間予告の上、解雇することは双方が自由であり、経営側も同様に解雇していいんだという論理。
悪政競い合う民自公 国民を切り捨てる財界 日本全体がタコ部屋だ

 消費者に対して売りつける行為も同じ。弊害しかない訪問販売などが未だに禁止されていない根拠も営業の自由です。
訪問販売を禁止しよう 訪問販売は危険の宝庫
 訪問販売の被害などは事後的な救済が極めて困難で、だからこそ消費者被害として社会問題になっているにも関わらず、消費者を食い物にすることを合理化しようとしています。

 経済同友会にとっての基本的人権とは、弱肉強食の論理を正当化するための概念に過ぎずないということです。

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