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【読書感想】世界のエリートの「失敗力」

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世界のエリートの「失敗力」 (PHPビジネス新書)

Kindle版もあります。

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世界のエリートの「失敗力」 彼らが<最悪の経験>から得たものとは (PHPビジネス新書)

内容紹介

「あなたは失敗から何を学びましたか?」

世界最高峰の組織では、この質問への回答が、あなたを評価する重要な要素となる。

本書では、トップクラスの経営大学院の授業と、世界で活躍する12名の日本人エリートの実例から、身につけるべき「失敗力」の実情を探る。

大の大人が泣き出すほど厳しい「失敗シミュレーション」や、華やかな経歴の人が乗り越えてきた「忘れられない挫折」など、読みだしたら止まらない。

【主な内容】

このプレゼンはマッキンゼーのクオリティではない(マッキンゼー)/逃げた失敗の代償は大きい(BCG)/ 欧米流の効率主義がすべてではない(ゴールドマン・サックス)/失敗したという認識をもたない(グーグル)/シンガポールで部下が離職(トヨタ自動車)/マーケティングチームの解散(ソニー)/ タンチョウが売れない(電通)/アメリカ人女性とのバトルで会議が凍る(三井物産)/君は熱意が足りない(三菱商事) 。

「失敗しない人間はいない」

 そう思っていても、やはり「失敗する」というのは、嫌なものです。

 できれば、失敗とは無縁に生きていければなあ、と僕も思います。

 あなたは失敗から何を学びましたか?

 これは世界最難関の経営大学院、ハーバード大学経営大学院(ハーバードビジネススクール)の課題エッセイの設問だ。ハーバードは、2012年までの過去数年間にわたって、受験者に自らの「失敗」体験を書いて提出してもらい、重要な合否の基準としてきた。設問はほぼ毎年変わるため、Mistake(過ち)、Setbacks(挫折)など、表現の方法は変わるが、いわゆる「失敗」した体験を書かせることに変わりはない。

 先日、こんな事件が話題になりました。

 大手旅行代理店に勤務する男性社員がバスの手配を忘れていたため、予定された遠足の日にバスが配車されない、という状況に。

 この社員は責任を逃れようと、生徒を装って「遠足を中止しなければ自殺する」との自殺予告を捏造。

 学校は保護者に文書で経緯を説明し威力業務妨害の疑いがあるとして警察に相談し、事件が明るみに。

 ワイドショーやネット上ではかなり大きく採り上げられていたので、ご存知の方も多いはずです。

 最近は個人旅行ではネットを活用する人が多く、旅行代理店にとって、学校などの団体旅行というのは安定した収益が見込める「優良顧客」だそうなのですが、自分のミスを隠すためにこんなことをやってしまうとは……

 ああ、でも僕は「こういうことをやってしまいたくなる気持ち」って、わからなくもないのです。

 実際にやってはいけないことであるのは間違いないのですけど。

 この新書を読みながら、この旅行代理的の事件、もし、この社員が気づいたときに「自殺する生徒の捏造」など行わずに、そのまま上司に相談したら、どうなっていたんだろう?と考えていました。

 これだけの大きなミスであれば、もちろん、なんらかのペナルティが課せられることにはなったでしょう。

 でもたぶん、クビにはならなかったのではないかと思うし、大手旅行会社が手を尽くして代替のバスを探したか、それが無理でも、会社として学校にお詫びをしたはずです。

 いやもちろん、顧客として学校は怒っただろうけど、赦すのも人間、ではあります。

 少なくとも、こんなに大きな事件にはならなかったし、この社員にとっても、10年先、20年先には、笑い話になっていたかもしれません。

 この新書を読んでいて痛感したのは、「会社とか上司というのは、社員や部下が失敗する可能性を織り込み済みで動いている」ということでした。

 ですから、社運をかけた大事業に、責任ある立場として新人を登用することはまずないし、大企業では、ひとつの事案で失敗しても、会社が潰れたりはしないようになっています。

 この新書には「失敗の作法」みたいなものが書かれています。

 「新人だから、若いから失敗してもいい」というほど、甘いものじゃない。

 同じ失敗でも、次のチャンスにつながるものもあれば、能力を見極められてしまうものもある。

 スタンフォード経営大学院のアーヴィング・グロースペック顧問教授は、失敗には2種類あると説明しているそうです。

・再起できる失敗

・再起が難しくなる失敗

 再起できる失敗とは、次の二つのいずれか、あるいは両方を指す。

・最大限の努力をした結果の失敗

・投資家や周りの人に対して、最大限の誠実さを尽くした結果の失敗

 つまり、仮に起業した会社がうまくいかなかったとしても、精一杯、誠実に努力した結果であれば、世の中から再起のチャンスが与えられるのだ。

 僕はこれを読んで、なんだかとても痛いところを突かれたような気分になったのです。

 アメリカは「失敗を許容し、再チャレンジを認めてくれる国」だというイメージがあったのですが、誰もが再チャレンジの資格を与えられるわけじゃない。

 「以前、どのように失敗したか」が、ちゃんと問われるのです。

 ちなみに「再起が難しくなる失敗」には、法に反するような不正・不祥事の他にも、

・起業家がなまけていた

・投資家に納得のいく業績説明をしていなかった

というケースがあてはまるそうです。

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