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出版業界で食うというロックな生き方③出版社、編集者には存在価値がある、と信じたい

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リンク先を見る「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える (NHK出版新書 433) [新書]
常見 陽平
NHK出版
2014-04-09

少し間隔があいてしまったが、先日、下北沢B&Bで行った『「できる人」という幻想』出版&生誕40周年記念独演会、ダイジェスト版第3弾、最終回をお届けしよう。当日の内容に一部加筆・修正してお届けする。第1回第2回もよろしければご覧頂きたい。最終回は、出版社、編集者の役割について、だ。

■出版社、編集者には存在価値がある、と信じたい

これは人により、意見が分かれると思うのだが、私は大手・中堅くらいのクラスを中心とした出版社から商業出版で出す本と、個人がAmazonで出版社や編集者をつけずに出す電子書籍、言うまでもなく個人のブログなどは別物、別格だと思っている。いや、同じだったら困る。なぜならそこは、出版社が、プロの編集者がついているのだから。

本を「つくる」「売る」という行為において、大きな差がでる、はずだ。一人で書いたものは、一人よがりになってしまう。ちゃんと読者が理解できるもの、響くもの、買ってでも欲しくなるものになっているかどうか、著者だけでは分からない。著者と読者をつなぐ役割、強い商品を作る役割が出版社、編集者にはあると思いたい。「売る」という行為においても、だ。よっぽど知名度があるなら別だが、個人で本を告知し、売るのには限界がある。

私が特に編集者に期待していることは、想定される読者の期待や反応を冷静にジャッジしてもらうことだ。

今年はだいぶ出版のペースを落としているのだが、おかげ様で常に執筆の依頼があるし、連載もたくさん持っている。だんだん何を書けばいいのか。何が面白いのか、感覚が麻痺してくる。

もちろん、今はネットの時代なので、エゴサーチしたり、記事の反応や、本のレビューを読むことは簡単にできる。ただ、これは代表的なようで、偏っている声だともいえる。ネットニュースの場合、どれくらい拡散したか、どんなコメントがあったかなどは、わかる。ただ、これだけを信用してはいけない。実際の読者のマジョリティは物言わぬ市民なわけで。あと、書籍の場合も、Amazonや各種レビューサイトでレビューを書くのはよっぽどのファンかアンチなわけで。

だから、編集者の嗅覚、感覚を頼りにする。私は「これ、面白いですか?」という問いかけを、よくする。特に書籍を書くときは、身も心もすり減らして書くわけで。そこまでしてやらないと意味がない。でも、そんな状況で冷静な判断ができるわけではない。

納期はもちろん、質のマネジメント、何よりも方向性についてのプロデュースというのは編集者に期待されることだと思う。

だから、出版社、編集者には存在価値があると信じている。

ただし、これは出版社、編集者が「機能している」場合である。彼らが売ってくれる、プロデュースしてくれるという機能を果たさない場合は、出版社、編集者不要論が起こるのだろうし、実際起こっていると言える。売ってくれない出版社、プロデュースしてくれない編集者など、介在する価値がない会社、人がいるということなのだろう。

私は、基本、出版社、編集者は今後も残ると信じているのだけど、それは「機能している」という前提でなりたっている論理である。だから、今後も淘汰は進むだろうし、進んでいいと思う。

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