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集団的自衛権が難解な理由

このブログと同じようにBLOGOSに転載されている木村正人氏のブログで、集団的自衛権問題は難しすぎ、国民に説明し、問うことは止めた方がよいと言っています。
集団的自衛権の論じ方 日本国憲法が禁じることは?

筆者は「集団的自衛権」を公論に付すことが政治的に賢明とは思えない。そんな実務的なことは内閣法制局か防衛省の官僚、安全保障の学者に任せておけばいいと思う。

確かに、発動要件が云々で、必要性と均衡性がどうのこうのと言い始めれば、法学を学んだ人でも無い限り、とてもついて行けません。

しかも、殊に防衛がらみの憲法論議は、法的に整合の取れたその他の国内法と異なり、政治的要求が法解釈を曲げてきた長い積み重ねの上に成り立って(統治行為論なんてその典型)いるので、まともに法律として理解しようとしても、やはり混乱します。

ですが、本来の集団的自衛権は、そんな難しいものではないため、簡単に短く、「集団的自衛権とは?」について書きたいと思います。

国ではなく個人の場合、現代では治安は国家権力によって維持されているため、自衛の権利は、正当防衛の場合などに制限されています。

ですが、国家間では、各国家を規制するだけの権力が存在しないため、それぞれの国家が、自国の生存を守るため、自衛する権利(自衛権)を認められています。

そしてこの自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権にあります。

個別的自衛権は、自国に対する攻撃に対抗する権利であり、まさに”自衛”する権利です。

これ対して、集団的自衛権は、国会答弁での定義は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利」とされています。
参考国会答弁

しかし、この定義に違和感を抱いた人もいるでしょう。

それはナゼか?、と言えば、この定義を更に単純にすれば、”外国への攻撃を阻止する”権利であって、ちっとも”自衛の権利ではない”からでしょう。

しかし、これがナゼ自衛の権利とされているかと言えば、集団的自衛権は、この権利を”お互いに行使する”ことで自衛行動が行われるからです。

つまり、集団的自衛権は、本質的に”相互主義に基づかなければ自衛に成り得ない”のです。

集団的自衛権に基づく組織としては、NATOや旧ワルシャワ条約機構が有名ですが、NATOを組織するための北大西洋条約は、”いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦”する事を定めており、加盟国は、防衛される権利を得るかわりに、当然の事として、他の加盟国を防衛する義務を課されています。

(日本において)集団的自衛権が分かり難いのは、日本が関係する集団的自衛権に絡む条約が、本来の集団的自衛権とは本質的に異なる片務的な日米安保であり、日本人が集団的自衛権を考える際、日米安保を念頭に理解しようとしているからです。

言い変えれば、例外を前提として、一般論を理解しようとするためです。

この影響で、現在の集団的自衛権論議は、アメリカに向かう弾道弾を日本が迎撃することが議論となっているとおり、自衛権の問題でありながら、権利ではなく、義務が問題になっているために、分かりにくくなっています。

この権利と義務をしっかり切り分けて考えれば、かなり分かりやすくなるのではないでしょうか。

安倍政権が進める集団的自衛権の解釈変更の本質は、日米安保を、実質的に集団的自衛権本来の相互主義的なモノに変えることにあります。

個人的に、解釈論で進める事には意義がありますが、日米安全保障を、果たして本当に機能するのか怪しい片務的な集団的安全保障ではなく、本来の相互主義的な集団的安全保障に変えることには賛成です。

これを行わなければ、尖閣、そして沖縄の危機にアメリカの助力が行われない危険性があることは、前回記事で書いたとおりです。
集団的自衛権問題は、ナゼ今なのか_その背景

なお、これは推測と言うよりも憶測ですが、現在の集団的自衛権行使容認の先には、アメリカからの日米安全保障条約の双務化に向けた改訂要求があるのではないかと思っています。

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