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債券価格は需給だけで決まるのか

 FRBのテーパリングはいまのところ市場への動揺を与えることなく順調に実施されている。中央銀行による大規模な国債買い入れが減少しても、米国債の下落は限定的となり、米10年債利回り(長期金利)は2.5%近くで安定している。

 米10年債の利回りの推移をみるとFRBの国債買い入れによる需給への影響よりも、世界的なリスクや、FRBの金融政策などを先読みして動いている。つまり大規模な国債買い入れという需給面による影響よりも、世界的なリスクとその対策としての金融政策の行方などを見ながら米国債は売買されていた。まったく関係はないとは言えないが、FRBが国債を買い支えて低金利が演出されていたとは考えづらい。

 これに対して日本の長期金利が0.6%程度に押さえ込まれている要因としては、日銀が国債発行額の7割も買い入れているためとの説明がなされるが、米国債の動きを見る限り、中央銀行の金融政策の行方は影響していても、需給への影響で相場が左右されているということは結論づけられない。

 もちろん海外投資家の比率が高い米国債と国内資金で96%がカバーされてしまっている日本国債では、中銀の需給への影響度が異なるとの見方もあるかもれない。しかし、日銀が操作可能な短期金融市場と異なり、長期金利は市場で決定される以上、日銀が操作可能なものではない。現在の長期金利0.6%というのは、たまたまここで均衡しているだけと言っても良い。

 債券市場の動きが止まっている理由として、日銀の大規模な国債買い入れが指摘されているが、それについても疑問である。たしかに昨年4月の異次元緩和以降、国債の流動性が低下したことは確かであるが、月々の公社債売買高などを見ると異次元緩和前に比べて、それほど落ち込んでいない。

 ただし、まとまった金額の売買ができづらいことや、オファーとビッドが乖離していることなども指摘されている。これは相場そのものの動きが止まり、あまり売買を行っても妙味がなくなりつつある面もある。無理に債券で利益を揚げる必要がなくなれば業者もポジションそのものを減少させよう。

 債券市場に大きな影響を与えていた都銀が国債のポジションを減少させ、その分、売ってこない投資家である日銀のシェアが高くなったことも流動性に多少なり影響しているかもしれない。カレント物(新発債)を含めて、日銀がかなり買い入れてしまっていることは確かであり、それが流動性を低下されている側面はある。

 日銀の大規模な国債買い入れにより、10年債カレントの出合いのない日が出てきたり、0.6%という超低位の長期金利が演出されているとの見方は、裏を返せば日銀の大規模な国債買い入れがある限り、この水準は維持されるとの安心感に繋がりかねない。

 市場参加者は個人ではたとえそう思ってはいなくても、他の人はそう見ていると思うだけで0.6%という低い利回りでも国債を買うことができる。しかし、日銀を含めてこの利回り水準(もしくはさらなる低金利)が永遠に続くことを保証しているわけではない。

 いきなり国債が暴落するといったことはないと思うが、現在のような相場が永遠に続くこともあり得ない。市場の目線がいずれ国債の需給からほかのものに移ってくる可能性は十分考えられる。いまはそれが何かは見えていないが、何かしらのきっかけで表面化してくることも予想される。債券も含めて市場は本来、気まぐれで予想がつかないものなのである。

本日アップされた日経ビジネスオンラインの私のコラム、「国債を売り買いしている投資家とは “超大型空母”は日銀」も参考にしていただければ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140502/263928/

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