- 2014年05月08日 13:11
NPOに「人材」はいるのか
内閣府会議に向かう途中で撮った国会議事堂。お上りさ~ん!!
■内閣府委員は楽しかったが
僕は昨年度、内閣府の「困難を有する子ども・若者及び家族への支援に対する支援の在り方に関する調査研究企画分析会議」(長すぎる!!)の委員となり、年度の後半は毎月大阪から霞ヶ関へと出張し、10名弱の委員たち(議長含む)の一員として、主としてひきこもりやニート支援について議論してきた。
その議論の成果は近々何らかの冊子となって報告されるだろうが、それはさておき、そうした会議に出席するたびに僕は、「僕でいいのかなあ」という疑問を感じていた。
「僕でいいのか」ということの意味は、「僕のような人物をこのような会議のメンバーにしてもしてもいいのか」ということで、僕のように人生を模索しながら何とか50才まで辿り着いた人間を、内閣府のそんな委員にしてもいいのか、という身も蓋もない疑問だ。
たとえ僕が「ソーシャルセクター(NPOや一般社団法人等、社会貢献活動を行なう団体)」の代表であったとしても、キャリアは20年近くあるものの専門資格は有していないし、団体自体も去年立ち上げたばかりの小さな団体だし(その前は大阪の老舗ひきこもり支援NPOの代表を10年務めていたが)、こうしたブログなんかで好き勝手なこと書いてるし、その好き勝手なことの中には「哲学的」な文章も多いし(現場というより「理念」を問う傾向があるということ)、何よりも基本的にはいい加減な人物である僕が、内閣府の委員なんかでいいのかなあという根本的疑問だ。
が、半年間、同会議で議論してきた今になってみると、議論は楽しかったしできあがる冊子もなかなかのクォリティのあるものになると確信している。
だから結局は同会議に参加する資格は一応あり、僕も何らかのお役には建てたんだと自分を慰めてはいる。
が一方で、「僕なんかを選ばざるをえないソーシャルセクター業界ってなんだ?」という問いは未だにある。
言い換えると、社会的ニーズも強く、行政的予算も本格的につきはじめたソーシャルセクター(ここでは「子ども若者支援業界」としよう)に現在集まっている人材は、そうした社会的ニーズや予算に見合うだけの人物が揃っているのか、という根本的な疑問なのだ。
■一方で評価を得ているものの
同業他団体の営業妨害になってはいけないので具体名も出さないし、とりあえずは自分の話として書き始めてみたが、このような「社会的ニーズに見合う人物がそもそもソーシャルセクターに集まっているのか」という問いは、もちろん自分のことだけを指しているわけではない。
「え、この人やこの組織でこの事業の運営は大丈夫?」という人々や組織と出会うことは、実はそれほど珍しくはない(繰り返すが僕自身もそうかもしれない)。
かといってそれら人物たちや組織が「悪」の人物や組織かというと、当然そんなことはない。というより、確かに「社会貢献」に燃えた好人物で良い印象の団体ばかりなのだ。
が、なんというか(う~ん、書きにくい……)、社会人としての基本的なスキルというか心構えみたいなものが(僕が偉そうなことは言えないが)、イマイチな人たちはたくさんいる。イマイチというか、「学生」っぽい人物は珍しくない。
また、組織のあり方を見ても、一般の会社組織よりもどちらかというと全体的に学生ボランティア組織のようなノリのところもある。ガバナンス、コンプライアンス、そんなカタカナ用語は出したくないものの、思わず僕が出してしまうほど、根本的に「アマチュア」あるいは「無責任」なところが実際あるようなのだ。
また、経営的ミッションや「戦略」があまりに見えない団体もあるようだ。あることはあるのだが、なんというか(う~ん、書きにくい……)「目の前の課題」のみに組織の力を集中させ、そのソーシャルセクターがどんな社会を目指し(ビジョン)、そのために何をし(ミッション・行動指針)、数年以内には何を目指すか(戦略)といった最近の民間会社であれば常識的なことが皆無の団体もある(と思う……)。
現在の悲劇は、そうした「学生ボランティア的実態」あるいは「組織力や戦略の弱さ」をどこかで持ちつつも、一方ではソーシャルセクターということで社会的評価が上がっているということだ。
■3つの財源を社会的信頼を元に強固にしていく
が、そこに集まる人材は、経営陣も含め、たぶんまだ発展途上だろう。
これを言い換えると、つまりは、ソーシャルセクターに「人材」はいるのだろうか、ということになる。
今のところの僕は、やはり「発展途上です」と答えるしかなく、その理由も「財政的基盤が弱いから長期的視野に立った人事戦略をもちにくい」と明確に答えることはできる。
ソーシャルセクターの収入は3種類あり、それらは1.自主事業、2.(行政の)委託事業、3.寄付事業なのだが、1と3は安定財源になりにくく、2はよほどミッションがしっかりしていないと行政の下請け機関となってしまう危険性を秘める。
この不安定さを突破するには、より社会的信頼を集めることで1と3(特にこの寄付事業を強くしていくことが求められている)を強固にし、そのことで、2をソーシャルセクター側から選んでいくものとして位置づけていく、といったことが求められる。
が、そのようなソーシャルセクターらしいソーシャルセクターは、まだ我が国には数えるほどしかないだろう。
そのことが、「人材」を集めきることができないという問題を生んでいる。
けれども繰り返すが、社会的ニーズは高まり行政予算は動いている。
今、ソーシャルセクターは(特に5万ほどにまで増殖したNPOは)、そこに集まる「人材」を社会的ニーズに見合ったものにしていき、同時にそのことで「組織」そのものを鍛えていくこと(戦略と組織力)が求められている。★
※Yahoo!ニュースからの転載


