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教育勅語肯定 村山・河野談話見直し/下村文科相の危険な発言/「戦争する国づくり」推進

「戦争する国づくり」推進

 戦前の軍国主義教育の中心に置かれた教育勅語を「至極まっとう」と肯定・美化した下村博文文科相―。「教育再生」を最重要課題と位置づける安倍政権の閣僚として「戦争する国づくり」を教育分野で推し進める危険な思惑が発言から浮かび上がっています。

 国会では現在、教育行政への首長の介入を強化する教育委員会改悪法案が審議中。教科書検定基準の改悪に続き、道徳教科化など戦後教育の土台を揺るがす大転換が狙われています。

 3月26日の衆院文部科学委員会で、下村氏は、日本の植民地支配と侵略への反省とおわびを表明した「村山富市首相談話」と、「慰安婦」問題で日本軍の関与と強制性を認めた「河野洋平官房長官談話」を「閣議決定されていない」として、教科書に記載する「政府の統一的な見解にはあたらない」と断定しました。

 下村氏はその後、4月9日の同委員会で「村山談話」については「閣議決定されていた」と訂正しましたが、「政府の基本的立場とすること」が閣議決定されている「河野談話」については訂正しませんでした。

 こうしたやりとりのさなかに下村氏は、雑誌『WiLL』(4月号)のインタビューに登場し、「戦後の自虐史観教育」「学校の授業で日本人は悪いことばかりしてきたと教え込んだ」と攻撃しました。

 下村氏は大臣就任前の2012年10月には、アパグループの元谷外志雄代表との対談(『Apple Town』同年12月号)で、日本の立て直しのためには「戦後レジームからの脱却」が「どうしても必要」と強調。その中身について「村山談話」と「河野談話」の見直しを語っています。同年8月23日の衆院予算委員会では、両談話について「明らかな禍根を残した。間違いであった」とも語っています。これまでの政府の立場を真っ向から否定するものです。

 下村氏は、野党時代から「『慰安婦』の問題が中学の教科書からなくなったのは当然だと思うが、高校の教科書では記述されている」(12年4月18日、衆院文科委)として当時の民主党政権を追及。日中歴史家共同研究の報告(10年)で、南京大虐殺の犠牲者数について「20万人以上」と「30万人以上」を併記していることを根拠に、30万人以上を否定する説を歴史教科書に書き込むよう、くり返し圧力を掛けてきました。

 下村氏と安倍晋三首相はともに、改憲・右派団体「日本会議」の国会議員懇談会で幹事長(下村氏)、副会長(安倍首相)を務める間柄。歴史認識については「安倍総理が国会で答弁されている内容と同様の認識を持っている」(4月9日、同委員会)と明言しています。安倍氏も野党時代、日本軍「慰安婦」について記述した歴史教科書を「常識からかけ離れた教科書」(11年5月10日)と非難した過去があります。

 「戦争する国づくり」を教育分野で進める危険な動きが、こうした思惑に沿って加速しつつあります。

 「教育勅語そのものの中身は、至極まっとうなことが書かれている」(4月8日の記者会見)

 「(戦後の自虐史観教育によって)悲壮感が蔓延(まんえん)した」(『WiLL』4月号インタビュー)

 「東京裁判史観や河野談話、村山談話など日本の近現代史の全てを見直す」(『Apple Town』2012年12月号)

 「政治的判断でそういう談話(村山談話、河野談話)を発表せざるを得なかったが、その後、これらは明らかな禍根を残した。間違いであった」(同年8月23日衆院予算委)

 「(南京大虐殺では)全般的に(死者30万人以上の)否定説が掲載されず、かえって虐殺や暴行の事実が強調された」(同年4月18日の衆院文科委)

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