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「0対7」からのスタート。

このブログでも何度か取り上げている池井戸潤氏の小説の中でも、「ルーズヴェルト・ゲーム」は、自分が最も好きなタイプの一冊である。

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ルーズヴェルト・ゲーム

他の作品と同様、「企業」とそこで働く人々が主役となっている作品であり、取引先の大企業や銀行の思惑が絡んで、話が二転三転していく、というところは他の作品と似ているのだが、そこに“社会人野球”という本作品独特の要素が絡み、“立場の弱きもの”が苦境をいかに乗り切っていくか、という池井戸作品共通の主題が、二重に分厚く語られている、という点で、読み応えのある作品が多い池井戸氏の小説の中でも、一、二を争う秀作だと言えるだろう*1

・・・で、その作品がいよいよテレビドラマ化される、ということで、珍しくドラマの時間に合わせて家に帰り、チャンネルを合わせてみたのだが・・・

昨年なぜかブームになった「半沢直樹」*2と同じ放送局が、同じ作者の原作を使って同じ時間枠でやる以上、ある程度の“脚色”は覚悟していたのだが、いきなり宮川一朗太を悪役として引っ張り出してきて、原作とは全く違う展開で失脚させる(しかも、主人公に、明らかに流行語狙いのきめゼリフを言わせるあざとさ・・・)とは、一体何たることか・・・。

キャスティングにしても、社長と専務が同じくらいの年格好では、原作で描かれている「青島製作所」の雰囲気は全く伝わらないだろう*3

山崎努の「青島会長」だけは、一応、雰囲気が出ているかなぁ、と思うのだけど、これだけ初回から筋が曲げられてしまうと、最終回までどうやって引っ張るのか、と正直心配になる。

ということで、視聴率はどうだか知らないが、クオリティとしてはいきなり初回から7点ビハインドを背負ってしまった感があるこのドラマが、原作どおり「8点」取り返して大逆転するのか、それとも、このまま“ネタドラマ”として毀誉褒貶を受けながら最後まで続いていくのか・・・。

今分かっていることは、来週からは決して、このドラマの開始時刻に合わせて、テレビを付けることも、チャンネルを回すこともない、ということだけである。

*1:個人的には、この作品に“同業”の人々が出てこないため、細かいディテールにイラつかずに読める、というのも要素としては大きいのかもしれない(笑)。あと、ラストが完全な“おとぎ話”にならずに、多少は「現実的な線」で落ち着いている、というのも好印象である。

*2:堺雅人は嫌いな役者ではないので、最初はネタ的に面白いなぁ・・・と思ってみていたのだが、途中からどんどんディテールがすっ飛んでいって、劇画調がエスカレートしていたし、そこになぜか「現実」をかぶせようとする奇妙なブームが湧きあがったことに閉口したこともあって、最後の方はほとんど見なかった。

*3:原作での「笹井専務」は、「ベテラン経理屋ならではの老獪さ」によって存在感を発揮し、「細川社長」と対峙するキャラクターなのであり、その関係が“財前‐里見”ラインになってしまっているのはどうなのよ・・・というのが、率直な感想である。

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