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大学で学ぶことの意義とその費用

 いつもお世話になっているBLOGOSで貧困と教育に関する興味深い記事が掲載されていたので、これについて少し。

1 Chikirin氏の記事

 一つ目は、Chikirin氏の「『学校にお金払う=教育投資』とは言えない時代」で、「学校にさえ行けばいい仕事が見つかる」という発想に疑問を呈しているものです。

 奨学金について、「返済義務があるので、事実上の学生ローン=借金」と断言し、「正社員として就職してたらホントに返せるの?」としたうえで、「学校にお金払えば報われる、と誤解してるのでは?」としている記事です。

 最も典型なのが、「『学校』ってのは、聖域でもなんでもなく、単なるサービス業のひとつなので、そこに払うお金と、受けられるサービスが本当に見合っているかどうか、 そして、そこで得られるものは、本当に自分が(それだけのお金を払ってでも)手に入れたいものなのか、みんな(多額のお金を払う前に)よーく考えたほうがいいと思う。」という部分で。

 また、奨学金についても、「『返済義務のない奨学金を増やすべき』と言い出す人もいるんだけど、 返済義務のない奨学金って基本は『優れた学業成績の学生』から優先的に与えられるので、結局は『就職するのに苦労しないレベルの学生から順にお金がもらえるだけ』なんじゃないかと」しています。

2 広瀬隆雄氏の記事

 2つ目は広瀬隆雄の「貧困の新しい姿 『米国では貧困層でもiPhoneを持っているが、医療と高等教育への道は閉ざされている』ニューヨーク・タイムズ」です。

 「マイカーがあり、液晶テレビも持っており、ネット環境もある……それなのに貧困と言えるのか?」という問いに対して、yesとしたうえで、論を展開しています。

 そして、「ただ大学へ進学するかどうか? という問題が、経済的移動可能性を決める最大の要因となっていて、貧困層出身者でも大学へ行けば上の階層に上がれる可能性はすごく高まる。逆に親が裕福でも自分が大学に行かなければ、富を失うのは早い……」という意見を紹介しております。

3 大学と奨学金

 ここで問題にされているのは大学に金を払って(場合によっては奨学金という借金をしてまで)行く価値があるのかという話です。

 奨学金については、私も以前書かせていただいたことがありますが(「夢」のために借りた奨学金と滞納が増加している「現実」奨学金という「借金」と就職できる大学という現実)、基本的にChikirin氏と同じ意見です。

 騙されたと嘆こうが、何も知らなかったと後悔しようが何をしても自由ですが、ただ、そんなことをしても借金は減らず、何になるのかという話です。冷たいようですが、最後は自分の人生なので、自分で責任をとるしかありません。

 確かに高校を卒業する世間を何も知らない若者にいきなり借金のことを考えろというのはきつい話というのはわかっておりますが、借金という現実は今後も残るわけで、それで一生苦しむのは自分なので、それでも考えてもらうしかないのも現実です。

4 大学を巡る変化

 以前は大学にでればそれだけで就職先が確保されていた時代があるわけで、確かに大学をでさえすればという思いを持っている人は大勢いるかと思います。

 日本では徐々に大学が増えていったわけで、こうした変化は徐々におこってきたわけですが、中国では本当にこの面でも変化が早く、以前は間違いなくエリートだった大学卒がここ10数年の間に大学が乱立されたり、定数が増えた結果、職探しに苦労するようになっております(中国で大学入試申込者が減っている原因)。

 これだけ変化が激しい中国を見ていると日本の大学を巡る変化が遅すぎる位にしか見えないわけですが、遅すぎるが故に変化が見えにくいという面もあるかと思います。

 また日本の場合、大学の序列化に対する批判も起こったことがあり、大学なら形の上でどこも平等であるという建前をとっていること反面、皆本音では別のことを考えていることがいろいろ問題を複雑にしている面もあるかと思います。

5 大学の投資価値

 大学で学ぶことと言っても知識面ではそれほど大した量があるとは思いませんが、知識として学んだことをどのくらい覚えているかとなると専門を外れるとかなり疑問です。
 
 また、実際高校レベルでも微分積分などの問題は手も足も出ない状態で、益々何のための学んできたのかという話になるかと思いますが、私は無駄であったとは思いません。

 忘れてしまったとしても苦労して覚えたという事実は残りますし、大学で学んだのは具体的な知識というより、考え方(本の読み方、研究の仕方)の方が私に与えた影響は大きかったと思っております。

 そういう意味で大学に行くこと自体は無駄とは思っておりませんが、確かにChikirin氏の記事にあるように、タダではない以上、費用対効果という観点で考えることは必要となってきます。

6 最後に

 言いたいことがたくさんあったので、なぜ最初に2つの記事を提示したのかということに言及する部分が少なくなってしまいましたが、私が言いたかったのは、以下のことです。

 既に大学の数が増えてしまった現在、大学に行ってもそれだけで安定した就職先に見つかるとは限りません。

 しかし、(一流)大学を出たということは、会社にしてみれば「受験戦争」を勝ち抜ける要領の良さか、長時間何の疑問もなく勉強(努力)できる従順さ、勉強しなくても高得点のとれる才能のどれかを持っていることを意味するので、就活には有利となります(大学の学部・学科に「キラキラネーム」が出てきた理由)。

 つまり、(一流)大学に行ったからといってそれで成功する保証はどこにもないにも関わらず、行かないと社会的に成功するために最も簡単な(一流)企業への就職が狭められるという話で、いろいろ思うところがあったが故のエントリーでした。

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