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改正復興特区法 被災地目線で柔軟運用を

土地収用を迅速化 期待される“住の再建”加速

東日本大震災の被災地で復興事業用地の取得を迅速化することを目的とした「改正復興特区法」がきのう1日、施行された。

「これまで県や市町村が国に要望してきた内容に応えるもの」(達増拓也岩手県知事)として、地元自治体の期待は高い。国は被災地の実情に即した柔軟な制度運用に努め、高台移転や災害公営住宅など被災地の“住の再建”に全力を尽くしてほしい。

被災地では、地権者や相続人の所在が不明だったり、権利関係が複雑に入り組んでいるケースが多く、防潮堤や高台移転など復興事業用地の取得が難航している。

例えば岩手県では、復興に必要な用地の契約件数は、県と市町村合わせて約2万件に上るが、このうち未調査の土地が約6千件も残っているほか、取得の難航が予想される土地も約4千件を数える。

与野党共同提出の議員立法として成立した改正法の眼目は、こうした用地収用の“手詰まり”状態を打開するため、手続き要件を緩和し、土地取得の「入り口」を大きく広げた点にある。

具体的には、防災集団移転事業の大半が戸数の少ない小規模団地という実情を踏まえ、土地収用の対象を従来の「50戸以上」から「5戸以上」に緩和。収用の裁決を申請する際に必要だった土地証書や損失補填の見積書などの書類も不要とし、事業の認定手続き期間も「3カ月」から「2カ月」に短縮した。これらの措置により、申請から認定までの時間が格段に短くなり、事務手続きも大幅に簡素化されるはずだ。

収用手続き前の事業着工を認める「緊急使用」についても、「東日本大震災からの復興の円滑な推進に支障を及ぼすおそれがある場合」と明記したほか、使用期間をこれまでの「6カ月」から「1年」に延長。収用の可否を裁決する収用委員会に対しても、裁決を早期に終わらせる努力義務を課した。

従来の収用制度では、申請から工事着工まで1年半~2年を要した。改正法の施行で、この期間の大幅短縮が期待されるが、そのためには改正法の実効性を確保する手立てが欠かせない。

その意味で、太田昭宏国土交通相(公明党)がいち早く、土地収用の柔軟な運用を省内に周知徹底した意味は大きい。国は現地の実情や使い勝手の良さに十分に配慮した“被災地目線”の運用指針を早期に示し、より有用かつ完璧な制度に仕上げる努力を続けてもらいたい。

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