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壊れたテレビを元手に大型社屋を建てたECサイト「ShopJimmy」

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大型の液晶テレビを購入したが、小さな子供が玩具をぶつけて画面を壊してしまい購入してわずか数カ月でリビングルームの置物と化してしまったという話を、以前友人から聞いたことがある。こういった時は、下手に修理しようとすると、新品を買い直せるほど高額になることもある。

個人が家の中で固定しておいても壊れることがあるのだから、販売業者が倉庫から販売店に運搬する途中で破損する事故は、いくら防ごうとしても起きてしまうものだ。高額で売れるはずだった最新型テレビも、画面が壊れた途端に価値はゼロ、邪魔な廃品となり処分にも苦労する。

米ミネソタ州を本拠とするECサイト「ShopJimmy」は主にテレビ部品を扱っている。このサイトのルーツは、そうした運搬中の事故で破損してしまったプラズマテレビや液晶テレビを安く仕入れて転売するという、創設者が余暇を使って2006年にはじめたサイドビジネスにある。

そのサイドビジネスがあれよあれよという間に拡大して本業となり、昨年の年商は1500万ドル(約15億円)に到達。Inc.誌が選出する「成長の最も速い米国企業5000」のリストに3年連続でランクインも果たした。

壊れたテレビを購入する人たちの目的とは?

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ShopJimmyの創設者Jimmy Vosika(上写真、以下ボシカ)氏は、2006年、26歳のとき、妻の父が経営する家電製品のリサイクル会社で働いていた。その会社では、画面が壊れたプラズマテレビや液晶テレビを回収することがあったが、その壊れたテレビをわざわざ買い求める顧客が世の中にいることを知り、興味をそそられる。

プラズマテレビや液晶テレビの画面は壊れたら、まず再生は困難なので、いくら安く購入しても、使えるようにするには相当なお金がかかる。もし破損した新品のテレビを安く買って、修理にちょっと投資すれば復活させられるとでも考えているのなら、とんだ計算違いをしていることになる。

しかし顧客たちに、その意図はなかった。購入する破損品のテレビは、画面は壊れているが、それ以外の電源や回路基板などは新品同然である。それらのまだ新しい部品を利用して、別の壊れた製品を修理することが購入の目的だったのだ。

顧客の多くは修理業を営んでいたり、DIYが趣味という人たちだった。中には、製品の拡大保証を提供している企業や製造したメーカー自身が廃番部品を調達する目的で購入しているケースもあった。

そこでボシカ氏は余暇を利用して、破損した新品のテレビが売りに出されるのを見つけては購入することにした。それをeBayで転売すれば、副収入になる。基本的には、200ドル(約2万円)で買い、700ドル(約7万円)で売った。1件の取引で500ドル(約5万円)の儲けになるのだから、かなり良いサイドビジネスである。

ある日、1軒の業者からプラズマテレビが破損したので、取りに来れば売るという話が届く。そこで週末に車を運転して、隣の州にあるカンザスシティまで行くことにした。

4台購入する予定だったが、行ってみると、破損したテレビは何と19台もあった。全部買うなら、安く売るという相手からの申し出に、「この際だ。まとめて買い取ろう」と1450ドル(約15万円)を支払って、19台全部を引き取った。

当然、全部は持ち帰れないので、保管のために現地で倉庫をレンタルしなければならなくなった。その場の勢いで決めたものの、帰路のドライブでは「馬鹿なギャンブルをしてしまったのではないか」「家に着いたら、妻になじられるのではないか」と恐怖感に襲われた。

しかしこのギャンブルは成功し、eBayを舞台にした破損テレビの転売ビジネスは繁盛をつづける。

eBayでの顧客からのフィードバックを見ても、2006年の後半には、取引がすでに頻繁に行われていたことと、出荷が速いことやコミュニケーションがきちんとしていたことで顧客から評判が良かったことが分かる。

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「eBayの売り手」から「ECサイトのオーナー」にステップアップ

2007年、ボシカ氏はShopJimmyを正式に企業化してECサイトをオープンし、フルタイムの従業員第1号として弟を雇った。ボシカ氏自身も昼間の勤めとの両立が難しくなり、昼間の勤めをやめる。

当初、eBayへの出品を減らして、サイトの運営に集中したことで、売上は一気に半減してしまった。しかし一生eBayの売り手でやって行くことは望みではなかった。販売業者として自分たちのブランドを確立したかったのだ。そして、このときリスクを取ったことが、後の成長につながる。

サイトを開設後も兄弟で壊れたテレビを仕入れて来ては、買い手を見つけて売るという作業を繰り返していたが、開設から半年後、顧客の多くは、破損したテレビの中のたった1つの部品を求めているのだということに気がつく。

それなら、テレビを1台仕入れたら、それをそのまま売るよりも、分解して、部品を個別に売った方が効率的ではないか。顧客にとっても便利だし、廃品となったテレビ全体のリサイクル率も高くなる。

地元のテレビ修理店には、学生時代の友人が何人か勤めていた。兄弟はピザを数枚買って、その友人たちのもとを訪ね、テレビ内部の仕組みについての集中講座を受けた。

その後、破損テレビを仕入れたら、分解して、個々の部品がきちんと機能するかを試してから、部品別に販売するという現在のShopJimmyのスタイルが確立される。

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やがてテレビの卸売り業者や小売業者の間でもShopJimmyの存在は知られるようになり、ある業者から300台の破損テレビを売るという申し出が飛び込む。それだけの台数を保管するには、新たなスペースが必要だ。自宅を担保に入れて、ガレージを増設し、そこを作業場とした。

どんなにビジネスの規模が成長しても大丈夫なだけのスペースを確保したつもりだったが、成長のスピードは予測を上回り、現在の建物に移るまでに、次の2年間で3回引越しをするハメになる。

2009年には、従業員数は約20人になり、年商は2600万ドル(約2億6000万円)に達した。また、取り扱う商品もテレビの部品だけでなく、ランプやテレビスタンドなどの関連商品にも及ぶようになった。

しかしShopJimmyの業績が拡大するのと並行して、この市場にも競合サイトが現れはじめる。

そこでShopJimmyは競合する業者を買収して合併する戦略を取ることに決め、2012年8月に、まずはイリノイを本拠地に、オンラインでテレビ部品をディスカウント価格で販売していたNaperville社を買収した。今後も、チャンスがあれば、他のサイトを買収していくつもりだとボカシ氏は語る。

「我々の目的は速やかに成長しつづけることです。この市場には大きな潜在性が眠っています。我々が速く成長できればできるほど、お客さんたちにより優れたサービスを提供できますから」

現在、ShopJimmyの作業場では、分解の順番を待つテレビが常時最低1万台は保管されている。

ShopJimmyの成長を促進したYouTubeチャンネル

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ShopJimmyの成長を加速させた原動力となったのは、2009年9月に開設したYouTubeの専用チャンネルである。

現在までに、約400本の動画を アップし、テレビ内部の仕組みや部品番号の読み方、修理の方法などについてボシカ氏自身が解説している。

修理や交換の方法については、メーカーと機種別に、問題箇所に分けて、丁寧に説明している。

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たとえば、上の動画は三菱のある機種の電球を交換するための手順を説明している。最初に必要となる用具を示してから、手順を1ステップずつ、音声と文字と動画で説明していくので、とても分かりやすい。

また、どの動画でも、不明な点があったら、カスタマーサポートに電話をして質問するようにというメッセージを大きく表示している。

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このチャンネルの「Discussion」のコーナーでも、ユーザーからの質問を受け付け、きちんと回答している。問題が解決して、以下のjelaga dua氏のように「Thanks for your info」と情報の提供に感謝しているコメントも多い。

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ECサイトを開設後も、ShopJimmyはeBayでのアカウントは維持している。eBayでも、破損したテレビを購入しようとするユーザーのための手引きを提供し、安易に購入して後で困ることがないように注意を促している。

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リサイクルの促進

ShopJimmyのtwitterでは、今年1月30日、7年前の創業当時の作業場だった自宅のガレージと現在の社屋の画像を並べるツイートをしている。これを見れば、成長の著しさは歴然だ。

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この成長と同時に、ShopJimmyが誇りにしているのは、資源のリサイクルの促進に貢献してきたことだ。

同サイトの「Recycling」のページでは、回収したTVのほぼ100%の部品を再利用に回し、電子部品が無駄に廃棄されるのを防いでいることを宣言し、創業からこれまでにどれだけの量を廃棄から防止したかを数字でリアルタイムで示している。

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個人がeコマースで成功するために必要なコト

ShopJimmyのように、eコマースでは個人レベルの小さな商売が、あっという間に法人レベルの規模にまで成長する。むしろ組織のしがらみにとらわれない分、個人レベルの小規模なスタートのほうが、eコマースを活用しやすいだろう。

個人レベルでeコマースを成功させるためのポイントの1つは、一定の利益が出るまでは先行投資を極力抑えることだ。その目安は、あなたが会社を辞め、人を1人雇おうかどうか悩み始めた時だ。その時、ようやくあなたは業務をシステム化するか、増員で対応するかを考えて、投資を実行することができる。

ネットコンシェルジェにも個人レベルでのECサイト立ち上げを相談されることがあるが、大半は断っている。問い合わせしてくる人のほとんどはeコマースの経験がない。だから、立ち上げ後にどういったタイミングでどのくらいの費用がかかるのかもわかっていない。こんな状態でeコマースの成長を予測、計画しようだなんて早すぎる。eコマースはそんなに甘いモノじゃない。

初期投資をしたいなら、余裕資金でやるべきだ。余裕資金がなければ「余裕時間(あなた自身の暇な時間)」を投資しよう。個人ではじめる場合は大体こちらのほうが向いている。

そして、やりたいビジネスが期待通りに成長させられそうか、実際の運営を通じて検証しよう。これは「フィジビリティスタディ」と呼ばれている手法で、事業の立ち上げ前のリサーチと同様に重要な検証プロセスだ。

ShopJimmyも、eBayでフィジビリティスタディを実行した。eBayでの反響を確認して、事業の将来性に確信を持ち、自社ブランドの立ち上げを実行したということだ。

あなたも日本で同様のことができる。「ヤフオク」辺りを活用すれば、すぐにでも始められることだ。

フィジビリティスタディは、これまで高額な費用がかかる検証プロセスだった。しかし今の時代は、これがほぼ無料で、しかも個人でもできるようになってしまった。これは既存の企業にとっては恐ろしいほどの脅威だ。

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