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韓国首相が辞職した理由

 ある意味昨日の続きです。韓国で旅客船の沈没事件の処理の不手際をうけて、韓国の首相が辞任することになったようですが、これについて少し。

1 辞任の理由

 これについては『ハフィントンポスト』がその理由を詳しく解説してくれているので(「韓国首相、旅客船沈没で引責辞任へ 批判された政府対応の問題点とは」)、そちらをご覧いただければ幸いです。

 記事から理由を簡単にまとめると、「最初の通報から37分後に出動」という「初動の遅れ」、「ボランティアを志願した民間の潜水士を門前払いし」たこと、「政府の対策本部も当初の発表を二転三転させ」たこと、過積載を「警察も海洋水産部も見逃」したことなどが挙げられています。

 確かに最初この事件に関する報道を見た時にはなぜ遺族の方があれほど政府に対して抗議をしているかわからなかったわけで、政府の発表の訂正などという話を聞いて何とくなく得心できたような気がしておりました(韓国の旅客船沈没事故の誤報と事故を喜ぶ人)。

2 首相の辞任

 しかしそうは言っても、首相が辞任するような事態なのかという疑問は消えずにおり、いろいろ思っていたところではあったわけですが、確かにこれだけの不手際が重なると政府の責任、そしてその政府の長である首相の責任という話がでてくるのも納得です。

 ただ、あと一つ考えなくてはならないのは、韓国の統治機構で、韓国の場合大統領制をとっており、首相の任命は大統領が行うことになっております。

 そのため、フランスのような首相が国民議会(下院)の多数派から選ばれるいわゆる「半大統領制」の国とは異なるわけで、大統領と首相の関係という意味で言うと、大統領に圧倒的に大きな権限があります。

 そうしたことを考えると、今回の辞任は、スケープゴート的意味合いが強く、国民からの批判が寄せられ、支持率が低下しつつある大統領の代わりに辞職した(辞めさせられた)という面が強いのではないかと考えます。

3 中国

 これについて中国が関心を持っていることは前回紹介したとおりですが(旅客船沈没で露呈した「韓国」と韓流中の「韓国」)、『北京青年報』に「向肠河:从韩总理辞职看“东亚耻感文化”」といういろいろ興味深い記事が掲載されておりました。

 表題にもあるようにこれは東方の「恥」の文化と関連づけて述べているもので、公務員は自分の失敗等に対して、自分の尊厳を守るため、時には命を懸けることもしなくてはならないとしています。

 その例として、不正献金疑惑で「死をもって自分の無実を証明しようとした」盧武鉉元大統領の例などが紹介されています。
 
 ここいらはわからないでもないのですが、そのあと、民間の例として日本政府高官の靖国神社に対する抗議のために大学生が抗議の断食を行った例なども紹介されているのは良くわかりません。そして、これが東方の特徴だとして、日本の松岡利勝元農林水産大臣の例なども紹介されています。

4 最後に

 個人的には今回の辞職とこうした「恥」がどこまで関係してくるのか疑問ですが、責任をとって辞職するということは、これまで有していた権力は失うわけですが、同時に責任の追及からは免れるということを意味する場合が殆どです。

 そのため、アンブローズ・ ビアスの『悪魔の辞典』ではありませんが、意地悪く解釈すると自分の持っている権限と責任追及を天秤にかけ、割があわなくなったから辞職するという側面もなきにしもあらずです。



 実際、不祥事が起こった場合、この責任をとるべき人たちが、この不祥事の処理をするという名目でそのまま居座ることはよくあることであり、いろいろ思うことが良くあることも確かです(日本の閉鎖性と体罰問題)。

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