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外務省幹部より説明「中国の日本企業による強制連行労働訴訟と朝鮮半島戦時徴用個人補償の法的な違い」

 元総理秘書官も勤めた、外務省の幹部が本件の担当として説明に来てくれました。

 自民党が野党時代から、この手の問題を外交当局に糺してきている私ですが、安倍政権になって1年5ヶ月近く、確実に変わってきていますが、ここが勝負どころ。

 まず、今回の商船三井事件においては、中国国内の裁判で、2011年に商船三井の敗訴が確定して、3年近くもかかっていることについて、原告(中威輪公司の経営者の相続人)側が相当フラストレーションが溜まっていた状況にあったようです。

 しかし、だからといってこのタイミングで差し押さえる差し迫った緊急性までは見当たらず、中国政府のブラフなのか、日米首脳会談の直前の反日煽りムードのなかで原告側もやりやすかったのか、そんなところであろうと言われています。中国政府は、あくまで民間同士の法律問題という建前でコメントしています。

 理由はどうあれ、40億円という中国から見れば巨額の金が日本企業を訴えた結果として得られたことは、日本企業への濫訴を誘発することは確実です。

 商船三井としては、中国国内ではこれ以上上訴もできず、和解するほかに方法がなかったので、これを機に示談支払いし、この件を終わらせた、ということなのですが。

 それより「濫訴誘発」でより問題なのは、中国国内で、いわゆる「華人強制連行」、つまり、戦前戦時中に、日本国内の労働力を補うために、半ば強制的に炭鉱等の厳しい現場に数千~万人単位の当時の中華民国人を連れてきて、働かせた、ケースについての個人的な補償の蒸し返しです。

 今年の3月に、日本国内では棄却されたこれらの件について、中国で訴訟が受理されてしまったのです。

 この大ニュースを受けて、類似のケースがかなり提訴されているようですが、多くはまだ訴状が送達されていないようです。

 本件も含めて、対日訴訟を商売にしているプロの弁護士達が気勢を上げている様子が伝ってきています。明らかに、反日世論とも連動しており、中国政府が後押し?している限り、動きはどんどん広がるでしょう。

 日本と連合国との協定では、この手の話は、個人的な賠償も含めて、すべて放棄、となっており、当時連合国側の一員だった「中華民国」は、これを飲んでいますが、中華人民共和国にとっては、「そんなの俺達関係ないもんね」の世界。

 しかし、中華民国が今の中国に変わっていろいろ引き継ぐことになった以上は、そうは言っても今までのいきさつをないがしろにされてはたまりませんから、1972年の日中共同宣言でも、国家間の賠償は放棄になっています。しかし、敢えて申し上げれば、個人的賠償については明記まではされておらず、日本は一貫して、「日中共同宣言の精神にのっとれば、個人的賠償も含めて解決済み」と主張してきています。

 これに対して、今までのところ、中国政府は、明確に否定はしていないものの、戦時中の日本の非人道的な行為を批判し、法律論ではなく、精神論で、何かできるのではないか、との余地を残して発言しています。

 確かに終戦の年の6月の鹿島の現場での華人労働者の暴動と、多くの労働者の死亡などは、人道的に見過ごせないもので、企業が間接的な賠償を払っています。

 これに対して、日本と韓国の間では、日韓基本条約と、日韓請求権協定で、個人的な賠償も含めて「完全かつ最終的に解決された」と明記されていますので、それを去年の7月にくつがえしたソウル高裁の判決は、国際法上到底認めがたいものです。

 日本政府としても、徹底して「絶対認められない」と言い続けており、新日鉄住金他が韓国の最高裁にあたる大法院に上告した後の、判決は遅れています。

 これからが問題です。

 中国が連鎖する濫訴を放置、あるいは実質あおるような行動に出るか。

 日本企業による投資の引き上げ、不動産投資等に入っているジャパンマネーの引き上げ。様々の協力とからめていく、など、あらゆる手法で、「この戦略は、中国経済にとって損」と思い知ってもらうしかないでしょうね。

 そのツールは外務省が持っているわけではありません。

 例えば、日中韓でPM2.5に関する協力が表明されましたが、実際の適用に進んでいく過程で、いくらでもストップはかけられます。

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