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子ども・子育て支援新制度 “コピペ”にならないように

来年4月、保育所や幼稚園をはじめ、0歳から5歳までの、規模の大小、公立・私立の多様な保育、幼児教育の実施体制と利用にあたっての新しい仕組みを導入する「子ども・子育て支援新制度」が、全国の自治体で一斉にスタートする予定なのだが、いまだ具体的な姿が見えてこないと、この問題の専門家が語っていた。

すでに、子ども・子育て関連3法が、2年前の平成24年8月に成立している。具体的な実施基準については政府が省令等で今年3月までに決めるとしていたが、遅れていてまだ出来上がっていないのだという。

一方で、市町村のほうで独自に定める設置や運営基準などを盛り込んだ条例や事業計画は、13項目にも上るが、来年4月の新制度実施となれば、6月議会か遅くても9月議会には議会提案のうえ議決を要するらしい。

だが、ちょっと待ってほしい。
新制度の実施期日だけが来年4月と決まっていて、自治体ごとの中身の作成はまだ準備段階。当然、現場に説明できる段階にない。

一方、議決責任を負う議会の側には、新制度について内容を把握している議員がどれだけいるだろう。
制度について多少、情報をかじったことのある議員が、それぞれの議会の中の1割、そのうち、中身を第三者に正確に説明できる程度に内容を把握している議員は1%にも満たないのではないのが実際ではないだろうか。9割の議員は、子ども・子育て支援新制度という言葉は聞いたことがあっても、制度の中身について具体的に知ろうという努力はまだしていないのが実情であろうと思う。

この状態で条例案が議会に出てきた場合、内容について責任ある審議や議決を期待するのは難しい。

国のほうの遅れは自治体に、最後は審議時間と審議準備の不足による不十分な審議のままの議決となってしまい、その内容は結局は国が作った「たたき台」を自治体が“コピペ”(丸写し)するだけの条例とならないか。

リンク先を見る29日午後、津市の三重県総合文化センターで開かれた保育制度セミナーに参加した。新制度の解説のほか、2015年(平成27年)4月実施を前提に国と自治体で準備が進められている状況のもと、この制度を可能な限りより良くしていくために自治体や国に働き掛けていくべきことを訴えていたが、中身を決定する権限を持ちながら実は中身を最も把握していないのは議会にほかならない現状を思った。

講師の一人、実方伸子氏(全国保育団体連絡会事務局長)は、「国の担当者に聞いてみると、あとは自治体が考えてくれますから・・・」と、国としての役目を終えたことを強調。自治体の置かれた現状とのズレを見せていたらしい。
自治体は、地方分権下、国の押しつけではない、条例制定権を得たが、条例の中身を詰める時間が十分に確保されない中で、独自性を出す努力と工夫を発揮できないまま、コピペに終わってしまうことのないよう最善を尽くさなければならない。

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