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大学講義で大阪泊まり

 毎年、依頼を受けて大阪の大学で講義を行うことが恒例になっている。

4月24日は、大阪経済大学で「通商分野の政治課題」とのテーマで講義、これで2度目になる。

 この大学は設置されたのが1949年で比較的新しいが、無借金経営として知られる。それは近年、卒業生や民間から理事長を招いて改革に取り組んできたからである。現理事長はりそな銀行の元頭取勝田泰久氏で、私とも国会現職時代からの旧知の仲である。学長は徳永光俊氏で若くて爽やかな人だ。

 一般公開だから民間人も加わり、300人とほぼ満席だ。

パワーポイントを駆使して1時間半、熱弁をふるう。

丁度、オバマ大統領が国賓として来日中だから、話は外交防衛問題とTPPについて時間を割いた。

 民主党政権時代、日本の経済は低迷し、国力の衰えが目立ちはじめた。その事が災いして韓国や中国の領土侵犯や民族的敵意で挑発されるような状況が続いている。

 オバマ大統領の来日で一番の課題は、日米安保の適用範囲に尖閣諸島を含めると宣言させる事であった。この10年で軍事費を実に4倍に膨れ上げさせた中国は、尖閣諸島をいつ占拠してもおかしくない状況である。

 いわば、「いざとなったらアメリカが支える」と、大統領が公式に述べた訳で、この成果は大きいと学生達に語った。

 残念ながらTPPについては両国とも譲らず不調に終わったが、農業5品目、特に牛肉の38,5%の関税をゼロにと言うアメリカの要求は飲めなくて当然だ。豪と取り決めた20%前後が妥協点と私も思っている。安い豚肉ほど関税を高くする差別関税制度も、日本の畜産業者の事を考えれば「はい、わかりました」とは言えない。

 外交交渉はお互いが歩み寄ることで解決するのだが、フロマン米通商代表も強気で譲らない。夫々の国が自国の利害をかけて戦う訳だから、そう簡単に解決するわけにはいかない。ここは慌てず腰を据えてかかったほうがよいと学生達に話した。

 デフレ脱却、経済再生の為に、今、安倍政権は「3本の矢」を挙げているが、着実に成果を挙げつつある。

 消費税8%のその後の経済の動向にも触れ、国民の監視と協力の必要性を説いた。

私は大臣として通商政策で海外に何度も飛び、様々な交渉にあたった。ほとんど知られていない裏話も含めて話すと学生たちは身を乗り出すようにして聞いてくれた。

 一晩、帝国ホテルに泊まって翌25日は関西大学の講義だ。ここは4年連続で通ったが、今回は政策創造学部に主宰が代わった。小西秀樹学部長、奥和義教授が迎えてくれる。小西部長、「先生が売上税反対で活躍した頃を知っています。気骨のある政治家だなと思ったものです」。最初から気分満点であった。

 大教室は400席だが、一般聴講生も含めて立ち見までと超満員、孫のような若い娘が多いのには驚いた。この子たち、本当に分かってくれるのだろうかと心配になったが、むしろ聴く姿勢も、反応も十分で、逆に感心させられたものだった。

 日本の経済全般を語り、前日のようにオバマ大統領来日の成果を話した。少し砕けて、安倍総理と食べたと話題のすし屋「すきやばし次郎」の話をした。

 ミシュラン三つ星を毎年取る有名な寿司屋だが、はっきり言って大したものではない。銀座の久兵衛という店の方が美味い。「今夜、大阪の友人(松本さん)の案内で帝国ホテルの久兵衛に行くんだ」と、つい余計なことまで披露した。

 中東問題では、「アラブの春のその後」をメインにした。23年に及んだチュ二ジアのベンアリ独裁政権を倒した民衆による革命は、エジプト、リビア、シリア等に飛び火したが 、その後の状況は何処も上手くいってない。政情不安から観光客が激減したり、食糧不足、失業率の悪化、貧困層の拡大、石油生産も極端に減り、デモや殺戮も続き、かえって悪くなったとさえ言われている。

 国王が尊敬され、軍がしっかり治安を守り、豊富なオイルマネーをうまく国民に振り分けているサウジアラビアだけが唯一安定している。

 政変が起こったのは、王制・首長制の国ではなく、共和制の国に限られていることにも注目しなければならない。

 長い独裁政権で、野党指導者が育っていないことが最大のネックだ。「アラブの春」は有力な指導者が導いたものではなく、メール(フェイスブックやツイッター)などを通じて民衆に拡散した運動であった。

 又、独裁政権後イスラム系政党が台頭したが、宗教ネットワークで選挙に勝っても、すぐに世俗派や軍、官僚の揺り戻しで再び混乱になる。つまり政策や政権維持のエキスパートが皆無であったから、国を治めることが出来ないのである。

 長い独裁体制が抑圧によって治安を維持してきたが、「パンドラの箱」を開けたものの再び閉じ込める道が見いだせないでいる。

 このようなアラブの今日の全体像を、詳しく写真を見せながら語った。

最後は、得意のサウジでの石油交渉の顚末を話し、締めくくった。

 立ったままでの1時間半の講義は、さすがに疲れる。

夜、松本さん親子との寿司会食で痛飲したが、心地よい疲れであった。

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