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メーデーでなくなったメーデー

 連合主催メーデーの撮影取材に行ってきました。暑いほどの好天に恵まれ、とどこおりなくすべての付随イベントも行われました。2001年から、連合のメーデーは、5月1日ではなく、連休の最初の土曜日などに行われるようになりました。連休を分断せず、組合員がゆっくり休めるようにという趣旨のようですが、「世界の労働者の連帯の日」という本来の意味は薄れてきました。連合加盟以外の労働組合では、今も5月1日をメーデーにしているところがあるようです。

 今年のメーデーで話題になったのは、安倍総理が、政府代表の来賓として出席し挨拶を述べたことでした。自民党政権の首相としては、小泉純一郎以来、13年ぶりの出席とのことです。折から連合は、「格差是正」をスローガンとして、雇用ルール改悪反対の大集会を開いたばかりです。どう考えても相性が悪い相手だし、現に、先立つ古賀会長の主催者挨拶でも、格差是正は主要なテーマでした。例年出している招待に、安倍首相側が応じたということでしょうか。

 来賓の最初として祝辞を述べ、景気回復に尽力するという首相挨拶の内容は想定内のものでしたが、その最初から、会場からのヤジが入りました。これまで橋本竜太郎、小泉純一郎のときにもヤジはありましたが、笑いをさそう冷やかし程度のものでした。しかし、複数による妨害ヤジが入ったのは、私は今回初めて聞きました。会場警備の担当者が集まってヤジグループを演壇から遠ざけ、しだいに声は遠くなって行きましたが、確信犯的に首相に抗議しようとした人たちがいたことは明らかでした。マスコミのカメラも興味は示しましたが正面のカメラは演説を撮影中ですから動けません。式典の進行が乱されるというほどのこともなく、首相は演説を終わって「公務のため、ここで退席」となりました。

 私が最初にメーデーの取材に行ったのは、全繊同盟とのおつきあいが始まった昭和44年(1969年)だったと思います。全繊の滝田実会長が、同盟の会長でした。神宮・絵画館前の広場に大群衆が集まり、赤い組合旗が林立していました。マーチングバンドが先導するデモ行進は、果てもないと思われるほど長く続いて、みんな行進しながら声を合わせて歌っていました。全繊同盟の隊列にカメラを向けると、若い女子労働者たちが、いっせいに笑顔で手を振ってくれました。当時はスライドの撮影でしたが、すばらしい表情が撮れたのを覚えています。

 自分が今まで知らなかった世界がここにある、「われら未来を語るもの」のための仕事が、できるかもしれないと実感しました。私にとってのメーデーは、そういうものが原点でした。

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