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尖閣を餌にTPPでの「大胆な措置」を約束させられた日米首脳会談

 「日米共同声明を発出するまで少し時間はかかったが、日米両国にとって、そして日米同盟にとって画期的な声明となったと思う」と、安倍首相は胸を張りました。また、「日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定を確保するために主導的な役割を果たしていくことを内外にしっかり示していくことができる」と自画自賛しています。

 これは、「威嚇や力によって、領土や海洋に関する権利を主張しようとする、いかなる試みにも反対」することや尖閣諸島については、「日米安全保障条約の下での関与」は「尖閣諸島を含め、日本の施政下にあるすべての領域に及ぶ」と明記したこと、さらに、「アメリカは尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」ことが共同声明に盛り込まれたためです。安倍首相が目指す集団的自衛権の行使容認についても、「日本が検討を行っていることを歓迎し、支持する」としています。
 また、TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐって、共同声明は「日米両国は、高い水準で野心的で、包括的なTPPを達成するために必要な大胆な措置を取ることにコミットしている。両国は、二国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と述べています。そのうえで、「今回の日米の協議は、TPP交渉における重要な節目であり、より幅広い交渉へと弾みをもたらすことになる」とし、すべてのTPP交渉参加国に対し、協定の妥結に向け、可能なかぎり早期に行動するよう呼びかる方針を打ち出しました。
 安倍首相周辺は「満額回答だ」と言って喜んでいるようです。しかし、そのような評価が可能なのでしょうか。

 アメリカ大統領が国賓として訪日するのは、前回のクリントン大統領以来、18年ぶりになります。この時と今回との違いは、夫人を同伴せず、迎賓館には宿泊せず、国会演説もせず、公式の昼食会もなく、共同記者会見直後に共同声明を発表できなかったことなどで、まさに異例ずくめの日米会談でした。
 首脳会談前日の銀座の寿司店「すきやばし次郎」での会食が話題になりましたが、これも日本側が強く働きかけた結果、ようやく実現したものです。首脳2人は「固い雰囲気で厳しい話ばかりしていた」ようで、「安倍さんは全部食べたが、オバマさんは半分ぐらいしか食べなかった」と店員は証言しています。
 2人は当初、「シンゾウ」「バラク」と呼び合って個人的な親密さをアピールしようとしましたが、その後は「シンゾウ」という呼びかけはほとんどなく、安倍首相もオバマ大統領と言ったりしていたそうです。今の日米関係を象徴するようなギクシャクした様子がうかがえます。

 日米首脳会談でオバマ米大統領は「尖閣諸島を含めて、安保条約第5条が適用される」と明言するとともに「集団的自衛権行使容認の検討」についても支持を表明し、そのことは共同声明にも反映されました。しかし、それは「あたらしいものではない」と大統領は念を押し、集団的自衛権の行使容認についてもこれまでのような「要請」ではなく「検討」への「歓迎」や「支持」に過ぎず、大統領は記者会見で言及しませんでした。
 同時に、大統領は中国との関係改善を要求し。「問題を平和的に解決するこが重要」「中国の平和的な台頭を支持している」「エスカレートし続けるのは正しくない。日中は信頼醸成措置をとるべきだ」と注文しました。中国との衝突は望んでいない、石の塊か岩にすぎない尖閣のためにアメリカの若者が命を懸けるようなことは勘弁してくれということでしょう。
 「信頼醸成措置」ということでは、安倍首相が辞任するのが一番です。日中間の対話を阻害しているのは安倍首相自身ですから、首相を辞めて身を引くのが最善の解決策になるのではないでしょうか。

 今回の訪日で、オバマ大統領は安保・防衛問題での積極関与と引き換えに、TPP交渉での大幅な譲歩を期待していたと思われます。その結果、「前進する道筋を特定し」、「重要な節目」となって「より幅広い交渉へと弾みをもたらす」ものだったとして、他の国にも協定の妥結に向け、可能なかぎり早期に行動するよう呼びかる方針を打ち出しました。
 この文面からすれば、明記されてはいませんが、妥結に向けてほぼ合意がなったように読めます。両国が妥結してもいないのに、他の国に妥結を呼びかけるなどということはあり得ないでしょうから……。
 どうやら、日本は押し切られてしまったようです。共同声明に合意や妥結という言葉がないのは、大幅に譲歩したことを知られたくなかったからでしょう。

 こうして、「あたらしいものではない」尖閣諸島への安保条約第5条の適用の言明と引き換えに、日本はTPP交渉について「大胆な措置」を約束させられ、他の国にまで妥結を呼びかける役割を演ずることになりました。
 集団的自衛権の行使を容認して「アメリカの先兵」になろうとしている安倍首相は、TPP交渉でも「アメリカの先兵」としての役割を果たそうとしているようです。どちらも、日本の国益を大きく阻害し、日本の市場と日本人の命をアメリカに売り渡す暴挙だと言わなければなりません。

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