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「DASH村」の町でタブレット配布、町民の絆を守る

 福島第1原発から2.3キロの距離に位置する浪江町(なみえまち)。人口2.1万人、7600世帯が住む大きな町は、B-1グランプリを制覇した「なみえ焼きそば」や、日本テレビ系列で放送されている「ザ!鉄腕!DASH!!」の1コーナー「DASH村」の所在地だった場所としても知られています。東日本大震災翌月の4月から警戒区域となり、避難が長期化するなかで、2014年4月4日、全国各地に分散避難している約1万世帯の浪江町民へタブレットを配布する事業を発表しました。

 本事業実施にあたって、技術者派遣(フェローシップ)で協力するCode for Japan代表の関治之氏に本事業の目的や役割について伺ってみます。

住民が避難し、閑散としている浪江町内
住民が避難し、閑散としている浪江町内

帰還を決めていない、もしくは帰還をしない8割の住民にも情報を提供

――Code for Japanについて教えてください。

「私たちは、市民参加型のコミュニティ運営を通じて、地域の課題を解決するアイディアを考え、テクノロジーを活用して公共サービスの開発や運営を支援していく非営利団体です。地域を良くしようと考える人たちが集うコミュニティを通して、共に考え、共につくる社会を目指しています」

――浪江町の現状を教えてください。

「他地域へ引越した人、家族同士で離ればなれになった人など、約1万世帯が各地に散らばっています。震災から3年、高齢者は戻りたいという気持ちが強いのですが、子どもが居る世帯は放射線や教育環境の影響で戻りたくないという状況があります。浪江町役場の調査結果では「判断がつかない」「戻らない」が約8割となり、帰還を希望しなかった町民が多かったようです。見通しが立たない状況もあり、戻りたいけど戻れないというのが心の内です」

――タブレット端末配布事業の目的を教えてください。

「目的は3つです。(1)町民同士の絆の維持、(2)町民とふるさとの絆の維持、(3)町民の生活の質の向上です。希望する世帯に1台配布する予定です。町民がふるさとに戻るかどうかに限らず、どのように地域での生活を支援するのか、アイデンティティをどこに見出すことができるかが重要だと考えています」

――全世帯となると1万台配布ですね。タブレットを配布しても利用しない可能性があるのではないでしょうか。

「既に福島県内の4町村で導入していますが、利用率はいいところでも50%前後です。事業者主導で提供しているため、現場のニーズや利用状況に合致していないのが原因だと思います。今回はそうならないようにするために、フェローシップを実施します」

技術者派遣(フェローシップ)について説明するCode for Japan代表の関治之氏
技術者派遣(フェローシップ)について説明するCode for Japan代表の関治之氏

町民協働のワークショップで地域課題を解決する

――フェローシップとは何ですか。

「CivicTech(シビックテック)に高いモチベーションを持った人材の派遣制度です。CivicTechを直訳すると『市民テクノロジー』ですが、市民がテクノロジーを活用して公共サービスなどの地域課題解決を行うことを指しています」

――具体的にはどのようなことをしますか。

「町民協働のワークショップを実施し、アプリ開発やタブレット端末を開発するための手助けをします。Code for Japanの育成プログラムにより、技術だけではなく、ファシリテーション力を持った人材が、様々なステークホルダー間の合意を取りながらプログラムを進行していきます。期間は2014年4月から2015年3月で、20回のワークショップ開催を予定しています」

「今回の事業を皮切りに、Code for NAMIEとして、地域課題を解決するために行政と協働する市民コミュニティにしていきたいと思っています。単なるアプリ開発、タブレット開発、復興支援に終らず、浪江町から、世界に誇れる新しい公共サービスの調達モデルを作っていきたいです」
HalSeki【取材協力】
関 治之/Hal Seki :Code for Japan 代表/Georepublic Japan CEO

位置情報系シビックハッカー。「テクノロジーで、地域をより住みやすく」をモットーに、会社の枠を超えて様々なコミュニティで積極的に活動する。東日本震災時に sinsail.info という震災情報収集サイトの代表を務めて以降、Hack for Japan というエンジニア系プロボノ集団のメンバーとしてハッカソンなどの企画を主催してきたが、地域との長期的な関係構築をより組織的に行うことの必要性を感じ、2013年6月に Code for Japan を設立。Code for America と連携しながら運営を行っている。
内閣府IT戦略本部オープンデータ実務者会議委員なども務める。
関連記事・参考サイト
復興に関する町民アンケート集計結果(浪江町)外部サイト
第3回浪江町 フェローシップ説明会(2014/4/20開催)

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