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近未来の授業とは? -四年生編-

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 小学校四年生。社会科「消防士のしごと」。前回の授業で、しごとのことを話し合った。まずデジタル教科書でチェックしてみる。消火活動、救急活動、通信業務。イラストもあるし動画もある。基本的なことはわかった。「では、いったい119番の仕組みってどうなっているんだろう。火事を見つけたとき、何をどう消防署に伝えたらいいのだろう。」と先生。

 めいめいネットで調べて、わかったところ、思いついたことからパソコンの画面に書き込んでいく。「正確な住所を確かめる」「火事なのか急病なのか、はっきり伝える」「大きい炎が立っているとか、中に人がいるとか、わかりやすく言う」。

 先生の横に立つ電子黒板でもみんなの書き込みが大写しで見られる。書き込まれるたび、先生は「今どこにいるか住所がわからないときはどうしたらいい?」「携帯電話で連絡するときに注意することはあるかな?」と生徒に問いかける。みんなはその場で調べたり考えたりして、教え合う。主張する。正解は一つじゃない。

 先生は、外国での山火事のニュースを動画サイトで見つけてきて、電子黒板で見せながら、火の不始末の恐ろしさを話す。それについてみんなが感想を言う。どこかの国の人が作った「世界の消防車」のサイトも紹介してくれた。いろんな種類のクルマがあるんだね。

 このサイトは3D(立体)表示のコンピュータグラフィクスで、写真を上下左右に動かして見ることができる。消防車のはしごやホースがどこからどう出てくるか、平面ではわかりにくかったそれぞれの国の特徴がよくわかった。

 授業の様子は地域の人もウェブで確認できる。「消防士のしごと」という授業を見つけた近所の消防署から学校に「見学に来てもいいよ」という連絡が入ったらしい。

 というわけで、今日は近くの消防署の見学。消防署のひとに、火災現場での人命救助についてお話を伺った。消防車やホースなどの器具をさわらせてもらう。はしご車が伸びて、高所から救助活動を行う様子を実地に見せてもらう。このリアリティーはデジタルに勝る。

 それをそれぞれ生徒は携帯端末でレポートを書く。その場で撮った写真をレポートに貼り付けている。ビデオ機能を使って録画しながら、紙のノートを出して鉛筆でメモを取ってる生徒もいる。さっき先生に教えてもらった世界の消防車サイトにネットでアクセスして目の前の消防車と見比べている生徒もいる。

 学校に戻ると、班別の「電子新聞」作りが待っている。それぞれの文字、写真、映像レポートを組み合わせてまとめる。クラス内で発表し合って、できあがった作品を学校サイトにアップ。今日の消防士さんにもお礼と一緒にメールで伝えておかなくちゃ。

 宿題は「火事を出さないようにするために」。みんなが学校のサーバにいろんなアイディアを送ってくる。「ライターで遊ばない」「花火をするときは親と一緒に」「いやそれより水とバケツの準備をしておかないと」「それ今日の消防署のひとに聞いてみたらいいんじゃないの」。次の授業は盛り上がりそうだな。

 24時間つながる。世界とも結びつき、地域にも開かれる。家族ともコミュニケーションの媒介となる。一方的に知識を伝えるのではなく、学び合い、教え合う。正解のない世界、多様な価値観を学ばせる。「なぜ」に答え続ける。映像で分かりやすく表示し、好奇心を刺激する。生徒は自分の速度で勉強することができ、先生には余裕が生まれてより生徒に向き合える。

 デジタルの得意なことです。

 アナログにしかできないことがあります。人にしか教えてもらえないことがあります。紙には紙のよさがあります。でも、デジタルにはデジタルにしかできないことがあります。機械のほうが得意なことがあります。使いこなせばいいだけです。

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