先週、佐賀県庁の中で中央公論2013年12月号に掲載された特集「壊死する地方都市」(増田寛也氏ほか)の勉強会を行った。
様々な意見が出る中、現場で聞いた話として、職員がこういうことを教えてくれた。
「実は相続が地域経済をダメにするという話がありまして。
ある地域の金融機関の人と話をしていたときのことなんです。その方がこう言われるんです。」
ふむふむ。おもしろそうだ。以下はその金融機関の方の話。
「親が佐賀に住んでいてこどもは東京、というのはよくある話ですよね。その親がいつの日か亡くなり、相続が発生する、というのもよくある話です。
多くの親は私どものところを含め、地域の金融機関に預金をしていることが多いのですが、それを相続するとどうなると思われますか?
そう、こどもは地方ではなく東京に住んでいるケースが多くて、実は相続をきっかけにした多額の資金移動というのが起こっているのです。」
そういう話だった。これではますます地方にお金は残らない。資本の蓄積どころかキャッシュが地方から吸い上げられていく、ということだ。
だから地方にこどもが残るような対策が必要、というのがその金融機関の方の趣旨のようだったが、全くそのとおりだろう。
さらに先週、少子化担当の森まさこ大臣に僕もメンバーになっている子育て同盟の知事たちから「壊死する地方都市」の内容を報告した。森大臣によると、この論文の内容はすでに政府部内だけでなく、経済財政諮問会議(の下部組織)などでも議論されていて、相当広まっているとのこと。
この論文の内容についてはこのコラムの第556号(平成26年3月25日)でも取り上げたので詳細は省くけれど、これから何を考えていくにしても人口問題、とりわけ人口構造問題をきちんと前提として考えていかないといけないということなのだ。
実はショート・ノーティスで恐縮なのだが、4月22日火曜日の13:30から佐賀市内で増田寛也氏の講演とシンポジウムがある。
九州地域戦略会議主催「地方分権・道州制シンポジウム」というタイトルだ。場所はアバンセ(佐賀市天神三丁目2-11)。
増田氏が「人口減少時代の自治体行政」と題して基調講演され、そのあとのパネルにも参加される。
先日の僕の記者会見でもこのイベントの紹介をしているので、詳しい内容はこちら。
http://saga-chiji.jp/kaiken/index.html?page=20140416&mode=s&no=6
いま、ひっぱりだこの増田さんが人口問題を切り口に語るのを直接聞くことができる貴重な機会だ。
すでに締め切りは過ぎているが「このコラムを読んだ」と受付で言っていただければ入っていただけるようにしているので、どうかひとりでも多くの人の参加をお待ちしたいと思う。
ふるかわ 拝
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- 2014年04月21日 13:34