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岸田隆博さんの「校長日記」に感動している。(追記少々)

岸田さんはこの春4月から、兵庫県丹波市立中央小学校の校長です。ちょっと経歴が変わっていて、最初の11年間は小学校教師でしたが、その後、旧氷上郡教委や県教委、そして丹波市教委で、ずっと情報教育の施策・行政に携わってきて、23年ぶりの学校現場への復帰なのです。

岸田さん自身、3月31日のFacebookへの投稿で「明日から学校現場へ行くわけだけど、タイムスリップしたような何とも言えない気分です」と記しています。少しは不安があるのかな、って当方も少々気を揉みました。

が、それは全くの杞憂でした。岸田さんは十分準備していました。そのことは、4月1日から中央小学校のホームページで始めた「校長日記」を読んで、実感しました。始まったばかりだけど、エンジン全開です。

この日記が想定する読者は、2日の「学校経営方針」についての説明で「子どもの成長に直接かかわる当事者として、教職員や保護者、地域の皆様方それぞれが楽しく取り組める中央小学校をめざしてまいります」とあるように、児童の保護者、地域の全員です。

3日の「木は光をあびて育つ人は言葉をあびて育つ」では、こどもには否定的なことを言うより、「あなたは出来る」と言う方が子どもは伸びるとし、「『がんばれ』より『がんばったね』です。お家でも、素敵な言葉のシャワーをお願いします」と書きます。

そして7日の始業式。日記によると岸田校長は「ABCDの原則」を在校生に話します。これは、A:当たり前のことを B:バカにしないで C:ちゃんとやれる人が D:出来る人 だということです。

では、当たり前のこととはなにか。それは、・あいさつをする・時間を守る・掃除をしっかりする・宿題をする・はきものをそろえる・約束やきまりを守る・大きな声で発表する・真っ直ぐ手を挙げる・丁寧に字を書く・物を大切にするーーということです。

そして自身の好きな言葉を添えます。「本物はつづく。つづけると本物になる

翌8日は入学式。新一年生に3つのことを語りかけます。このあたりは絶妙なので原文を再録します。

<1つめは、「元気にあいさつしましょう」ということです。皆さんに質問しますから答えてくださいね。いいですか?朝起きたらお家の人にどんな挨拶をしますか?(「おはよう!」)素晴らしい!じゃあ次です。お家を出て学校にいくときにはどんなあいさつをしますか?(「行ってきます」)すごい!中央小学校では「あいさつ運動」に取り組んでいます。皆さんも、大きな声ではっきり挨拶しましょう。

2つめは、「へんじ」です。「はいっ」という気持ちの良い返事です。返事は先生やお友達の話をよく聞いていないとできません。しっかりお話を聞いて、気持よく返事ができるようにしましょう。みなさん出来そうですか?{「はいっ」)さすが、中央小学校の1年生。よい返事ができました。

3つめは「朝ごはん」です。朝ごはんをしっかり食べてこない子は、楽しく勉強したり、運動したり出来ません。必ず朝ごはんを食べて学校に来るようにしましょう。朝ごはんをしっかり食べるには、早起きが必要です。早起きするためには、ぐっすり眠ることが大事です。「早寝・早起き・朝ごはん」。皆さんできますか?(「はいっ」)良い返事ですね>

3日付け日記の「褒めて育てる」という基本の考えが明確に出ていますね。

9日付けの、東井義雄作という「どの子も子どもは星」という詩の紹介、10日の幼稚園入園式での園児への呼びかけ、そして11日の遠足を終えて「遠足のお話をたくさんたくさん聞いてやって下さい」「お子さんの素晴らしいところを見つけ、褒め言葉のシャワーを浴びせて下さい」と父兄に呼びかけています。

こんな風に、その後も、土日以外、毎日毎日、こどもを愛し、共に育てていこうという呼びかけが熱く綴られています。読むほどに、こんな校長のいる学校で学ぶ児童、そしてその父兄は幸せだなあという思いを強くしたので、引用もついつい長くなりました。

最初に紹介したように、岸田さんは情報教育では日本有数のエキスパートです。早くから教育の道具としてのパソコンに着目し、早々とパソコン通信用に氷上郡内三十二の小中学校すべてに通 信モデム付きのパソコン各二台を配備し、インターネット時代に入ると、現場の先生の技術的な負担を軽くするため、教委に設置したサーバー経由でインター ネットに接続するシステムを作りました。

さらに、郡内の三輪小学校では、7台のノートパソコンを児童が順番に持ち帰り、自宅でネット接続する実践活動を展開し、父兄から絶賛されました。このような、おそらく、当時としては日本最先端の取り組みの中心にいたのが岸田さんだったのです。

パソコンやネットに詳しい教師と聞くと、なんだかオタクぽくて、本業は大丈夫?みたいな偏見があるかも知れません。しかし、事実は全く逆で、かって知り合った方々は、教師という本業を充実させるために、より良い新たな手段としてパソコンやインターネットの可能性に注目していた”熱い”先生方ばかりでした。

誤解を恐れずに言えば、学校へのパソコン導入時にそれを毛嫌いしていた先生方より、こどもへの愛情が深かったからこそ、情報教育に熱心だったと言えるかも知れません。そのことが、現場に戻り、こどもへの愛情あふれる思いを発信されている岸田さんの「校長日記」を読んで実感出来ました。嬉しいかぎりです。

(追記)書き漏らしましたが、岸田さんは、「子育て参加」ということで、長男、長女、次女のお弁当を10年余に亘って作り続けてきたという家族思いの愛情溢れるかたです。それも今春、次女の大学進学で終了したそうですが。

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