記事

自然を冒涜したシッペ返し アースデイに想う

画像を見る

このブースは回収した携帯電話の電池を換金しゴリラの保護基金にあてる。=20日、代々木公園 写真:筆者=

 「戦争は最大最悪の環境破壊」と言われていたが、福島の事故以降、それに原発が加わるようになった。究極の人殺し兵器が原爆だから戦争も原発も根は同じだ。

 昨日、きょうと代々木公園で開かれたアースデイの会場では「脱原発」「反基地」を静かに呼びかけるブースが目についた。

 米軍基地建設の最大の犠牲者が沖縄の自然であることは言うまでもない。ヘリパッド建設が進む高江の山には野鳥ヤンバルクイナが、V字滑走路が計画されている辺野古の海にはジュゴンが生息する。

 「ジュゴンやヤンバルクイナを守れ」と訴えるブースを、オバマ大統領が見たら何と思うだろうか。

 「固定価格買い取り制度」がスタートしてから2年が経とうとしているが、自然エネルギーの普及は遅々として進まない。経産省にその気がないからだ。

 買い取り価格は下がる一方なので、投資しても元を取るのに時間がかかる。投資意欲も減退する。42円/kw(2012年)→37円/kw(2013年)→32円(2014年)といった具合だ。
  
 東京都内で市民発電に取り組む女性(30代)は「事業的に成り立ちにくい」とこぼした。
 
 「市民電力連絡会」のブースでは太陽光で煮炊きする「ソーラークッカー」や「ソーラーパネル」などが展示されていた。これらが飛ぶように売れる時代が早く来てほしいと願うばかりだ。

 「携帯ゴリラ」と名付けられたブースには驚かされた。コンゴ民主共和国では、携帯電話の電池に用いるレアメタルの採掘でゴリラの生息する森林が伐採、破壊されているのだそうだ。ゴリラが激減しているという。

画像を見る

ヤンバルクイナは模型だが、生息地を奪われて淋しそうだった。=写真:筆者=

 自然を冒涜すれば人間は必ずシッペ返しを食う。宮崎駿監督は「となりのトトロ」「もののけ姫」などを通じて繰り返し訴えている。黒澤明の晩年の作品「夢」には、開発で切り倒された木の亡霊が人間を叱りつける場面が登場する。

 チェルノブイリ原発事故は28年を経てもなお収束していない。原子炉を石棺で覆っていたが、核燃料からいまなお放出される放射線で傷んだため、新たな石棺を準備しているのだ。新しい石棺も30~40年後には「お釈迦」になるだろう。
 
 福島第一原発から流れ出る放射性物質は、半永久的に海を汚染し続ける。海の幸を食する人間は被ばくを免れない。壮大なシッペ返しが始まったようだ。



『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています

あわせて読みたい

「福島第一原発事故」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。