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頻繁に登場する金与正は金氏王朝絶対化へのシグナル?

 昨日(4/20)の労働新聞は、金正恩同志一色の紙面だった。

「朝鮮人民軍第1次飛行士大会(4/15)」の報告からはじまって「朝鮮人民軍第1次飛行士大会参加者のためのモランボン楽団祝賀公演を観覧(4/16)」「朝鮮人民軍第1次飛行士大会参加者と記念撮影(4/17)」と、金正恩同志の三日間の動静を一気に(北朝鮮っぽく言うとタンスメ)報道した。
 普段は6面ぐらいの労働新聞も、8面にわたってドドーンッ!と金正恩同志の写真を掲載。メガネをかけた知的な印象を与える姿から、身振り手振りで何かを熱く語る様子。飛行士(パイロット)と固い握手を交わしたり、モランボン楽団公演を観覧する様子など、金正恩ウォッチャーにとっては出血大サービスと言えるくらいだった。

 たまに「こんな姿を全世界に発信してもいいのか?」と心配したくなるほどの仏頂面や噴飯物の表情(それはそれで変な意味で魅力的ではあるが…)を見せる金正恩同志だが、この日に限ってはいたってご機嫌だった。いつもこんな表情を見せてくれたら労働新聞編集現場のイルクン(働き手、活動家)、カメラマンのみならず朝鮮中央テレビマン達の仕事も随分楽になるだろう。

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※労働新聞(4月20日付け)
 余談だが、フライトジャンパーとカーキ色のパンツでキメた朝鮮人民軍のパイロット同志は、屈強な体格と精悍な顔つきで金正恩同志よりもイケてるのでは?と思うのだが、よくよく見ると「野心ヘア」だった。

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※労働新聞(4月20日3面)

 さて、この中で私が注目するのは7面。金正恩同志は、李雪主夫人とモランボン楽団公演を観覧している。2月頃、「再妊娠説」を囁かれていた李雪主夫人だが、別の正面写真を見ると確かに顔つきも体つきもふっくらとした印象を受ける。しかし、このアングルの写真では、横の金正恩同志の恰幅があまりにも良すぎで(いわゆるメタボ)、比較しようがなく画像分析は断念。そして、李雪主夫人の反対側には、金与正(キム・ヨジョン)氏の姿が見られる。

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※労働新聞(4月20日7面) 

 叔母として、金正恩同志をサポートしてきた金慶喜氏が表舞台から姿を消す—それと同時に、妹の与正氏が公式登場するという流れには、金正恩体制があくまでも「王朝体制」を貫くという強い意思が感じられる。26才と推定される彼女が、現段階でどれほど政権運営に関わっているのかは不明だが、まずは「白頭の血統」を象徴する立場として表舞台に登場したのではなかろうか。

 先月、「金与正氏は、金日成総合大学で拉致被害者・横田めぐみさんの娘であるキム・ウンギョンさんとともにコンピューターを学んだ」という報道もあったが、これに関して私は懐疑的に見ている。金正恩体制を支えるだろう彼女が学ぶべきは「政治」「経済」であり、コンピューターを学んでいた説には、ちょっと無理があるような気がする。

 与正氏は、今後も頻繁に労働新聞や北朝鮮の公式メディアに登場するだろう。それは、とりもなおさず金正恩体制が「金氏王朝」絶対化への道のりを歩むことを意味するが、こういった動きが北朝鮮の人々の目にはどのように映っているのだろうか?
 私は、情報が閉ざされた北朝鮮にも必ずや体制に問題意識をもった心あるイルクン(働き手、活動家)達がいると確信している。また、民心不在の王朝政治にそっぽを向きながら経済活動にいそしむイルバンペクソン(一般百姓:一般民衆というニュアンス)もいる。そのような人たちが、どのような思いで「金正恩王朝劇」を見ているのかは推して知るべしだ。

  • by 高英起
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