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異次元緩和やGPIF運用のリスクを背負うのは誰なのか

 4月16日の東京株式市場は、麻生財務相の発言をひとつのきっかけに上昇した。昨日のこのコラムでは首相の発言などで相場を誘導することの困難さを指摘したが、それを首相に代わり、副総理がやってのけたようにみえなくもない。

 麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣(長いので以下、麻生財務相と呼びます)は、16日午前の衆議院財務金融委員会で、「GPIFの動きが6月以降出てくる」、「GPIFの動きが出てくるとはっきりすれば、外国投資家が動く可能性高くなる」と述べた。

 GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことだが、我々の年金積立金を管理運用しているところである。その運用の仕方について現在、議論がなされている。今回の麻生財務相の発言からは、これまで早ければ年内にGPIFの資産構成割合を見直すとしていたが、その可能性を指摘するとともに、6月にもその見直しによる日本株の買い増し等の可能性を示唆したものと思われる。

 これは16日の株式市場の参加者にはサプライズとして受け取られ、市場を取り巻く地合も好転しているところに買い材料として認識された。さらにこの麻生財務相の発言は、「最近の株価下落は海外投資家の動向の影響が大きいとの見方を示し、GPIFによる買い支えに期待をにじませた」(日経新聞)とされる。

 15日の安倍首相と黒田日銀総裁の会見も株価対策が背景にあったとすれば、今回の麻生財務相の発言も同様であったようである。現実に16日の日経平均は400円以上の上昇となったことで、政府要人は市場を動かせるのではないかとのご指摘を受けそうだが、2012年11月のアベノミクス同様にタイミング次第ではこのようなことも起こりうる。ここにきての米国株式市場の反発とともに中国GDPが予想を上回るなど株式市場を取り巻く地合が好転していたことで、思わぬ反応を見せた格好となった。

 しかし、今回の麻生財務相の発言にも問題が残る。GPIFの動向は海外投資家の注目が高いことも意識しての今回の発言であったとすれば、そもそもGPIFの資産構成割合を見直しとはいったい何か目的なのか。これは株価対策も意識したものということになりかねない。かつてはPKOと呼ばれたような動きも市場にあったことも事実である。PKOとはPeacekeeping Operationsの略称ではなく、株式市場関係者が創作したと思われるPricekeeping Operationsのことである。株価が下落したときに、どこからともなく現れた大口の買いがそう呼ばれた。この買い手は、郵貯や公的年金の買いであったと噂されていた。

 GPIFの資産構成割合の見直しは、金利上昇による国債の下落リスクを意識してという良くわからない理由によるものではなく、PKOを正式なものとして復活させようとしているためなのであろうか。念のため確認しておくが、公的年金の積立金は政治家が勝手に使って良いようなものではない。我々がこつこつと積み立てた年金の資金である。

 「国民の年金資産でリスクをとるのはいかがなものか」といった意見がGPIFを所管する厚生労働省など政府・与党内にはあるそうだが(日経新聞)、それだけでなく、積み立てている我々もその運用については、もっと注意すべきものではなかろうか。もちろんある程度のリスクをとり、それなりの専門家に運用を託すことも必要かもしれないが、資金の性質から考えて、あまりリスクに晒してしまって良いものではないはず。

 ちなみに日銀の異次元緩和による国債の大量買入も他人事ではない。そもそもフリーランチなどというものは存在しない。何事も等価交換が必要になる。GPIFが株を大量に買い、日銀が国債を大量に買えば、誰の懐も痛まずに、景気も良くなり物価が上がり万々歳というわけにはいかない。それに対するリスクを負っているところが当然存在する。いったい誰がそのリスクを背負っているのかを良く考える必要がある。言うまでもないが、そのリスクを背負っているのは、これを読んでいるあなた自身である。

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