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「配偶者控除見直し」に対する補足~「感情論」で増幅されている「専業主婦優遇論」

昨日公開いたしました記事〝「配偶者控除」見直し~「女性の活躍を後押しする」という詭弁と、「専業主婦優遇」という「謂れなき批判」 ″ に関して、一部の方から質問と批判が寄せられました。

内容は、どうして比較が「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」なのか、「ものすごく恣意的」「この人バカなんじゃないの。専業主婦が育てた子供の成れの果てがニートとか精神病んで働けなくなってる場合どうすんだよ」といったものでした。

限られた文字数の中での説明でしたで、こちらの主旨を上手くお伝えできなかったのかもしれませんが、「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」を比較したわけではありません。

もちろん、「働く女性」が「将来の担い手を生まない」と決め付けているわけではありませんし、「専業主婦」が全員「将来の担い手を生み育てている」と言っているわけではありません。

比較して示したかったのは、現在「専業主婦」として、子供を産み育てている、あるいはそうしようとされている方が、子供を産み育てることを諦め「社会での活躍」を余儀なくされた場合(結果的にそうなった場合も含めて)、どの程度年金財政に対して貢献するのかというものです。

つまり、「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」を比較したわけではありません。

こうした比較を行ったのは、「配偶者控除見直し」議論は、自分で年金保険料を負担していない「専業主婦」は優遇されており、不公平だという世論を逆手にとったものだと感じているからです。

「専業主婦」として、子供を産み育てて行くことを考えている主婦が、「配偶者控除見直し」に「後押し」され、働きに出ることによって、どの程度年金財政に貢献する可能性があるのかについては、例え大雑把な仮定に基づいた例であったとしても検証するべきだと思います。そうでなければ、「専業主婦優遇論」は単なる「感情論」になってしまうからです。

ブログ内で置いた仮定では、働きに出て頂いた方が年金財政の「現在価値」に560万円ほど貢献するが、お子さんを2人育てて頂けたら「専業主婦」を続けて頂いた方が貢献度が高くなる可能性もあるという結果となりました。

この結果に関して、個人的には、現在実しやかに言われている「専業主婦優遇論」は、「感情論」によってかなり増幅されているのではないかとという印象を抱いています。そして、「配偶者控除見直し」の一つの理由が「専業主婦優遇論」だとしたら、「感情論」によってかなり増幅されてしまった意見に基づいて政策判断がなされるということになりますから、その判断は必ずしも正しい選択だとは限らいと考えます。

また、日本が今直面している大きな社会問題は「少子高齢化」です。これまでは、「団塊の世代」が高齢化することで「少子高齢化」が進んで来たのですが、その先は、「少子化」によって「少子高齢化」が継続するという状況にあります。ですから、「少子高齢化」を解決するためには、「少子化」を食い止めることが最優先課題になって来ます。

「103万円の壁」によって「女性就労が抑制されている」というのであれば、「103万円の壁」が撤廃された場合、女性の労働時間は当然長くなることが想定されます。それが女性の意思なのであれば問題はないのですが、企業側の意思だった場合、女性ご本人や家庭に悪影響を及ぼす可能性が高いのではないかと思っています。

労働時間が本人の意思に基づかずに長くなり負担が増した場合、女性が子供を産み、育てるという余裕を失ってしまうような気がしてなりません。もちろん、「元祖イクメン」を自負している筆者としては、子育ては男性も積極的に関わるのは当然だと思っています。しかし、子供産むことは、女性にしか出来ず、女性にお願いをする以外にないという歴然とした事実もあります。

ですから、「少子化」が大きな社会問題になっている今日、女性を心身ともに疲れさせてしまうような政策は取るべきではないと考える次第です。

「少子化」を食い止めるためには、「専業主婦」として、子供を産み育てることを希望している女性に、その夢を果して頂くことがとても重要になって来ると考えています。そうした希望を持った女性を、「女性の社会進出を後押しする」という詭弁で、仕事に狩り出すというのは、とても得策だとは思えません。

「社会進出」を望む女性はそれが実現でき、「専業主婦」を望む女性にはそれが実現出来るという、「選択肢のある社会」を作ることは、「女性が活躍する社会」と同じ位重要なことではないかと思います。

昨日公開したブログで年金財政に対する貢献度を示したのは、「専業主婦」が年金財政に大きな負担になっているわけではなく、「専業主婦優遇論」は「感情論」によって必要以上に増幅されている可能性があることを、数字的に示したかったからです。「感情論」によって必要以上に増幅されている「専業主婦優遇論」にもとづいて「配偶者控除見直し」が行われるとしたら、日本社会が直面している「少子化」という課題の克服は難しくなるのではないかという懸念を紹介させて頂いたわけです。

もちろん、「少子化」というのが、今の日本が解決すべき課題でないと考えられている方や、専業主婦が育てた子供がニートや精神を病むと考えている方にとっては、全く無駄な意見だということになりますが。こうした見解の相違があるのは「選択肢のある社会」においては当然のことだとご理解頂ければ幸いです。

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