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自分の息子の入学式を優先する担任教員 労働者の権利を考える

 少々、話題は古くなりますが、先般、埼玉県で自分の息子の高校の入学式に出席するために自分の勤務する高校の入学式は有給休暇を取得して欠席したということが話題になっていました。

 我が子の1回しかない入学式に参列したということです。

 その教員は1年生の担任だったのですが、最初の出発の日という意味では、その担任のクラスの生徒にとっても感慨深い日ということになりますが、それを欠席したということです。

 自分の子ども時代では、世代であれば仕事を休んで参加するというのは、ほとんどなかったように思います。

 ただ母親が専業主婦という家庭は多く、母親は割と自由に時間を作れていたのではないかと思います。授業参観といえばほぼ母親だけです。その後、日曜日などに振り替えて父親も来れるようにという配慮が始まりました。

 仕事を休んで来るということは考えられなかったことが背景にあると思います。

 この問題が報じられたとき、色々な意見を読みました。

 私自身は、学級担任である以上、そちらを優先すべきであるという思いが当初、強くありました。

 今回の件は、有給休暇取得を認めらえていたものを、後から教育長が文句をいうのは問題で、その対応自体は批判の目が向けられて当然です。

 問題は、では教員が有給休暇の取得を申請してきたときに、管理職が時季変更権を行使することなく、これをそのまま承認すべきかどうかです。

 認められた有給休暇の取得をどのように使おうが勝手ですが、その前提として時季変更権を行使を容認すべきかどうか、その前提として有給休暇の取得の目的も加味されるのは当然です。
(内容によって承認するかどうかを決めるという趣旨ではありません。これでは違法になります。あくまで本来、時季変更権の行使が認められる前提で、なお理由によっては取得を認めるという場合です。)

 私自身は、もともとプライベートと両立しない職業もあるのではないか、その場合、その職業を選択した以上はある程度、プライベートは我慢するというのは一般論としては当然と思っています。

 この場合であれば、少なくとも事情を前年度から職場に伝え、1年生の担任からは外してもらう、あるいは担任を外れるなどの工夫の余地はあったのではないかとも思いました。

 この出来事に対する意見の中には、我が子も生徒も同等というものがありました。理屈ではそうでしょうが、現実には、同等といいながらも自分の息子の入学式に参列すれば、子どもを優先することになります。同等とはいいながらも優先順位はあるわけです。

 教員は労働者であり、労働者としての権利は守られなければなりませんが、他方で、教員は聖職でもあります。私は教員のサラリーマン化は由々しき事態と思います。

 子どもたちと触れ合う中で、それぞれの教員が自主的な創意工夫によって教育が成り立っていくのですから、単なるルーティンワークではありません。

 今回の出来事でも、例えば、その教員が翌日、教室に入ってきて何も説明しない、あるいは「有給休暇取得は労働者の権利ですから」とだけ言われてしまっては、やはり私には違和感しかないわけです。
(今回は、自身が作成したお手紙文を副担任が配布したようですが、これで足りるのかは何とも言えません。)

 「我が子も生徒も同等」と言われても、優先順位がついてしまうわけですから、すっきりとなるほどとは思えないわけです。

 意見の中には、翌日にでも生徒にフォローできればいいのではないかというものもありました。確かにそれが唯一の両立といえる状況でしょう。しかし、それは単に形式的に「労働者の権利」とか言うだけでは足りないということでもあります。

 もちろん他方で時代の流れというものはあります。会社勤めでも昔ながらの会社人間は流行りません。「プライベート重視」という流れは今後も加速していくでしょう。そのような流れの中では、「労働者の権利」という説明も違和感がなくなっていくのかもしれません。

 大学の入学式や卒業式、さらには会社の入社式にまで親族が押し寄せる時代ですから、その延長線上に今回の出来事も位置づけられるのかもしれません。

 そうなると4月の最初の週は休暇が当たり前という時代になるのかもしれません。

 とはいえ、この「プライベート重視」は、単にコミュニケーションをとりたがらない、ないしはコミュニケーション能力不足が原因とも感じられるからです。あるいは自己本位になりつつあるのではないかという懸念です。
パワハラ概念の移り変わり 何かしっくり来ない

 しかも、教育現場と他の代替性の聞く職種と同列に論じられるのかも疑問の余地があります。

 教員があまりにサラリーマン化することは、教育にも悪影響を及ぼすのは必至です。

 ところで教員の教育現場での自主的な創意工夫という活動については、従来より自民党政府は敵視してきたという現実は看過してはなりません。

 このような教育現場に対する官僚支配こそが教育における自主性を潰してきた諸悪の元凶であるし、今、教育委員会制度を廃止して自治体首長の権限によって教育に介入できるシステムを作ろうとしていることは教育を荒廃させるだけであり、このような策動は断じて許してはなりません。

 このような官僚支配こそが教員のサラリーマン化を招いているのです。

 今回、この問題は埼玉新聞2014年4月11日付「担任、息子の入学式へ…高校教諭勤務先を欠席、教育長が異例の注意」に掲載されたことに端を発して話題として大きく拡がったものですが、そのきっかけは、
 「来賓として入学式に出席した江野幸一県議(刷新の会)は「担任の自覚、教師の倫理観が欠如している。欠席理由を聞いた新入生たちの気持ちを考えないのか。校長の管理責任も問われる」と憤慨。
というところにあるように県議という政治家の介入に大きな原因があるのは、またかという感じです。このようなやり方は、現場に混乱をもたらすだけです。

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