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商品先物取引規制 省庁間の連携は十分か

消費者保護の視点で幅広い議論を

経済産業省と農林水産省が、商品先物取引で禁止されている、顧客が望まない訪問や電話による勧誘(不招請勧誘)の規制緩和に乗り出したことが、論議を呼んでいる。

両省は、取引高が先細りしている商品先物取引市場の現状から、「今後、石油やゴム、農産物といった商品価格が不安定になる恐れがある」とし、将来の液化天然ガス(LNG)の安定供給や電力の自由化を見据えて、勧誘規制の緩和による市場活性化が必要だと説明している。

今月には、(1)70歳以上の高齢者、年金生活者などを除き不招請勧誘規制を緩和(2)勧誘から契約まで7日間の「熟慮期間」を設定―などを主な内容とする施行規則の改正案を提示した。

この動きに対し、内閣府の消費者委員会は、規制緩和の動きが「消費者保護の観点から見て、重大な危険をはらむ」と、再考を求める意見を表明、両省を強くけん制した。森雅子消費者担当相も記者会見で、「消費者庁に事前の協議はなかった」と述べ、拙速な対応に不快感を示した。

消費者保護を巡る規制緩和の問題だけに、関係省庁間の事前調整は欠かせまい。連携不足が事実だとすれば大変に遺憾だ。

食料やエネルギー原料などの価格は、気候の変動や政治情勢などに左右されやすい。先物取引は、こうした価格変動の影響を回避することや、商品の調達先確保といった役割を持つが、決済時の価格によっては投資した額を上回る損失を被る場合がある。投機的な運用も目立ち、取引を行うには複雑かつ高度な専門知識が必要とされる。

不招請勧誘が2011年から禁止された背景には、こうした専門知識を持たない消費者がトラブルに巻き込まれ、度重なる取引規制にもかかわらず被害が相次いできた経緯がある。

経済再生に向けて政府は昨年、勧誘などの規制について、「顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行う」との方針を閣議決定した。今回の改正案提示はこれに沿ったものだろうが、被害や苦情は現在も絶えない。

7日間の「熟慮期間」についても、「かつて同様の法律があったが機能しなかった」との指摘もある。政府が実現をめざす、証券・金融も合わせた「総合的な取引所」との関わりも不透明であり、説明が不十分だとの声が上がっている。

消費者保護の視点から、国民の幅広い意見も参考に、さらなる議論を望みたい。

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