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「明日ママ」でBPOがまたも結論先送り 放送から3か月経っても審議するかどうかも結論出せない現状

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「子どもの命」にかかわる、という問題意識がスポンサーに届くことは「安易」なのだろうか?

一般論として、内容は良い番組なのに特定団体が何か気に入らないとして抗議の声を上げて提供スポンサーに働きかけ、番組内容に影響があった場合、ケースによっては「安易に行われ」という表現は当てはまるかもしれない。

だが、今回は「子どもの命」の問題で緊急を要するとして関係者が声を上げた経緯を私自身は取材の過程で知っている。

それを「安易」という表現で片付けられてしまって、真剣に考えてきた専門家たちにとってはたまらないと思う。

こうした状況を受けて、放送人権委員会が「審議入り」するかどうかが注目され、結論を出すと言われたのが3月18日で、そこでも結論が出ずに4月15日の会議に持ち越され、ここで結論を発表するとBPOはマスコミに公表していた。

しかし、4月15日も結論は発表されずに5月に先送り。

審議に入るかどうかという入り口の議論でこの2か月、判断できない状態が続いているのだ。

問題の第1回放送からだと、もう3か月。来月に本当に結論が出るなら4か月もかかって結論を出せない。

しかも、この2か月間、申し立てを行った慈恵病院に対して、BPO側が、手続き的に、どこがどう不十分で、こうすれば審議対象にする、というような懇切丁寧な説明をBPO側が行ったという事実は私が取材した限りでは今のところない。

これではBPOとしての「能力」「姿勢」が問われることになると私は思う。

今回の事態を大ざっぱに振り返ってみたい。

1月の「明日ママ」の第1回放送の後、慈恵病院や全国児童養護施設協議会などの関係者が記者会見などを通じて放送局(日本テレビ)に内容改善などを求めた。

しかし、放送局側は応じなかった。

このため、慈恵病院がBPOに申し立てを行ったほか、児童養護施設の関係者らが国などの関係機関に働きかけた。

申し立てに対して、BPOはすみやかに審議するかどうかの結論も出せなかった。

放送局もBPOも速やかに対応しない。

そういう状況を受けて、関係者の一部がスポンサーにも働きかけたことは事実である。

その結果として、スポンサーのCMが流れないという異例の事態に発展した。

「子どもの命が危ない」。

そう考えた専門家たちがテレビ局や放送倫理を統括する機関であるBPOに働きかけても、すぐに動いてもらえなかったから、スポンサーに働きかけた。

スポンサーに働きかける以外に方法があったのだろうか?

放送局やBPOが迅速に動き、対応する体制や姿勢があれば、スポンサーに働きかけるような形で問題は広がらなかった。

その点を一切、反省することもなく、その点を反省するコメントも出さずに、「安易」だという表現で説明するような青少年委員長のコメントは、BPOの自らの怠慢や能力不足を棚に上げているのと同じだと思う。

申し立てを受けて、とっくに審議を開始していいはずのBPO放送人権委員会は、1月の放送から3か月以上経っても結論を出せない。

その結論は、審議入りするかしないかなのだ。

5月に結論を出すにしても、4か月後に審議するかどうかの結論が出る。

審議入りするながら、そこから実質的な調査などが始まるのだ。

こんなに時間を浪費してBPOは一体どうしたいのだろうか?

審議入りしないなら、だらだらと待たされた側のこの間の時間は何だったのだろう?

一体どうしたことか。

BPOの個々の委員や職員がまったく怠慢で無能だと言っているのではない。

それそれの職責で努力された人たちがいたし、それらの努力の末の結論であることは理解しているつもりだ。

だが、医師や施設関係者らの専門家たちが「これは子どもを守るための緊急事態だ」として声を上げても、迅速に対応できないのであれば、それは現在のBPOのシステムそのものに欠陥がある、と言わざるえない。

少なくともBPOは「放送倫理上」「適切だったのか」「不適切だったのか」「加害性をどう考えるのか」を調査し、判断する役割を期待されているのに、その入り口でこれほど時間がかかってしまう。

このことは極めて残念だ。これでは視聴者はBPOを信頼しなくなる。

そうなるとどうなるのか。

もし、「これは放送倫理上、問題がある」と視聴者の少ない人や専門家らが感じた番組が放送された場合でも、放送局やBPOに働きかけても、アテにはならない、ということだ。

そうなると、青少年委員会の委員長コメントにある通り、「提供スポンサーにまで影響を及ぼす」という事態がますます引き起こされることになる。

委員長コメントは、そうした事態を憂慮しているが、実際にはそうした事態を広げつつあるのは、迅速に対応できないBPO自身だということに気がついていないのだろうか。

BPOはたった一つのドラマについてさえ、こんな対応をして、「審議に入るかどうか」という入り口の話で2、3か月を費している。

今回はテレビ局だけでなく、BPO自身の信頼も失われかけているということを関係者はどこまで意識しているのだろうか。

※Yahoo!ニュースからの転載

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