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終わりなき申請主義はどこまでいくのか

死役所 (BUNCH COMICS) [コミック]/あずみきし

端的に言えば、何らかの理由で亡くなった「死者」が立ち寄る「死役所」で次の道を決めていくストーリーであり、さまざまな「死」の周縁者も表現しながら、改めて「死」について考えるショートショート。

各ストーリーで表現される「死」と「死因」は、現在の日本社会に起こっていることを切り取っているため、どこかで見聞きした事例が多く、心が痛むものが多い。単行本でしか読んでいないため、現在はどこまで主人公「シ村」や死役所で働く職員のそこへ至る背景が描かれているのかはわからないが、物語のコアは「死刑制度」になると推察される。

※死役所の職員は「死刑によって亡くなられた人間しか働くことができない。

そのなかでも目に留まるのが、とにかく死者が次の道を決めていくプロセスが、極めてお役所仕事であり、申請主義で描かれていることだ。

部課名は死因ごとになっており、各窓口では複数の書類、煩雑な項目を期日までに埋めていかないとならない。

「自殺申請書」
「他殺による死亡認可書」
「成仏許可申請書」
「挺身申請書」

物事はすべて「条例」で決まっており、大切なことについてわざわざ伝えない。他の職員が「何で教えてあげなかったんですか?」といっても、シ村は「聞かれませんでしたので」で返していく。

当然、行政マンがすべてそういう態度ではなく、ほとんどの方が真摯に、丁寧に対応してくれる。友人もみな素晴らしい人間だが、それでもなお法律や条令などを前提とした「申請主義」に辟易した経験は少なくない。

「死」というテーマで表現されるストーリーの裏側で、何か「お役所仕事」に対する感情が見え隠れするのは考え過ぎだろうか。

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