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TPP交渉の行方―ワシントンの見方とのギャップ

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(マーシェル国務次官補代行との会談)

 4月7日(月)から9日(水)まで、民主党訪米団の一員としてワシントンに行ってきました。

 政府、議会関係者や、マスコミ、シンクタンクの研究者などとの会談を通じて、有意義な情報交換ができました。

 まず、TPP交渉に関して、米国の見方を紹介します。

 今月末のオバマ訪日に向けて、農産物5品目に関して日米の二国間交渉が進められましたが、妥結への道は程遠いようです。

 そもそも、米国では、通商問題の決定権限は議会にあります。そこで、政府はTPA(包括交渉権)を議会から取得して交渉に臨みます。

 米韓FTAは2007年のTPAに基づき、政府間の交渉が行われましたが、議会が批准するまでに4年間もかかりました。

 議会関係者の間では、政府がTPP交渉に関する情報を議会に示さないことがけしからんとの意見がほとんどでした。その点は、日米ともに共有した観点です。

 日本では、オバマ政権は、今回、まだTPAを成立させていませんので、フロマン代表がかたくなな態度をとらざるを得ず、交渉が長引いているという見方があります。

 そうだとすると、オバマ大統領と安倍総理との首脳会談で、日本が譲歩したとしても、議会が承認せずに、譲り損になってしまうおそれがあります。

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(議会日本研究グループ共同議長ヒロノ上院議員との会談)

 一方で、TPP交渉に関しては、大統領の足元の民主党が反対ですから、秋の中間選挙まではTPAが成立しないというのがワシントンでのコンセンサスでした。

 したがって、これまでの通商交渉とは逆に、議会が納得するような米国にとって有利なTPPを結ぶことで、TPAを得やすくするというのが、オバマ政権の作戦になるはずです。

 そうだとすると、農産物5品目に関してオバマ政権は関税撤廃を最後まで要求してくることでしょう。

 そもそも、TPP交渉に入る前に、日米2国間の事前協議で自動車関税でべた降りした安倍内閣の手法が批判されるべきです。

 野田内閣で、私はTPP担当の内閣府大臣政務官をしていました。当時の野田内閣は農産物を守るためにも、本来、TPPで交渉すべき自動車関税について事前に降りる選択肢はないとして、交渉には入らなかった経緯があります。

 まあ、しかし、今はそんなことを言ってもしかたありません。

 農家への直接の所得補償などの国内対策を十分に手当する前提で、農産物5品目でもギリギリの譲歩をし、TPP交渉を前に進めるべきでしょう。

 そうしないと、結局、「日本のかたくなな保護主義によってTPP交渉がとん挫した。」との非難を米国のみならず、TPP交渉参加国から浴びせられることになるでしょう。

 なお、TPPは経済的な側面だけでなく、米国の軍事上のリバランス政策とも密接に関連しているとの認識が多くの方から示されました。

 ワシントンの空気は、おおむねこのようなものです。

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(佐々江駐米大使公邸にて、カート・キャンベル前国務次官補達との夕食会)

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