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【書評】高学歴男はなぜモテないのか/犬山紙子

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高学歴男はなぜモテないのか (扶桑社新書)

内容(「BOOK」データベースより)

「過去の栄光」を語るとき、男はブサイクになる、上から目線のアドバイスは、女にとっちゃ「クソバイス」!格下の男をバカにする男を、女はカモにする、「さりげないオシャレ」ほど悪目立ちする、「(笑)」をつければ何を言っても許されると思うな!年賀状に「名言」を書くと、説教好きと思われる、女が男に萌えるポイントは、かっこよさより「マヌケ力」。すべての男性に伝えたいコミュニケーション力のツボ。

「ザワつく夜」などにも出演する気鋭のエッセイスト・犬山紙子氏による、男性論であり、モテ本。Ustreamで『女は笑顔で殴り合う』をとりあげることになってAmazonで注文したが、放送に間に合わせられなかった。

フィールドワーク(という名の合コン、飲み会など)を重ねるうち、著者は高学歴男性という一見モテそうな存在がモテない、女性に不評という現実を知ったという。

本書は著者の体験談、人づての話を元に、新たな3高「高学歴」「高収入」、そして(高身長でなく)「高プライド」男性への痛烈なダメ出しであり、改善案。「週刊SPA」上での連載「痛男!」の大幅加筆となっている。

トンデモ男の博物館のような内容で、よくぞここまで多くのヘンテコな男と知り合えるもんだわと、Fecebookの「友達」が100人に届かない評者は思うけれど、その「痛男」のバリエーションと裏腹に、この本が読者(主に男性)にいわんとしていることは、一貫している。

それは、目の前の女性を一人の人間として扱え、ということ。自分の言動で相手がどう思うかと想像力を働かせて向き合え、ということだ。相手が女性だから何を考えているのかわからないということはあるだろうが、それはトライ&エラーを繰り返して、経験を積むしかないと著者は主張する。

旧帝大の「高学歴」でもなければ、「高収入」でもない評者でも、やはり男のはしくれで、著者の投げてくる球全てをスルーすることはできなかった。実は反感をもった項目がないわけでもない。たとえば「LINEの有料スタンプをドヤ顔で使う男」なんて、「課金をあざ笑うなんて古くさい!」と思うのである。けれど、そうやって反感を持つこと自体、著者の術中にはまっているというか、「高プライド」男に半歩足を入れているわけで。「高学歴」「高収入」の男がモテない原因の根本には、「高プライド」の問題があると思う。「高プライド」でなければ「高学歴」も「高収入」も鼻にかけないのだから。


そして、この「高プライド」というのは、『女は笑顔で殴りあう』でのマウンティングの話と、実は地続きだろう。

最後の第4章で、筆者はこれら新3高の男たちに共通する「痛い」という概念について、考察する。「痛い」という概念を知っている誰しもが、「痛い」と思われたくないだろう。けれど「痛い」部分が全くない人なんて、いるのだろうかと著者は問う。みんな誰しも、「痛い」ところはあるだろうと。

では、本書が指摘してきた「痛男」と、「痛い」ところもあるけれどそうは指摘されない人々のちがいは、何なのだろう。

 それは、「痛さの中にかわいげがあるかどうか」これに尽きるんじゃないかなあと思うのです。例えば、かっこよく思われたい!と好きな女の子の前でお酒に強いフリをしてみても「かわいいなあ」とむしろ好感度が高いんですよね。

 でも、かっこよく思われたいがために自分語りがヒートアップしたり、いかにスゴイのか自慢しちゃったり、まっったくかわいくない。ただの痛い人になるわけです。もうちょっと掘り下げますと、この「かわいげがあるかどうか」って「自分に酔ってるかどうか」とも言えるのではないでしょうか。

 男も女も痛い者同士、ここはお互い、痛いは痛いでも「かわいげのある痛さ」にシフトチェンジできればよいですよね。

※太線原文ママ

pp.143-144

四方田犬彦『かわいい論』を待つまでもなく、「かわいい」という感情を抱く時、われわれは対象を一時的にでも「下」にみている節がある。自分より優れた、自分を脅かす対象に「かわいい」などと思わないのだ。裏を返せば、「かわいげ」があるという状態はマウンティングされる側の状態ということになる。

「自分に酔っている」という人は、人にマウンティングされる自分の姿が許せない。彼らは人に「かわいい」と上から乗られるくらいなら、「自分語りがヒートアップしたり、いかにスゴイのか自慢しちゃったり」して、乗る側になろうとする。それが「かわいくない」し「痛い」のである。

損して得とれではないが、女性からこの人かわいいなあと、上に乗られることに楽しみを見つけられる男、上に乗せてあげることに快を見いだせる男。

本書を読んだ時、旧来の女性を上から組みしこうとするタイプの「モテ」とはまたすこし違う、あえて下手に出てかわいがられる「モテ」の形も、あるのかもしれないと、ふと思ったのである。

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