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恥の文化は失われたか

 今週の週刊新潮(4月17日号)に渡辺喜美代議士の資金疑惑の特集が組まれている。私もいつものように取材を受け、コメントを載せている。
 セミタイトル「渡辺喜美代議士を情けない男にした親父の背中」の一文だ。

 「彼が父親に学んだと言っても、それは形だけに過ぎなかったと思います」と述べるのは、かつて自民党渡辺派のメンバーだった、深谷隆司元通産大臣だ。
 「美智雄先生は派閥の領袖として後輩を育てる為にカネもポストもあらゆる苦労をしていた。しかし、倅はカネを党の為に使うどころか、妻の口座に貯め込んでいたのです。未熟者だったとしか言いようがない」。
 かなり辛辣に聞こえるかもしれないが、「政治をなめるな、冒涜するな、」という思いに駆られているのだ。

 DHCの吉田嘉明会長がみんなの党の彼に8億円を貸したと告発して、センセーショナルな政治とカネの大問題になった。
 吉田氏は2010年6月にまず3億円を渡辺氏の口座に振り込んで、12年11月更に5億円を振り込んだと言う。いずれも参議院、衆議院選の直前であったから、誰が見ても、記載していなければ公職選挙法違反、あるいは政治資金規正法違反にあたると思うのが自然だ。しかし、本人はそれが怖くて「個人的な借り入れである」と強弁し、何と熊手を買ったなどと呆れた弁明をしていた。
 選挙資金と偽って借りたら、今度は詐欺罪に問われる可能性があり、その方が刑が重いことさえ知らないようなのだ。

 4月7日に急きょ記者会見を行った渡辺氏、8億円のうち未返済であった5億5000万円を全額返済したことと、党代表を辞任する旨を表明した。
 ところがなんと、その莫大な返済金は妻の口座にはいっていて、そこから出したと言うのだ。しかも、借りた同じ時期、離婚騒動があったものだから、慰謝料として妻の口座に入れたのではないかとの疑惑まで生まれた。
 私は、この問題が明るみに出た時、みんなの党の候補者達に秘かに選挙資金として配ったのではないかと思った。だとしたら貰った側も記載していないのだから、相当な数の違反者が出るのではないかと危惧していた。
 まあ、無用な心配であった。そんな親分としての玉ではなかったということなのだ。
 返したから一件落着ではない。猪瀬前知事も法的罪を負うたのだから、これからどうなるのか、党代表辞任で終わる話ではないと思う。なによりも政治家として恥を知れと言いたいところである。
 それにしてもメール1通でこんな巨額なカネを出せる人もいるとは、びっくりだ。DHC、化粧品通販大手というのは、そんなに湯水のように使えるほど儲かっている商売なのか。政治家や政党の「タニマチ」気取りが胡散臭い。お国の為に命がけで応援するなら、死ぬまで黙っていろ、と言いたいが・・・。

 STAP細胞の論文が不正とされた問題で、小保方晴子ユニットリーダーが9日記者会見を行った。
 病室から会見に臨んだようだが、実に2時間半に及んだ会見のやり取りは、驚くほどしっかりしていた。テレビで一般人の感想を聞くと、「信じられる」と答えた人が半数以上を占めていた。
 正直、テレビで見た印象を言えば、弱い人なのか、案外したたかなのか、そこのところが判らなかった。
 実験で200回成功し、STAP細胞はあると断言し、研究室の人達も見ているとの説明があった。画像の切り貼り、写真の取り違えは認めて謝罪したものの、研究で得られた成果は変わらないと主張していた。
 もし、それが本当なら生物学の常識を覆す大発見で、万能細胞が作れるなら人類にどれほど貢献出来るかはかりしれない。
 他の研究者での実験では再現できていないという。科学では当然再現性が求められるのだが、そこが最大の弱点か・・・。

 それにしても、理化学研究所の対応の無責任ぶりには呆れる。調査委員会を設けて、捏造、データ改ざんの不正と認定した。しかし、本人への聞き取り調査は1回だけ、こんな短期間で正確な調査が出来るのか、拙速の印象が残る。
 全ての責任は小保方氏1人としたことも、トカゲのしっぽ切りのようで不愉快だ。笹井芳樹副センター長や若山照彦山梨大学教授、更には東京女子医大の大和雅之教授など、錚々たる共同執筆者、研究者がプロジェクトとしてまとめ、ネイチャーへの論文提出となったのではないか。今更、全体像は知らされていなかった等の言い訳は詭弁で見苦しい。

 理化学研究所は、最初の発表の時、彼女をことさら過度に持ち上げて宣伝材料としたのではなかったか。
 安倍政権は理研を世界最高水準の研究機関にしようと、「特定国立研究開発法人」に指定する法案を国会に提出する予定であった。科学技術で世界をリードすれば日本企業の競争力強化につなげることが出来ると考えたからだ。この考えは正しい。
 一方、理研は新法人に移管すれば予算増につながり、優秀な研究者も集められると期待していた。こうした思いが裏目に出てしまったのだ。
 マスコミの報道も相変わらずであった。センセーショナルに煽り立て、ちょっと怪しくとなると手のひらを返したように叩く。褒め、貶し、往復で稼ぐ何時ものパタ-ンだ。

 なんだか日本の良さ、「恥の文化」が失われつつあるようで悲しい。

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